落とし穴
エロい、表現あります。
昼休みにまた、上級生たちは体育館裏に祐樹を呼び出した。
祐樹が行くと上級生たちは在らぬ因縁を付けて祐樹をいやと云うほど痛めつけ、祐樹のズボンのポケットから財布を見付けると、それを奪い取りお札を抜き取った。
「シケてんな、お前」
そう言うとカラの財布を祐樹の頭に投げつけ去って行った。
祐樹は悔しさと惨めさと情けなさで地面を叩き、声を殺して泣いた。
だが、フッと祐樹の口元に微笑が漏れると、祐樹は何事も無かった様に立ち上がり、その場を去った。
祐樹の肉体に祐樹は居なかった。
祐樹は暗闇の中に陥って、ぼんやりと空に視線を遊ばせていた。
『なんだか疲れた……………………
少し楽になりたい
少しでいいんだ
楽に……………………………』
口唇に何かが触れた。
花の様な不思議な匂いが祐樹を包んだ。
祐樹はうっすらと眼を開けた。
『久遠………………………………? 』
久遠はそっと舌を祐樹に侵入させると甘く絡ませて来た。
『久遠………………………
キミはボクが不安になると直ぐに来てくれるんだね
キミが居ると云う事は、ボクはまた精神世界に陥ったんだ』
『いいえ、君は彼に堕とし込まれたのです』
『彼………………………? 』
『もう一人のキミですよ』
『もう一人のボク………………………? 』
久遠はもう一度口付けながら祐樹の背中を指で愛撫した。
『彼は精神的に君を弱らせ、肉体の主導権を奪いたいのです』
『どうして? 』
『憎い女性を殺す為に………………………………
彼は君の女性に対する憎悪から生まれた』
祐樹は久遠の長い黒髪を掻きあげ背中を撫でて口唇をまた求めた。
『久遠、お願いだよ…………………
お願いだから、今は何も考えたく無い……………………』
祐樹は久遠の不思議な匂いと長い髪に包まれ、安堵を得ていた。
祐樹の肉体、いやもう一人の祐樹と言うべきか。
もう一人の祐樹は自分の家で、自分の部屋のベッドに腰掛けていた。
「もっと、欲情しな……………………」
もう一人の祐樹はにやりと笑った。
『お前がそいつに欲情する度に、また一人女を殺せる
そいつの正体をお前は知らない
お前がそいつにやたら欲情するのは、そいつがお前の欲求そのものだからだ
オレはお前の潜在する欲求に共鳴してるだけさ
夜が待ち遠しい………………………
セックスに飢えた莫迦な女たちに相応しい制裁を与えてやるのが…………………………………………』
学校では渋谷が祐樹を探していた。
廊下で丁度通り掛かった樹里亜に渋谷は声を掛けた。
「倉橋! 」
樹里亜は立ち止まって渋谷を見た。
「どうしたの? 」
「悪いけど祐樹の鞄、家まで届けてくれない?
あいつ昼休みに先輩から呼び出されて帰って来ないんだ」
樹里亜の中で不安が大きく膨れ上がった。
『祐樹…………………………………!』
ここまでお付き合い戴き有り難うございます❗
いよいよ明日からクライマックスです。
残り後三話です。
最後までお付き合い戴ければ倖いです。
前回の後書きでぼやいたら、いつも感想を書いて下さる水渕さんに目茶苦茶宥めて戴きました。
小説仲間。
有難いですね。
お蔭でめちゃめちゃ元気になりました。
さて、暖かい食べ物が美味しい季節ですね❗
寒い冬は美味しい食べ物で乗り切るに限りますね。
ゲンキンな私です。
それではまた明日。




