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コンプレックスな反逆者たち  作者: ゾンビ―鈴木
第三章・竜と狩猟の世界編
92/114

決戦前

それぞれの思惑を持つ彼らは……

それでは、どうぞ

  Side:歩


 さてと、この三日間いろいろと準備を終えた。

 場所は地面が荒れ、植物のない荒野。

 そんでもって後ろに森林を控えたおれっちの目の前に、戦闘準備が整った仮面男たちがおれっちに気が付いて歩みを止めだした。

 武装仮面男たちの先頭を仕切っていた男はおれっちに気が付くと、大して驚いた様子もなく問いかけた。


「アユム。これはいったいどういうつもりだ」


 おうおうおう、おっさんたちが信じられないような顔(仮面で見えないけどそんな感じ)でこっちを見てやがるよ。

 出てきたのはリーダーらしき男、立派な装備をした戦士。

 仮面を取ろうとしたおれっちを叱った、あの身体が大きいおっさんである。

 おっさんも仮面をつけた様子でおれっちを問い詰める。


「この数日間、急にどこへ行ったのか知らぬが帰ってきたかと思えばいったい何のつもりだ?」


 何のつもりだ、ねえ……

 おれっっちの戦闘態勢の様子から察してはいるものの、一応は聴くって感じだな。

 だったらおれっちも……


「いやーおっさんこそいったいこれからどこへ行くつもりなの? そんな大々的な装備とか人数とかでさ」

「…………!」


 あ……動揺してる動揺してる。

 何のつもりか知らんがおれっちにはやらせないつもりだったからな。


「これから皆で巨大な竜を狩りに行く」

「それはよく……人竜族のことか?」

「!?」


 仮面は見えなくても表情は分かる。

 おっさん……驚いているな。


「気づいて……いたのか」

「ああ。悪いけどおっさんたちの話…………聞いちゃった」

「……そうだ。俺たちは今度こそ人竜族を刈りに行く」

「刈りに、ねえ…………」


 命を刈るってか?

 ははっ……笑えんか。


「けど、そんな大事をおれっちに黙るなんてそっちこそどういうつもりだ?」

「…………」


 おっさんはしばらく黙りこむが……

 おれっちにはわかるんだよ。


「お前こそ、ここ最近俺たちの事について嗅ぎまわっているつもりだが……どういうつもりだ?」

「!?」


 …………あれ?


「人竜族と共にいた少年……その男を自分の所に招き入れてから、お前はやたらと俺たちの事について訊いてきたな」

「…………」


 ……バレてるし!!


「……お前が何か余計なことを考えていないのかと思った。だから教えなかった」

「…………」


 ……いっけねーな。

 どこでミスったんだろうか。


「……まあ、結局お前には知られてしまった事だがな。だから改めて訊く」


 おっさん……声が真剣だ。


「お前はどういうつもりで俺たちを止めるつもりだ」

「…………」


 ……声からして糾弾するような様子は感じられない。

 むしろなんだか、おれっちのことを残念がっていそうな感じがする。

 なら……誤魔化しは無しだ。


「おっさん……おれっちがおっさんたちの住処にやってきて、それでいろいろな人たちにおっさんたちのことを訊いたんだ」


 初めはあの太った男からそう言われたからやっただけなんだけどな。

 けどなんだろうか、おっさんたちと共に狩りをしていくうちに、おっさんたちの話を聴いていくうちに、なんつーか他人事じゃなくなっちゃってね、

 だから……だから……


「おっさん。もう……こういう事はやめよう」

「…………」


 おれっちはただ一言、それだけを言った。

 おっさんならこの言葉がなんなのか察してくれるだろう。

 そして、答えは……


「……悪いが、それはできない」

「なぜだ! なぜそうまでして自ら命を粗末にするようなことをするんだ!」

「黙れ!」

「!」


 おっさんの怒鳴り声におれっちは怯む。

 その声は以前仮面を取ろうとして怒られた時の比ではなかった。


「そう言うお前こそ、一体どういうつもりでここにいるんだ!」


 …………!?

 どういうつもりだと?


「俺たちとは違う、よそから来ただけの少年になぜそんなことを言われなければならん!!」

「…………」


 おっさん…………


「……やめてくれよ。いくらなんでもその発言はさすがにひどいよ」

「なに?」


 それはさすがにへこむぜ。


「ほんの数日前まで、狩りを共にした戦友に言われたくない台詞だったよ」

「…………!」


 おれっちはショックだぜ、そう言うこと言われるの。


「……ならばなぜ俺たちのやろうとしてることを止める!」

「おれっちはただおっさんたちにこれ以上無意味な怪我を…………!」

「それが余計だと言っているんだ! 失った辛さを知らないお前に何がわかる!!」

「!? 勝手なことを…………!」


 ……言わないでくれ!

 そう続けようとしたが踏みとどまった。

 それを言えばさらに面倒なことになると思ったからだ。


「……やっぱり、説得ってのはおれっちには性に合わないな」

「……力ずくで止めるつもりか?」

「ああ。そうさせてもらう!」


 すると、


「「「…………!」」」


 おっさんたちの後ろに控えた大量の仮面戦士がそれぞれ武器を構えだした。

 随分と数が多いな。この前の比じゃない。

 しかも新素材の強力なものまであるじゃん。


「とと、構えろ」

「バウッ!!」


 おれっちの合図にととは気を引き締める。

 おれっちも両手の断鋏たちばさみの調子を確かめると、おっさんが言う。


「どうやらお前は力ずくで俺たちを止めるようだが……」


 おっさんは嘗める様子ではなく、逆に厳しい感じにおれっちを見て言う。


「たった一人と一匹でこの人数にどう対抗するつもりなのだ!」

「……おれっちは別におれっちやととのみで戦うつもりはないぜ」

「……なんだと?」


 この三日間、なにも準備をしないでただのうのうと待っていると思ったかな?


「突然だがなおっさん。おれっちの強みってなんだと思う?」

「……? 何を急に……?」


 おれっちは喋りながらも気づかれぬようさりげなく後ろを確認。

 ……うん。ちゃんとスタンバイしているな。


「おれっち自信の身体能力? それともこの改造された義手『断鋏』の性能? 愛犬とと、とのコンビネーション? まあどれもこれも身の程はわきまえているけどそれだけじゃない」


 ……ふう、それじゃあ呼びますか。


「カ・モ―――――――――――――――――――――――ンッ!!!」

「「「!?」」」


 おれっちの呼び声に驚くおっさんたち。

 そして、後ろに待機させた気配が動く様子。


「アユム。お前はいったい何を……」

「……おれっちの最大の長所はさ、相手との意思疎通力にあると自覚しているんだよね」

「…………なに?」


 後ろの気配が徐々に徐々に強まっていく。

 振り向かずにそれを感じつつもおれっちは続けた。


「言葉以外にも発せられる感情や意図。それらを鋭く感知するのがおれっちの凄いことだと思うんだ」


 ……言葉以外にも、相手の感情を察することはできる。

 おれっちの愛犬ととは言葉を発することはできないし、鳴き声を聴き取ることはできない。

 しかしその様子や声の調子から何を言いたいのか、何を想っているのかを察することはできる。

 だからおれっちと、ととの間に言葉はなくても意志を交すことはできる。


「……それは自慢しているつもりか、アユム」

「いいや。ただの事実だし、別に可能以上のことを言ってるわけじゃない」


 さて、そろそろ来るぞ……!


「だがな、おれっちは言葉なしにも意思を疎通することができる。この愛犬ととは然り、そして……」

「「「!?」」」


 その時だ。

 れっちの後ろで木がなぎ倒される音がした。

 その後、獰猛かつ強力な存在がおれっちの後ろから現れ出した。


「ギャオォォォォォォォォォォォォォォ!!」

「グルアァァァァァァァァァァァァァァ!!」

「ガアァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

「シャァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

「ブモォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

「「「!?」」」


 現れたのはこの三日間必死にあたりを駆けずりまわって集めた偉大なる協力者たち。

 それは……


「うわ! なんだこの竜は!?」

「くそっ! こんな時に……!」

「おい! 貴様いったい何をしたんだ!!」


 えーと、飛行竜と草食首長竜と小型二足竜と無足竜と巨大猪の計五体!!

 え? 最後だけおかしい? 気にしない気にしない。


「アユム! 貴様いったいこれはどういうつもりなんだ!!」

「ん?」


 おうおうおう、おっさん焦ってる。


「おれっちやととだけじゃ力不足だからね。いろいろと協力者を作って頼んでもらった」

「貴様……なぜそうまでして俺たちのことを……!」

「そんなの簡単さ」


 そう願う者はおれっちだけでない。

 ステイアさんも、多分おっさんたちの家族や仲間も同じってことだ。


「もうやめてほしいと願うのはおれっちだけじゃないってことさ」

「…………?」


 さて、と……


「おっさん。戦いにおいて大事なのは、人徳だぜ」

「こいつ……!」


 言っておくがここに集まってくれた同志は相当な猛者だ。


「さらに……」


 おれっちはととの背中に跨り、両腕を大きく伸ばした。


断鋏たちばさみ。本気バージョン」

「なに……?」


 おれっちのこの改造された両手、『断鋏』……

 見た目は籠手だけど正真正銘の義手であり、主な用途は接近戦による奇抜な戦い方に用いられている。

 だが、


「!?」


 なにも戦い方は接近戦だけではない。

 おれっちのこの特製の義手。

 その手首にある連結部分がはずれ、手と腕が分離される。


「なんだ、それは……!?」


 そして、離れ離れになった手と腕を繋ぐは強靭な鋼線。

 そう、この断鋏は接近戦だけじゃない。


「おっさん……こういう珍しい武器を相手に戦うのは初めてかな?」

「…………!」


 そう、この断鋏はなんと鎖鎌くさりがまならぬ鋼線鋏になる。


 ブンッ! ブンッ! ブンッ! ブンッ!


 おれっちは両腕を振り回して、鋼線で繋がれた手首を振り回す。

 なお、手首から離されても手の甲の鋏は動かせるぜ。

 さらに……


「とと!」

「バウッ!」

「人犬一体! フォーメーションCで行く!」

「バウッ!」


 さて、準備万端だし……


「そんじゃあおっさん。本気で戦いますか」

「アユム……!」

「男なら、拳で語ろうぜ!!」


 いや、それはおれっちの性じゃないし、拳でもないしね。


「よし! お前たち! 思いっきり暴れてこい!!」

「ギャオォォォォォォォォォォォォォォ!!」

「グルアァァァァァァァァァァァァァァ!!」

「ガアァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

「シャァァァァァァァァァァッァァァァ!!」

「ブモォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

「「「!!」」」


 おれっちの合図に待機していた竜たちが暴れ出す。

 そんでもっておれっちは……


「アユム……」

「おっさん。戦いで語り合おうぜ」

「アユム―――――――――――――――――ッ!!」


 おっさんの相手をするぜ!!



――――――――――――――――――――――――――――――



  Side:黄


 アユムが示した場所はかなり遠かったけど、あたしたちの【三位一体トリニティ】のおかげで速く着くことができた。

 と、言う訳でここは例の竜がいる、植物が少ない岩山の中腹でのこと。


「ほらシアン。もう休憩はいいでしょ? ほら早く」

「……ざけんな……どんだけ走らされたと……思ってんだ……」

「もう……」


 まあさすがに三日もかけて走り続けたから疲れたのは分かるけど……


「けど、ここからは足場が不安定なんだからもう【三位一体トリニティ】で行く必要はないよ。途中休憩だっていっぱい挟んだし、もう少しよ」


 そう、今あたし達が歩いているのは結構ぎりぎりな所だ。

 絶壁に近い場所で、足幅一つ分しかない地面を、あたし達は壁に沿うようにして歩いているのだ。

 つまり、気を抜いて足を踏み外したら大変なことに……


「いや……お前はオレのことを……なんだと思っているんだ……」


 ……さすがにこれ以上は限界か。

 すると、何も言わずに黙々と歩き続けていたマゼンタがリュチェちゃんのお父さんになにかを訊いてきた。


「おい、少女の父親」

「……なんだ?」


 ……リュチェちゃんのお父さん、もう『少女の父親』って呼ばれ方に慣れているけど……

 ……それでいいのかしら。


「改めて確認するが、この岩山の頂上にある例の竜についてだ」

「…………」


 ああ、シアンが【三位一体トリニティ】で走っている途中で訊いていたわね。

 シアンも、あとあたしもそんな事聞ける余裕はないのに器用ね。

 まあ、ここで話すのならちゃんと聴かないと……


「竜の名前はムシュフシュ。首が長く身体が大きいのが特徴の竜であったな」

「ああ」

「そして、常に空を飛び続けることができ、巨体に見合わぬ速さを持つ、と」

「そうだ。言っておくが俺たちの集落の周辺にいた竜とは比べ物にならぬぞ」


 ……そ、そんなに……?

 なんだが、あんまりピンとこないんだけど……


「だが、なによりも厄介なのは奴が毒の吐息を吐き出すことだ」

「「!?」」


 ど、毒!?


「奴の吐息を浴びた者は体が動かなくなり、やがて死に至る。……そのせいで多くの仲間がやられた」

「…………」


 リュチェちゃんのお父さん……

 辛そうに、俯いて言っている……


「……逆に訊くが、お前等は妙な力を使うようだ。だが常に空を飛び、毒を吐き出す巨大な竜にどう対処するつもりなのだ」

「ああ、もちろん考えている」


 へえ……

 まだ会ったことのない相手にもう対策を考えているんだ。


「そのためにはイエロー。お前の力が必要とされる」

「え? あたし?」


 そりゃあたしの《重力》は空を飛んでいる相手にも有効だけど……


「そのために移動はシアンに任せ、体力を温存させたのだ」

「……はぁ!? ちょっと待よマゼンタ!!」


 あ、シアンが復活した。


「なんだ」

「イエローの力を温存って、そんなことのためにオレはずっと走らされていたのか!?」


 シアン。そんなに怒らなくても……


「いや、一番の目的は速くここに到着することだが、まあお前の言ったことも当てはまる」

「おいぃ!? なんでイエローはよくてオレはこんなにこき使われなくちゃ…………!?」


 …………あれ?

 シアン……?


「シアン。いったいどうしたの?」

「……おっさん。訊いていいか?」

「ん? なんだ?」


 シアン?


「おっさんの言っているムシュフシュってのはいつもこの山の頂上で待っているのか?」

「あ、ああ……そのはずだが?」

「そうか……そうだよな。……でも…………!」


 え? まさか……


「シアン。お前まさか……!」

「ああ、そのまさかだ!」


 だんだん強張っていくシアンの表情を見ていると嫌な予感が……!


「皆気をつけろ!!」

「「「!」」」


 シアンの言うとおり、あたしやマゼンタやリュチェのお父さんが気をつけて立ち止まっていると……


「ゴァァァァァァァアアアアアアアアアアアア!!」

「「「!?」」」


 なに、あれ……!?


「ば、ばかな……早すぎる!?」


 今の状況、

 あたし達が壁に沿って頼りない地面を歩いている中、あたし達の横……つまり壁とは反対方向の空中側に早速空飛ぶ竜が現れたのだ。

 それも大きい。ヴェールが出した雷獣といい勝負じゃない? それに首が長いし、まさかこれって……!?


「少女の父親、こいつは……」

「ああ、間違いない! しかしこんなはずが……」


 リュチェちゃんのお父さんが信じられないように目の前の竜を見て言います。


「例の竜、ムシュフシュだ!」

「!?」


 嘘……!?こいつが……!?


「グゥゥゥゥゥ…………!」

「!?」


 な、なんだかこの竜……息を大きく吸っているけどまさか……


「いかん! 毒息ブレスだ!」

「「「!」」」


 それってさっき話に出た……!

 どうしよう、こんな足場じゃ避けようにも……!


「お前等! 今すぐここから飛び降りろ!」

「「!?」」


 マゼンタ!?

 あんたいったいなにを……!?


「イエロー!」

「! なに!」

「俺たちが飛び降りたら、お前は空を飛ぶ力で頼む!」

「え!?」


 空を飛ぶって……

 まさか……!


「マゼンタ! そういうことか!」

「ああ、さすがのお前でもわかったようだな」

「当たり前だ! だったら行くぞ!」

「ああ!」

「待てお前等……うお!?」


 リュチェちゃんのお父さんを含め、あたし達はムシュフシュの毒息から回避するため、足場から空中へ飛び降りた。

 もちろん……


「うわああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 このまま落ちたらあたし達は死ぬ。

 だから……!


「【重力操りで浮遊移動(グラビティムーブ)】!」


 あたしは重力を変える事で、疑似的に空中飛行!

 そして……


「ほら! 掴まって!!」

「おう!」

「うむ!」

「!?」


 なんとかあたし達は落ち続けた三人を回収し、捕まえることができた。


「な……!? お前羽がないくせに空を飛べるのか!?」

「あー…………」


 リュチェちゃんのお父さんが驚くのも無理はないけど……


「気にするなおっさん。こいつはそう言う事が出来ちゃう女だ」


 シアン。その説得はどうかと思うわ。


「そうか。なら仕方がない」


 納得しちゃうんだ……


「グルゥゥゥゥゥゥゥゥ…………」

「「「!」」」


 すると、自分の吐いた息が外れたことが分かった首の長い竜は唸り……


「グルァ!!」

「「「!」」」


 え? ちょ、こっちへむかって……!


「一旦引け!」

「…………!」


 マゼンタの指示にあたしは一旦竜から離れた。


「ちっ! 仕方がない。少々予定が違うがこのまま空中戦といく」

「え!? マゼンタまさかあんたの言ってたことって……!」

「ああ。お前のその浮遊できる技であの首長竜と戦う!」

「でもどうやって!?」


 言っておくけど今のあたしの両手、あんたたちのせいで塞がっているのよ!?

 それを……


「イエロー。うつ伏せになるように地面と平行な姿勢になれ」

「? なんで……」

「いいから」

「…………」


 なんかよくわからないけど……

 まあ、言われた通りに、あたしの身体を地面に寝かせるようなし性にして平行にすると……


「ほら」

「!?」


 あ、ちょっとあんた……!


「ああ、なるほど。よっと!」

「ちょ……!」

「こうすればいいのか?」

「待ちなさいよ!」


 この体勢って……!


「あんたらなにあたしの背中の上に乗っているのよ!!」

「なに、これがシアンに代わるイエローの移動術、【三位一体トリニティ・改】だ」

「改って…………!」


 あたしはただの移動要員か!


「おいおいマゼンタ! お前そんなことを考えていたのか!?」

「ああ。シアンほど早くはないが俺たちもイエローと同じように飛べる方法を考えてできたことだ」

「すげーな。イエローお前まるでおとぎ話に出てくる絨毯じゅうたんみたいだぞ!」

「知らないわよ!!」


 どんな絨毯よまったく……


「……でもあたしの【重力操りで浮遊移動(グラビティムーブ)】はいろいろと制約があるのよ」

「それは他人の場合触れない限りであり時間制限があると言ったな。ならば常に触れ続ければどうなのだ?」

「……それは問題ないけど……」


 あたしの【重力操りで浮遊移動(グラビティムーブ)】は確かに他人を浮かせる場合触れないといけないし触れてからでも制限時間がある。

 でも触れ続ければその問題は解消されるけど……


「でもさすがに三人乗せるのはきついわよ!!」


 いや、重さに関しては何とかできるけど、問題は面積よ!


「はっはっは! イエロー! お前常にこんな感じで走らされているんだぜオレ。どうよどうよ!」

「くっ…………!」


 シアン……軽い調子で【三位一体トリニティ】って言ってごめん……!

 これ結構、来るわ……!

 でも……!


「でもマゼンタ! これってただ単にあたしが飛んでいるだけじゃない! どこが『三位一体』なのよ!」

「安心しろ。これは効率の良い移動と攻撃の役割分担だ」

「「え?」」


 役割分担って……


「シアン! お前は《音》の力で常に攻撃に対して気を配れ!!」

「え!? オレが!?」

「俺は《熱》の力であの首長竜を攻撃する!」

「!」


 つまり……


「イエローは《重力》で移動、シアンは《音》で感知、俺は《熱》で攻撃、それぞれの役割をこなせ」

「……おう!」

「わかったわ!」


 マゼンタ……

 こいつ、とんでもない事考えているわね……!


「時々俺とシアンの役割が入れ替わる。その時は俺が合図を出す。いいな」

「あ、ああ……わかった」


 なるほど、通常の【三位一体トリニティ】は移動のみに対し、こっちは移動しながらの攻撃用ってわけね、

 でも、それだとリュチェちゃんのお父さんは……


「少女の父親。お前は俺たちの事をちょく見届けておくんだ」

「あ、ああ……わかった」


 リュチェちゃんのお父さん、驚きすぎて声が出ないわね……


「ただ、振り落とされないように気をつけろ」

「気をつけろって、どこにも捕まるところはないが……」

「まーイエローってば掴まるような凹凸は無いしな。はっはっはっは!!」

「…………!」


 シアン……

 後で覚えてなさいよ……


「来るぞ! お前等気をつけろ!」

「「「!」」」


 すると前方であの首長竜が空を飛んでこっちへ来る!


「イエロー! 前進!」

「わかったわ!」


 あたしはマゼンタの指示を聞いて、空中の状態で前へと進んだのだった。

次回は空中戦となります。

さて、どうなるやら……

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