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死神の精子  作者: 楓 海
2/11

肉欲に溺れて

 残酷な表現と性的な表現があります。

 祐樹が眼を覚ますと、隣に男はうつ伏せで安らかな寝息を立てていた。


 祐樹は起き上がり、着ていた服を探しても見当たらなかったので、男が着ていた着物を羽織って、部屋を出た。


 長い直線の廊下に幾つものドアが並んでいた。


 祐樹は少し焦っていた。


『トイレ見つける前にお漏らししたりして……………………』


 幾つかのドアを開こうとノブを回すが、どのドアも鍵が掛かっていて開ける事ができなかった。


「ここのドアは開きませんよ」


 振り返ると男が黒いシャツにズボン姿で立っていた。


『いつの間に………………………? 』


「何処へ? 」


「トイレ何処かなあと思って」


「バスルームなら君が休んでいた部屋にもありますよ」


「そうなんだ」


『何だか忍者みたいな人だな。


 もしかして監視されてる…………………………?

 まさかね、監視される理由が無い』




『消える!

 ボクが消える!

 いやだ、消えたく無い!!

 消えたく…………………………………』


 花の様な不思議な香りがする。


 祐樹は手を伸ばした。


 頬を冷ややかな手の感触が包む。


 祐樹は夢中で、その手を(つか)んでしがみついた。


「消える!

 消えたく無いっ!! 」


「僕が居ます

 大丈夫、それは夢です」


 男の冷静な声が聞こえて祐樹は眼を開けた。


 男のグリーンアイズが祐樹の眼を覗き込んでいた。


 祐樹は男の手首を掴むと、男の身体を押し倒し(むさぼ)る様に男の身体を求めた。




「どうしました? 」


 ベッドに横たわる男は上体を起こして祐樹の顔を覗き込んだ。


「何だか凄くショックなんだ」


 祐樹は額に手を当てた。


「何がですか? 」


「キミはショックじゃ無いの?

 男のボクに何度もこんな事されて……………………」


「戦場の兵士は戦地の女をレイプする

 よくある話ですが、人は死の危険を感じると子孫繁栄の本能が顕著になるそうです」


「ボクは今、命の危険がある訳じゃ無い」


 祐樹は眼を伏せた。


「お腹いっぱいミルクをあげても誰かに抱いて(もら)わなければ人間の赤ちゃんは死んでしまうそうですよ

 僕が言いたいのは、セックスの欲求が必ずしも性欲から発生するとは限らない

 君には今、肌の温もりを与えてくれる誰かが必要なのでしょう

 例えば無償で肌の接触を与えてくれる母親の様に」


 祐樹は上半身を起こした。


「どうして?

 どうしてキミは、それをボクに与えてくれるの? 」


「そうですね、お互いギブアンドテイクの関係にあるとだけ言っておきましょう」


 祐樹は眼を見開いた。


「ギブアンドテイクって…………………

 キミはこの状況を楽しんでいるって言うの?! 」


「ええ」


 男は(かす)かに微笑んだ。


 起き上がり祐樹を見て男は言った。


「そう言えば自己紹介がまだでしたね

 僕の事は久遠(くおん)と呼んで下さい」


「久遠?

 久遠実成(くおんじつじょう)の? 」


「ええ」


「変わった名前だね

 もっと洋風な名前を想像してた

 ボクは祐樹

 山本祐樹」


「では祐樹

 シャワーでも浴びて来るといいですよ

 その間に僕は食事の支度でもしましょう」


「解った、そうするよ」


 祐樹はバスルームで熱いシャワーを浴びた

『名前は名乗れるのに自分が何者なのか解らない………………』


 そんな事を考えながらシャワーを浴びていると、祐樹はハッとして後ろを振り返った。


 人影などに(おび)えた訳では無い。


 巨大な不安が襲いかかって来るような、言い知れない感覚に襲われた。


 急に、眼を開けているのにバスルームでは無く、女の死体が眼に映った。


 女は酷い形相で、内臓が引き()り出されていた。


 祐樹は驚きに眼を見開いた。


 突然激しい頭痛が襲う。


『頭が……………割れる…………………………!! 』


 祐樹は床に手をついた。


 頭の痛みは立っていられないほど壮絶で祐樹は床に伏した。


「大丈夫ですか? 」


 久遠の声がした。


 痛みが少し(やわ)らいだ気がした。


 祐樹は顔を上げ、久遠の存在を確認すると、自制心を失うほど久遠を犯したい衝動に()られた。


 久遠が着ているシャツを、ボタンが飛び散るほど勢いに任せて引きちぎり、久遠の胸に口唇を()わせた。


 久遠はされるまま黙っていた。


 久遠の口唇に口付け、押し倒した。


 久遠はされるままに従う。


 祐樹は久遠の胸に頭を預け、気を失った。


「祐樹?

 祐樹………………………? 」




 昼も夜も、祐樹は久遠を求めた。


 肌に久遠の肌の感触が染み込むほど。 


 求めながら考えていた。


『ボクは狂ってしまったのかも知れない………………………………

 あれから何日経っているのかも、もう解らない……………

 久遠の匂いはボクを欲情させる…………………

 久遠の肌は不安の様な、安らぎの様な、不思議な匂いがする………

 何故か………………………………

 凄く……………………………

 満たされる……………………………………………』









 読んで戴き有り難うございます!

 多分、全11話あります。


 近頃、水の災害が夏になると酷いですね。

 皆様の処は大丈夫でしたか?

 災害のニュースを見ると穏やかな環境で健康でいられて、親戚や知り合いが無事なのは凄く倖せな事なのだなあとつくづく思います。


 最後までお付き合い戴ければ尚倖いです。

 

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