止めなよ
殺人のシーンあります。
祐樹は学校が終わると、夕食の為の買い物をスーパーで済ませ、家に帰った。
玄関のドアを開けた時、利朗が今夜は智子と食事する事を思い出して、買い物袋と鞄を下ろし、向かいの樹里亜の家のチャイムを押した。
出て来たのは樹里亜だった。
「祐樹…………………」
「父さん、今夜遅いんだ
一緒にご飯食べに行かない? 」
樹里亜は不満そうに言った。
「アナタね!
女の子誘うのに、服も着替えないで来る訳! 」
祐樹は涼しい顔で言った。
「女の子、誘ってるつもりは無いけど」
樹里亜はムカついて言った。
「決まり!
アンタのおごり! 」
「いつでも、そーでしょうに」
二人は近所にあるエリザベータと云う喫茶店を訪れた。
店に入ると樹里亜は言った。
「あれ、マスター
いつもの銀髪の人は居ないの? 」
マスターはグラスに水を注ぎながら言った。
「ああ、あいつなら買い出しに行ってるよ」
カウンターの傍のテーブルに着くと樹里亜は、しょうがないと云う表情で俯き言った。
「祐樹、ここへ来たと云う事は…………………」
祐樹は元気いっぱい言った。
「マスター、納豆スパゲッティ一丁! 」
「やっぱりぃ……………………」
樹里亜はテーブルに伏した。
ノリのいいマスターは「あいよー」と答えてテーブルに水を置いた。
樹里亜は困った様な表情でマスターを見上げ言った。
「マスター、いい加減この人に納豆スパゲッティの秘伝の味、伝授してあげてよ
でないと、この人糸引くまで食べ続けるよ」
マスターは笑って言った。
「可愛い樹里亜ちゃんの頼みだけど、それだけは勘弁して」
マスターは納豆スパゲッティを作りに奥に引っ込んだ。
樹里亜は少し身を乗り出して言った。
「ねえ、さっきコンビニで何買ったの? 」
「はい、樹里亜の分」
祐樹は樹里亜に雑誌を差し出した。
樹里亜はまじまじと雑誌を見詰めた。
「アルバイト情報誌? 」
祐樹は情報誌をパラパラ捲りながら言った。
「ボクもバイトする
二人分でも遠く及ばないかも知れないけど、それでも健全に稼いだ方が精神衛生には、ずっといい」
祐樹は樹里亜の眼を見詰めて言った。
「だからもう、止めな………………
あんなの……………………………」
眼を見開いて祐樹を見詰める樹里亜の眼から涙が溢れ、樹里亜は両手で顔を覆った。
「何よ、莫迦………………………………………
偉そうに……………………………」
樹里亜との夕食を終わらせて家に戻った祐樹は自分の部屋のベッドに倒れ込んで眠った。
夢を見た。
何処かの安ホテルらしい一室の鏡に、祐樹と見たことも無い女が立っているのを見ていた。
祐樹の手には十五センチくらいのナイフが握られている。
鏡には女が死角になってナイフを持っている事に気付かれていない。
祐樹は躊躇する事無くナイフを女の背中に突き刺した。
女は顔をこちらに向けて凄い形相で祐樹を睨み付け、床に崩れ落ちて行った。
祐樹は挑発的な笑みを浮かべ、鏡に映る自分を見ながら血塗れのナイフの刃を舐めた。
「あああああーーーーーっ!! 」
祐樹は大声を上げて起き上がった。
ベッドから起き上がった祐樹の鼓動は激しく脈打ち呼吸が乱れ息苦しかった。
まるで全速力で走った後の様に汗の雫が滴り、ベッドについた手の甲に落ちた。
祐樹は暫く手をついて座り込んでいたが、少し落ち着くと壁に凭れ座り直した。
『どうして、あんな夢………………………………………』
両手で頭を覆って祐樹は訳も無く途方に暮れた。
ここまで読んで戴き有り難うございます❗
娘によく言われるのは、「おかんの文体は今時じゃないからねー。」
サイト小説には一切触れる事無く、影響された小説は三島由紀夫やサルトルなどで、書き方がとても古くさいのが私の小説です。
私は昔から何処に居ても異端児で、何かに属する事が無くて、悪く言うとどれも中途半端。
BL書いてもNLが出て来たり、純文学にもなりきれず、かと言ってマンガ的に書ける訳でも無くて、
良く言えば個性的なのかも知れないですが、一般受けするようには書けなくて、要するに不器用なんです。
それでも、私の小説にアクセスして下さって読んで下さる皆様が居て下さるのは、身に余る倖せです。
感謝の気持ちでいっぱいです。
有り難うございます。




