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昔話

眠たい時間に執筆してることが多いので誤字脱字多いと思いますが、気合いで読んでください。

矛盾してる部分などあると思いますが、頑張って繋げて見せますので、応援してくれよな!!!

第1節 始まりの昔話


むかしむかしのお話。

世界が出来るずっと前のお話になるんだけどね。

真っ暗でなにもないところにひとつ、どこから現れたのかわからない本当に小さな小さな草木の芽が出てきた。

その芽は、水もなければ光もない真っ暗な所にいるのに、すくすくと育っていって、立派な樹になった。凄く大きくて、何万年も行き長らえている大樹ほど大きくなったの。でも花はまだ咲いてなくて、枯れ木のように葉もなく大きくなったのよ。

大きくなったその樹は、ひとりぼっちで何万年も過ごしてるうちに心が出来たの。

ここは何処なんだろう?なにも見えないのはどうしてだろう。萎れて行くような空っぽになるようなこの感覚はなんなのだろう?ずっと考える。

そのときハッて気づいたの。自分以外誰もいないって。でもその樹は生命を与える力もなければ、言葉を発する事も出来ないから、ずっとずっと空想することにしたの。その空想に出てくるのが、金木犀、彼岸花、鈴蘭の三人。

金木犀は気高く自分の思いを貫く事のでき、愛を惜しみ無く与えてくれる存在。

彼岸花は情熱的で思いやりがあるのだけど、どこか遠くを見据えている存在。

鈴蘭はなにもかもが真っ白でまるで空想しているいままでの樹を投影しているような存在だった。

樹の空想で華やかに微笑む三つの存在は、樹にとって大きなモノとなったの。

そんな空想をまるでそこに本当にその三人がいるかのように話続け、笑い、怒り、悲しみ、愛した。

いつ頃からかはわからないのだけれど、気がつけば樹の周りには三人。金木犀と彼岸花と鈴蘭が居た。

樹は無意識に盲目的に空想…この場合は妄想かな?妄想を続けて生命を与えることが出来たの。三人がいて、自分も幸せで、そんな暖かな気持ちになった樹はようやく、花が咲いた。


大きな樹に満開に咲き誇る桜の花――


チラチラと散るのだけれど、花は枯れるがなく優雅に咲いていて。そして樹は気づくんだ。自分が思えば命を与えることが出来る。自分が望めば次は自分が他者に愛を育むことができる。暖かな気持ちになることができる。そう思って、咲く何億もの桜の花びら一枚一枚に命を与えて自分の体から一欠片の樹の幹をむしり、花びらが生きて行ける場所を創った。

でも、何千億と花びらが増えて行く後とにその場所は狭くなっていく。そこで何分割もして世界を作ることにより、均等に花びらが生きて行ける場所を創ったそれが、今の世界。

そして、桜の樹はしばらく四人でその世界を見て、その世界に足を運んで、愛を与えてたくさんの幸せを与えてきた。ただのエゴを生んでいるのかもしれない。それでもその四人にとって、桜の樹にとっては、それが自分が生まれてきた事への感謝や幸福を表す唯一の事だったのかもしれない。



桜の樹は、一つ一つの世界が産み出した書物に魅了されていった。自分以外にもこのような考えを持つものがいた。その時ばかりは心が踊るように嬉しかったらしい。


世界や花びらが増えて行くと同時に、もっと桜の樹の幸福をもらいたいと思い始めるものたちが現れて、争いを始めて、いくつもの世界が消滅した。

もちろん四人はそれを止めようとした。でもそれは出来なかった。嘆き悲しんだ桜は心を閉ざしてしまう。心を開いてもらえるのは世界がつくりだした書物だけ。桜の周りには立ち入れないほどの書物の山があった。

あの真っ暗な空間に、明かりも灯さずひたすらに書物を貪るように読んだ。

苦しくて、辛くて、悲しい出来事から目を背けるように。


三人の花は、そんな桜の樹をみてどうしたら良いのだろうって思った。悲しく心を閉ざしてしまって、私たちにも心を開いてくれなくなった。なんでなんだろう。なんでなんだろう。っていっぱい考えた。桜の生んだ命ある花びらたちを消す方法だってあった。でもそれをしなかったのは、三人も桜の事が好きだし、桜の樹が生んだ命ある花びらも大好きだったから。


そして三人は話し合って決めた。世界の調和を保つ為の役割をもった花びらを作ることにしたの。桜の樹と違って不完全なモノばかり最初は生んでしまった。

でも失敗したからといって、その子たちを消すなんて出来なかった。その子たちが命つきるまで愛し続けることにした。不完全な子が命尽きたとき、わかったの。いとおしい彼らの存在がどれだけ尊いもので、懸命に生きようとしているかを。

三人は心をひとつにしてつくったの。尊い小さな花びらを。それが、花の意味を持つ子たち。


紫陽花、黒百合、沈丁花、睡蓮


何世代も何世紀も何万年も経て、安定した平和が訪れた。

これなら桜も喜んでくれる。三人と四輪の花はそう思った。

しかし事件は起こる。悲しく沈んでいた桜の樹がその悲しみから解放される事なく、枯れ始めた。すべての世界が崩壊してしまうと知った桜の樹は自分が死んでしまったとしてもこの愛しい世界だけは残しておきたいとそう思った。何か手はないのか、どうしたら良いんだ。悩むけど答えが出てこない。三人の花は自分たちが命を生み出した子たちの事を教える。そして桜の樹はその花が生み出した子たちを世界を保つ為の役割を持たせる人柱とした。

花のつくった花びらたちもそれを理解し受け入れた。

それが、遥か昔に起きた出来事。私たちが生きている世界の成り立ち。

この話を知らない人なんてきっとどこにもいないだろうけれど、ここに出てきた花達をまだ誰も存在は知らないんだ。




「それはどうしてかって?決まっているじゃないか。煙のように姿を消したのさ」

多分ね。これは、憶測に過ぎない。

この本を綴っている私はどの目線で綴れば良いだろうか決めかねているところだ。桜目線?それとも消えた花達の目線?一般庶民の私の目線でもいいかもしれない。しかし、そうなると私は歩まなくてはならない。世界を観るための旅に。

「さてと…じゃあこの目線は…桜でも花でもない私の目線で書こう。そうしよう。苦行そうだな。ま、なんとかなるだろう」

冷めてしまった泥のように濃い珈琲を啜る。

丸まった原稿用紙が散らばる部屋にズズッと音がなった。

提灯鮟鱇の疑似餌ような白熱灯が時々点滅する小さな六畳程度の部屋で私はペンを走らせている。

そんなことはいいんだ。私の事を話すより、世界を話していたい。

私の知り得る全てを語りたい。君たちに伝えたい。そんな思いで今ここにいる。

さてと、正直に言おう。どう書いて良いのかわからん。

私視点で話すと言った手前、変えられそうにないのだろうけれど、マジでわからん。てか、1節もなにもないのだ。そもそもこんな大役任せないでくれ。

桜もほとほと人が悪い。何でもいいから私のために書けだなんて、無理に決まってる。

…ん?私か?私の名前が知りたいのか?そうだな…黒薔薇の愛称で覚えていてくれると助かる。いや本当、そのまんまなんだ。名前が。ブラックローズだなんて安直すぎる名前だろう?すごく良く分かる。

でもこれは、桜が付けてくれた名前なんだ。とても気に入っている。

しかしどうして私が六畳程度の小さな部屋にいるか分かるか?

住む場所がないんだ。いや、なに。簡単なことよ。堕天したんだ。私は元々天使族の出身で天界で暮らしていたのだが、とあるネクロマンサーに心引かれて気がついたらこの様さ。まあ、この話は来るべき時がきたら話そうと思う。因みにそのネクロマンサーとは同棲中だ。彼女は今森にご飯でも取りに行ってるのだろう。そろそろ帰ってくる頃だと思うが、今日は少し遅い。

何かあったのだろうか。

これを書き続けなきゃいけない指命を受けているので、何があっても文章を綴ろうと思う。心情とか、台詞とか、なんか色々。

腕に埋め込まれた時計を見ると、午後6時を過ぎていた。

禍刻が近づくと天井が開く。こんなにホラーな展開何処の事故物件にもないぞ。

出てくるのはネクロマンサーが操る死体。腐敗しないように防腐加工されている。この死体の出身は亡国の王子様らしい。彼女がそう言ってた。

6時以降に彼女が帰ってこないとこうして勝手に外に出てきては家事をする。

彼女は自立型の死体を作りたいと日々言っているが、もう十分自立してるのではないだろうか?

「オハヨウ…ローズ」

「ああ、おはようハルロス」

死体の名前は、ハルデンベルグ・ローレスタン

略してハルロスだ。

元々は人魚族で足も魚の下半身だったのだが、死亡後にネクロマンサーの彼女が大胆にも豪快に大改造したそうだ。その為、ハルロスが動く死体になってからは人の足で歩くための猛特訓をさせられたとかなんとか。

なかなかわからないだろう?私も情報が飽和してきてて辛くなってるところだよ。

身の回りの紹介をするならば、こんなところだろう。

昔話に、私の事。周りの事。うん!まとまってていいんじゃないか?

これでダメと言われたら多分泣くね。ブラックローズ泣いちゃう!状態になる自信あるね。

そうこうしてるうちにネクロマンサーが帰ってきたようだ。

ドタドタと玄関まで走ってる音が聞こえる。

「たっだいまー!」

彼女の名前はマジシャンドール。愛称はドールだ。

「お帰り、ドール。今日は遅かったね」

「オソイゾ。アルジ」

「ごめんごめん。許してよハルロス。あぁそうだ、聞いてよ!買い物ついでに山菜取りに行ったらさ、花倒れてて」

「ほう、花が」

ん?花???花が倒れてた?それは、野に咲く花ではなく?

「そう。人柱になったって言われてる花!と言うことで持ってきました!」

ジャン!とドールが山菜籠の中を見せる。籠から山菜と一緒にぐったりとした様子で顔だけ出ている。なんともシュールな光景だが私はそれよりもドールの腕力が気になる。あの細ッッい腕の何処にそんな力があるんだ。

「花の種類は多分ね~沈丁花かなぁ」

「どうして分かるんだ?」

「え、だってよく見てよ。程よい肉付き。食べ応えありそうな感じ!あと、花は女の子ばっかりじゃないって別の書籍に載ってたし、何よりこの痣だよ」

痣…首元を見ると花の証である独特な模様が刻まれていた。この痣は実は私にもある。しかし私は偉大な人柱や花達のような存在ではない…なり損ないだが。

「それに、カンザシ付けてるでしょ?この花の形は間違いなく沈丁花。本で見たし」

彼女がそういうならそうなのだろう。だがどうきて行き倒れてなどいたのだろう。疑問が残る。

「アルジ、ゴハン、ヨニン?」

「あー、そうだね。一応お願い」

「ワカタ」

ハルロスが籠のなかで意識を失っているそれを見て生きていると判断したのか必要な人数を聞いてきた。ドールはこのあと目を覚ましてくれると期待してプラスで一人前のご飯を作ってくれと要求する。

死体がエプロンを付けてゴム手袋をしてご飯を作る光景も異常だと思うが、気にするな。うちではこんなもんだ。

沈丁花の花を籠から取り出して、客用の敷布団へ寝かせる。私は彼の額に手を当てるが熱などはなく、ただ樹を失っているか眠っているかのどちらかだろう。

起きたときの為に私が私たらしめるものと分かるよう正装を準備しておく事にした。確かあれはタンスの奥深くにしまっておいたはず。

ふと窓の外を見ると、太陽は沈んでいた。雲が邪魔で夜空には星も月も見えなかった。

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