第1章 15 不安も好奇心も
俺が無詠唱を出来るようになってはや数日。
また、リンシエルがロールズさんと遊びに来た。
今度はちゃんとお話できるだろうか……?
少し心配だ。せっかくの可愛い幼馴染みに嫌われたくはない。当たり前だ。
よし、人見知りしてるからあまりグイグイいかないで何か食い付きそうな話題を持ちかけよう。
出来るだろうか?
いや、俺はコミュ障ではなかったはずだ。
普通に外に出たらコンビニの店員と……店員と、喋ってた……よう……な……
だ、大丈夫だ! きっと。
リンシエルはそんなに悪い子ではないだろう。
なんせロールズさんの子供だもんな!
大丈夫だ。多分。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「こんにちわ、ロールじゅしゃん!」
「おぉ、こんにちわ、レント君! 挨拶出来て偉いなぁ!」
「えへへ」
「ほら、リンもこんにちわ、してごらん?」
「……こ、こんちにわ……」
「「「……あはははは!」」」
「??」
あぁ、やっぱりリンシエルちゃんは可愛いなぁ!
間違えたことに気付いてないし。天然な所もあるんだなぁ。
よ、よし。頑張って話しかけてみよう。
優しく、がっつかないでお話するんだ!
できるな、俺? これはミスってはいけないミッションだ。
今日こそ、お隣のリンたんとお話するんだ!
そ、そして、幼馴染みとの……い、いやいや、そんな不純な考えなど断じてしてはいけない!!
と、とりあえずは無難に挨拶でも……
「り、リンシエルちゃんこんにちわ!」
「っ!? ……こ、こんちにわ……」
おぉ? 掴みはOKみたいだ!
まだ少し怯えてる? が前よりは幾分かマシだ。
ちなみにこんにちわだからね? リンたん?
まぁ、それは置いておいて。
……よし、いくか。覚悟を決めるのだ!
「……あ、あの! 僕とおともらちになってくれましぇんか?」
「っ!?」
あ。なんかピーンって固まっちゃった。いきなりは不味かっただろうか?
いや、そんなことは……
子供相手ならこんな感じだって昔ネットに書いてあるのを見たんだが。
いやいや、今はそれよりこの空気を……
「……うっ、うぅっ……」
「えっ?!」
ちょ、待っ!
あぁ……やっぱりやらかしたのか……
これだから36歳DTニートは。泣かせてしまった。どうしよう。
対処法なんて知らない。ヤバイ。これは色々とヤバイ。
と、とりあえず、俺のせいなのか? 俺、悪くないよね?
え? 俺、特に何もしてないんですが。友達になってとしか言ってないんですが。
「リン? どうして泣くんだい?
レント君が友達になろうって言ってくれたんだよ?」
おぉ! ロールズさん! いや、ロールズ様!
ここぞという時のこの助け舟! 恩に着ます!! この借りは必ず!
よし、この助け舟を借りてリンシエルを宥めて、お友達に……
「……ち、違うの、パパ。おともらちになってくれるかわからなくて、怖かったから……」
…………あぁ、そうか。リンシエルは不安だったのか。
俺はなんて馬鹿なんだ。全部自分中心だ。
俺だって不安に思ってるってのに相手が不安じゃないわけないじゃないか。
ロールズさんが前に、リンはとっても楽しみにしていた、とかなんとか言っていた。
これが本当なら、もし友達になれなかったら、とか、いじめられたら、とか不安になるだろう。
ましてや初めての友達ができるかもしれないってなら尚更だ。
俺は何を考えているんだ。
全部自分の都合のいいように考えやがって。全部自分本位でしか考えてないじゃないか。
クソっ。性格悪い自分が本当に嫌になる。
……ふぅ。少し落ち着こう。
……あぁ、こんな状況でもどうせ友達とか普通になれるからどうってことないとか思ってる自分がいる。本当に嫌んなる。
とりあえず、リンシエルを安心させてあげなきゃな。
ごめんよ、不安にさせてしまって。
「……リンシエルちゃん! 」
「……?」
「あ、あの、ごめんね? これからはちゃんとおともらちになれるように頑張るから泣かないれ?」
「……う、うん。ありがとう。レント君……」
……これで大丈夫、かな?
まだ少し不安そうに見えるが、さっきよりは落ち着いたであろう。
これからはこの子を泣かせないように頑張らなきゃな。
不安にさせちゃダメだ。その為の、友達なのだ。
しっかり友達しよう。幼馴染みしよう。
……なんか少ししんみりしてしまった。多分俺だけだが。
ほら、ロールズさん達が温かい目で見守っている。カントに至ってはなんか目頭を抑えて……抑えて……
…………………………………。
……ちょっと話題を変えるか。てか、なんでカントが泣いてんだよ。涙もろすぎんだろ。
まぁ、とにかく不自然に思われないように話題を変えよう。
「そうだ、り、リンシエルちゃん! あっちで一緒に遊ぼう!」
……すんごい不自然!!
「……う、うん!いいよ!」
おぉ! リンシエルちゃん、ナイスアシスト!
俺は心の中で親指を立てる。そして、カント達へ向き直り、
「じ、じゃあ、お父しゃま、ロールじゅしゃん。あっちの部屋で遊んできましゅね!」
「おぅ! 行ってこい!」
「行ってらっしゃい。あ、リン! あんまりはしゃいじゃダメだぞ?」
「うん、わかった! パパ!」
カントはゴシゴシと腕で目元を擦り、ロールズさんは優しく笑いながら俺達を送り出した。
そして、俺達は2階の部屋へ一緒に向かった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「ここだよ!」
「う、うん」
ふぅ、やっと着いた。意外と登るのきついんだよね。
よし、じゃあリンシエルちゃん! 一緒に遊ぼうか!
うーん。リンシエルちゃんは何が好きなんだろう?
……聞いてみるか。そう、聞かぬは一生のなんとやら。
「リンシエルちゃんは何かしゅきなものとかあるの?」
「う、うん。あるよ! うんとね、ママがマイカしゅコンビの話をしてくれるの! それがね! とっても面白いの!」
「そ、そうなんだ!」
おぉ、なんか意外。ってかこんな喋ってくるんだな。ビックリした。人見知りって言っても初対面だけらしい。
そういや、カントとかとは一応普通に話してたしな。そんなもんなんだろう。
人見知りなんて慣れてしまえばどうってことない。
「それでね! マイカしゅコンビって言うのはね……」
延々と聞かされた。何時間喋っていたのだろうか。
リンたん、凄いな。マイカスコンビにもう首ったけだ。相当な熱意と羨望が伝わってきた。
まぁ、話のだいたいは知ってたけどね。たまに知らない奴もあったけど。
ネタバレされちゃった。まぁいっか。可愛いし。
っとそれより、リンシエルが話をした中にかなり、気になった言葉があった。
古代魔術。なんだろう? 今あるやつとは違うのだろうか?
まさか、滅級とやらより凄いやつなんだろうか……
いや、流石にないかな? 今はもう使える人がいないとかなんとか。
多分残す術が無かったのだろう。そもそも皆が皆使えるわけでもないしな。
とはいえ、古代魔術。
なんか、元ゲーマーとしてはなんか心躍るものがあるな。
いつか旅に出るなら探してみるのも面白そうだ。
とりあえず、長い長いネタバレの中で気になったのはこの古代魔術とマイカスコンビのスリーサイズだけだった。
……え? なんでスリーサイズが分かるのかって?
知らないよ、そんなの。俺に聞かれても。リンシエルが言ってたんだもん。
リンたんに聞いてみて。きっと教えてくれるよ。多分。
まぁ、そんなこんなで俺はリンシエルと楽しく(?)過ごした。
「また、遊びに来るね!」
「うん! またね! リンちゃん!」
「またね! レント!」
リンシエルが帰る頃にはリンちゃん、レント、と呼び合えるまでになっていた。子供って凄いね。
そして、俺はリンシエルを玄関で見送った後に部屋に篭って魔術の練習を始めた。
古代魔術……古代、古代……
うーん、やっぱ一般ピーポーには使えないようなやつなのだろうか?
膨大な魔力を使うやつだったりとか、威力が馬鹿でかくて制御が難しいだとか。
まぁ、いいか。いずれ調べに行ってみよう。
「よし、今日は中級魔法をやってみるか。」
俺は、この間、小炎と泥球の無詠唱もできるようになった。
そのお陰なのか、また魔力の量がグンと増えた。
今は、初級魔法が35発ほど撃てるまでになった。
いやはや、成長が実感できるのは嬉しいですな。
それで、少し気になっていたのだが、中級魔法は初級魔法と比べると魔力の消費はどのくらいなのだろうか? 普通は2倍だとか1.5倍だとかその辺りだとは思うが……
まぁ、物は試しだ。やってみよう!
(えっと、火属性中級魔法、炎球、水属性、氷結、風属性、風刃、土属性、岩砲か。なんか急に名前が攻撃的になったな。
てか、水属性は氷の魔法か。中級で凍らせたら上と超と滅は何になるんだろう?
……怖いから考えないでおこう。
……ん? なんか中級魔法のところにまだ色々書かれてる……?
……おぉ! 中級魔法はなんか他にもあるらしい。
火属性は炎球以外に、熱射があって、水属性は、氷棘、風属性は、風壁、土属性が、土槍だ。
なんか他にもあるっぽいがよく分からん。あるのかないのかはっきりして欲しいな。
まぁ、ともかく、なんか危なくなさそうで無難な氷結、いってみるか。)
なんかデジャヴを感じているのだが気のせいだろうか。
まぁいいか。えっと、詠唱は……
「……冷徹な蒼き光を以て大気を凍えさせん! 氷結!!」
……おぉ! 桶に溜めてた水が凍った!
これは成功でいいのかな? いや、成功だよね?
よし、成功だ!
これで水属性は中級(の一部)を習得した! でも、中級はなんか色々多かったよなぁ……
まぁ、頑張って全部覚えて無詠唱できるように更に頑張ろ。
……よかった、デジャヴは杞憂に終わったようだ。
まだ魔力は枯渇してないし。
まぁ、流石に1発では俺の魔力は消えないだろう。
それに中級魔法をやる前にも少し初級魔法を撃っていたがそれでも枯渇してないってことは意外と低燃費なのかもしれない。
まぁ、調べてみるか。えっと、氷結連発してみるか。
よし、桶ごと凍れぇぇー!!!
……14発撃って倒れた。やっぱりデジャヴだった。最近調子に乗って倒れること多いなぁ。
あ、でもカントとかベスタが走ってこなくなったな……
なんでだろう? ま、いいか。
……でも、ちょっとだけ自重しよう。ちょっとだけ。
ん? あぁ、勿論、練習は全力だが。
中級以上からは2つ以上魔法の種類があります。
あとあと出てくると思われますのでお楽しみに!
祝・PV 500越え!




