1話 異世界転生のち死亡
暖かい日差しと心地よい風を感じて俺の意識が覚醒していく。どうやら俺は、柔らかな草の上に横になった状態らしい。ずっとこのまま横になっていたい気持ちをおさえ、俺は体を起こした。そして、俺は無意識にため息をついた。だってそうだろ?いきなり異世界やらチートやらで頭が追いついていなかったんだ。でもそれが間違いだとすぐに分かった。
「はぁ。」
本当に、微かに聞こえる程度のため息。でも、それだけで異常だと感じる。
「あー、あー、あー。」
声を出しながら体を確認すると、まず小さな手、小さい体が確認できた。
「えっ?」
思わず声を上げると、その高さに驚きますます混乱する。近くにあった大きな池を覗き込んで見ると、
「かわいい」
ちょっと待ってほしい。池に映る少女は、可愛い。うん。え?池を覗き込んでいるのは、俺。池に映る少女は、思考が停止した俺は、周囲を確認する。
ピンク色の可愛らしい花、ハート型の可愛い葉が生い茂った木、……よく見たらこの池ハート型だ。
「……は?」
百歩、いや二百歩くらい譲って花や木は許せる。でも池がハート型ってなんだよ?俺が一人ツッコミを入れていると、ハートの葉から白っぽいリスが顔を見せた。
「なぁ、聞いてくれよリスちゃん。」
話し相手に飢えていたからか、はたまた思考停止していたからか俺はリスに話しかける。声が聞こえたのかリスがこちらに顔を向け、口を開いた。喋る……わけもなく、なんか波動弾みたいな光線みたいな強そうな技をこちらに放とうとしている……!
「えーと、それは何?何でこっちに?……ギャッ!?」
リスが放った攻撃を紙一重で躱した俺は、尻餅をついてしまった。地面に跡が残るほど強い攻撃だった。そうして俺は、リスにより殺され……なかった。リスが急に消えたからだ。だが、俺の後ろに大きな気配を感じる。キュイインと何かをためるような音がした後、俺の意識は暗転したのだった。
殺してません! ビームを放っただけですよ!




