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死神の精子  作者: 楓 海
6/11

穢く無い

 楽しんで戴けたら倖いです。

 祐樹の咳が落ち着くと、(そば)にあったベンチに祐樹と樹里亜は腰掛けた。


「祐樹ってば小さい頃から眼が離せやしないんだから

 だいたい男の癖になよっとしてるからよ

 もう少し男らしくしないと女の子の一人も口説けないよ」


 祐樹は眉間(みけん)(しわ)を寄せた。


「キミこそ振る舞いに気を回したら

 あんな変な噂立てられて………………」


 樹里亜はベンチから立ち上がった。


「噂じゃ無い、事実だよ」


 樹里亜は祐樹を振り返って言った。


「いいじゃない

 現役の高校生じゃなきゃできないのよ、こんなぼろい商売

 今の内にうんと利用しないと勿体(もったい)無いよ」


 祐樹の眼付きが変わった。


「そんな言い方止めなよ、らしく無い

 オムツも取れない前から、ずっと一緒に居るのに誰が納得してもボクは納得できない」


 樹里亜は祐樹から顔を(そむ)けた。


「父さんの会社が、この不景気で潰れたの

 あの歳じゃ、簡単に仕事なんて見つからないし、来年は秀樹(おとうと)が高校行くの

 このままだとアタシ、進学諦めなきゃなんない

 祐樹も知ってるでしょ、医者になるのがアタシの夢だって」


 祐樹は言った。


莫迦(ばか)だよ、樹里亜

 そんな事してるの、学校にバレて退学なんて事になったら、医者どころじゃ無いじゃない」


「でも、高校生のバイトで得る収入なんて、たかが知れてるよ」


「割り切れてるんだ」


 樹里亜は眼を見開き(しば)し静止した。


 樹里亜の眼から涙が(こぼ)れ始めた。


 手で顔を覆い言った。


「……………割り切ろうと思ってる

 …………………なのにできない…………………………………

 何度もシャワー浴びて洗い流すけど、アタシの何もかもが穢らしく思えて来る」


 祐樹は立ち上がると樹里亜を抱き締め、背中まである樹里亜の髪を撫でた。


 祐樹は樹里亜の耳元で囁いた。


「穢く無い…………………………

 樹里亜は穢くなんか無いよ……………………」


 樹里亜は祐樹の胸に顔を(うず)めた。




『一週間………………………………

 本当に精神世界に(おちい)っていたのだとしたら、空白の一週間、肉体のボクは何をしていたのだろう……………………?

 そして、あの夢が見せた様にボクは

あの人を殺したんだろうか……………………』


「祐樹君、もっと指を動かして」


 祐樹はその言葉に、思わず玲子を思い出して振り返った。


 そこに居たのは父、利朗(としろう)の再婚相手、澤田智子(さわだともこ)だった。


 智子は見るからに人の良さそうな四十代前半の女性である。


 彼女の提案で、祐樹の家で一緒に夕飯を作って食べようと、祐樹と智子は協力し合って夕食のハンバーグを作っている処だった。


「握る様に()ねるの

 さすが、普段から食事の支度をしているから、手つきがとてもいいわね」


 智子は優しい笑顔を祐樹に向けた。


『何をビビってるんだろう………………………

 こんな人の良さそうな人があの人と同じ(はず)無いのに…………………』


 利朗がこころなしか心配そうにソファーからこちらを見ていた。


 祐樹は笑って見せた。


「父さん、楽しみにしていてね、澤田さんとボクの合作」


 真剣に挽き肉を捏ねる祐樹の口元に微笑が走った。


「親父のアレは良かったか………………………」


「え? 」


 智子は驚いて祐樹を見詰めた。


 祐樹は顔を上げて言った。


「父さん!

 ほら、タバコの灰落としてる!

 そーんなだらしない事してると、澤田さんに嫌われるよ! 」


 祐樹は智子に振り向いて笑顔で言った。


「ねっ、澤田さん」


「え?

 ええ………………」


 智子は利朗に笑い掛けるが、直ぐに視線を祐樹に戻し見詰めた。





 読んで戴き有り難うございます!

 後、記憶が正しければ五話です。

 最後までお付き合い戴ければ嬉しいです。


 この作品も十年以上も前に描いたマンガで、投稿してボツになった作品です。泣

 私の作品にしては、かなり複雑な内容です。

 解り易く書いたつもりですが、解りずらかったらすみません。

 また、明日。

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― 新着の感想 ―
[一言] 様々な登場人物の思惑が交錯して、さて、どうなるか? そういえば、前も言われていたような気がしますが、楓海さん、マンガ描かれるんですか? 凄い!私にとって、イラストが描ける人と作曲が出来る人は…
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