第1章 2 な、なんだってー(棒)
「……は?」
「そこへ記憶を残したままでいいので、転生して頂きたいのです。その世界は今、とても乱れているのです。その為、良くないものが溜まり予定調和が取れなくなっているのです。いわゆる、因果律の乱れというやつです。
因果律とは、本来、自然の流れに従って常に揺れ動くものですが、そうそう大きく乱れることはないのです。
ですが、貴方様は、その因果律をかなり乱すほどの特殊な体質を持っておられます。なのでその世界へ転生して頂き、調和をとっていただきたいのです」
目の前の女神が突然何言い出したかと思うと、サラリとそんなことを……
「……もしかしてなんだけど。俺が不幸に見舞われやすいのってその因果律がどーたらいう体質のせい?」
「はい、貴方様のその体質はものすごく特殊で予定されていた未来をかなり変えてしまうくらい強力です」
「そんな俺がその世界にもし行ったとしたらもっと乱れてやばくなるんじゃないのか?」
「大丈夫です。貴方様の体質とその世界の乱れが干渉しあい、調和がとれて元に戻ると思います。……多分」
「……おい、今多分って聞こえたんだが。
女神とやら、俺の目を見てちゃんと話そうか?」
プリミエルがすまし顔で目線を器用に逸らし、問い詰める廉翔に取り合わない。
「はぁ。で、俺はそこに行くだけでいいのか? 何か他にやらなちゃいけないこととかあんのかよ。場合によっちゃ全力でお断りするぞ」
「いえ、特にはありませんが……強いて言うならばできるだけ長生きして頂けると助かります。どれほどで調和が取れるのかまだしっかり分からないので。
……それにしても、随分と落ち着いていらっしゃるのですね。最初は取り乱していらっしゃったのにすぐに落ち着きましたし。驚きとかないのですか? 私側としてもその方が少しやり甲斐というかそういうのがあるのですが……」
「ん? あぁ、まぁもう死んでるしな。あんな世界とおさらばできるってせいせいしてるわ。と言うかあんたって意外とそんなこと感じるんだな。驚いてほしいだのやり甲斐だの。
真顔だから知らんかったわ。真顔じゃなくても知らんけども」
「そうでしょうか。私としてはとても丁寧かつ印象よく説明しているつもりなのですが……
ノリが良い方が印象が良くなるとは聞いた事があるのですが貴方様にどう思われようと私は構わないので、まぁ、いいでしょう……」
心なしか少し凹んで見えるプリミエル。
ちょっと気の毒に見えたのでノリをよく対応してみようと思いつつ話を聞く。
「そ、そうか。まぁ早い話長生きして来いってことでいいんだよな?」
「はい。あ、大事な事を忘れていました」
「大事な事?」
おっとチャンス到来。ここでノリよく対応してあげよう。
「はい。異世界において貴方様の願いを1つだけ叶えて差し上げましょう。」
なんというテンプレ展開。しかし、俺はノリ良く対応しようと決めたのだ。
ここはビックリしたふうに反応を……
「……な、なんだってー(棒)」
「…………」
「…………」
……なんかごめんなさい。俺に演技の才能はないらしい。
読んでくださってる方がたくさん(((o(*゜▽゜*)o)))
ありがとうございます!!
不定期更新ですがあしからず。