8話 特訓とは?
「ここがポイントですよ?一点に力を集中させて、やるんです。ほら、簡単でしょ?」
そう言って、震えるおれの前で女神は微笑んだ。
今、俺がどういう状況なのか説明しよう。女神の特訓宣言の後、まだ少し体が不安定だからという理由で俺は女神に抱きしめられながら眠った。ここまではまだ良かった。良かったか、だって?……気にしたら負けだと思う。そうして朝日がハート型とかいうひそかに考えていたこともなく、転生二日目を迎えた。そういえば、女神が持って来たハートの木の実を食べたが、美味しかったです。
この後が重要なんだ!いきなり女神がへんな男の人形を取り出し、魔法で股間を貫いたんだ!表情がない人形のはずなのに、俺には頬を伝う血涙が見えたよ……。
そして、
冒頭に至る。
「何をやってるんだよ!トニーが泣いてるじゃないか!」
俺は必死にトニーをかばった。
「いやあ、元男の前で股間を貫いたらどういう反応するか気になって。ところで、トニーって誰ですか?」
悪気の一切ない笑顔で女神はそう言った。いや、女神なんかじゃない悪魔だ……。悪魔なんだ……。
「トニーは人形のことだよ!特訓するんじゃなかったのか?」
「あー、特訓ですね。そうそう。そうだったね。私のノリに耐える特訓みたいな?」
「……」
そろそろこの女神の頭が心配になってきた。
「失礼な!……ですが、正直なところ特訓する時間がなくなってしまったんですよ。彼女が予定よりはやいようですからね」
「え?」
「お別れが近そうです」




