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コンプレックスな反逆者たち  作者: ゾンビ―鈴木
第一章・剣と魔法の世界編
6/114

発覚。そして・・・・・・

振り返ってみたら、まだ剣も魔法も出でいませんでした。すいません。

もう少ししたら出ますので。後もう少しお待ちを。


  Side:藍


 オレとマゼンタは幼少のころからの付き合いであったが、イエローは違う。

 彼女と初めて会ったのはオレが十五のときであった。当時のオレはもうまだ小柄ではあったものの周りから「チビ」と呼ばれるほどのものではないのだが、その時のオレはある事情により自暴自棄になっていた。

 そんな時に初めて会ったのがイエローだった。


 第一印象としては……


 腰まで長い髪。

 歳に合わないほど大きな胸。

 女子としては高い身長。

 そして男勝りな強い口調。


 とにかくそいつは『頼りになるお姉さんのような人』であった。

 若干暴力的な気がしたけどまあだいたいそんな感じだ。


 彼女と初めて会ったのは十五歳の時。

 マゼンタがイエローと初めて会ったのもオレと同じくらいの歳だ。

 レジスタンスのときは二十二歳。

 もう七年の付き合いである。


 しかしそんなオレやマゼンタでも彼女が過去にコンプレックスを抱いたことなど、全く知らなかったのだが……






――――――時は少々さかのぼって――――――

――――――シアンが悪魔との契約を思い出している頃――――――


  Side:黄


「……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ…………!」


 さっきからあたしは必死になって走っている。

 先ほどからシアンの絶叫が聞こえるところへ、とにかく無我夢中で走っている。


 何であたしはこんな姿になっているんだろう。

 髪が短いわ、胸がぺったんになっているわ、こんなのあんまりよ。

 けど心当たりはある。恐らく、あの悪魔との契約で言ってた“もっともなりたくない姿”というものなんだろう。

 しかし、またこんな姿になってしまうとはね……


「腹立つわ……!」


 あたしの幼少期や少年期(少女だけど)はとにかく恥ずかしかった。

 当時はまだ子供だったから胸がそんなにないのは当たり前だったが、当時から比較的高かった身長、そして男のように短い髪、そして今よりも男勝りな性格が女らしさを感じさせなかった。

 しかもそのうえ、女子をいじめる男子を成敗することも多かったため、周りからは「アニキ」と呼ばれてしまう羽目に。しかもその日から女子には告白されるなど思い出すだけで恥ずかしくなるような過去よ。

 

 話がずれてしまったけど、あたしがそうなってしまった以上、残りのあの二人も『何か』になってしまったのだろう。

 だったらここは二人がどんな姿になっても笑わず、真剣に接してやろうではないか。

 さすがにこんな姿であったらあいつら驚くだろうな。


 っと、そろそろかな。

 木々を素通り、草を分け、あたしは目当ての横顔に声をかける!


「おーい! シアーン! マゼンター!」


 見えてきた!

 あたしの声に対しこっちへ向く彼。

 さて、あいつらはいったいどんな姿に……


「イエロー! お前は無……事…………」


 …………シアン。

 シアンが、こっちを見て驚愕の表情を浮かべている。

 あー……あたしの姿を見て驚いているな。だけど……


「あんたらも………!」


 予想に反せずなんて姿に……!

 一人は、身長百七十センチはあったものが二十センチも縮んでしまっている。

 もう一人は、筋骨隆々だった身体が、今ではぶよぶよな体に……


「……………………」


 二人が呆然とあたしの姿を見ているけど、あんたらの姿も十分呆然ものよ。

 ……だめよあたし。驚くならまだしも、ショックを受けたようなリアクションをしてはいけない。

 この二人はきっとあのような姿から頑張ってきたんだから。


「……………………!」

「……………………!」


 …………ん?

 あれ、何か二人がうつむいて震えているんだけど…………

 いけない! 二人を傷つけてしまったの?

 ごめん、シアン。マゼンタ。あたしはそんなつもりじゃ……


「……あっはっはっはっはっは!!」

「……っくっくっくっくっくっく!」

「…………へ?」


 シアンがお腹を抱えて笑い転げるし、マゼンタが顔を伏せて含み笑いをするんだけど…………

 え? なに? 何で笑ってるの?

 わけ分からないんだけど……


「なんだよイエロー! そんなに髪短くして、イメチェン!?」

「どうしたイエロー。そんなにに胸を削って、イメチェン?」

「……………」


 こいつら……

 自分の事を棚に上げて……!

 心配したあたしがバカみたいじゃない…………!

 

「あ……あ……あ……!」


 ああ……もういい。

 遠慮する必要なんていらないわね。

 よろしい。だったらこのあたし、容赦しないわ!


「あんたらぁ――――――!」


 ……もう、さっきまでの心配はなんだったやら…………



――――――十分後――――――



「はい、あたしに何か言う事ある?」

ばい(はい)ずびばべんべした(すみませんでした)

「すまない」


 と言う訳であたしの目の前には顔をボコボコに腫らしたシアンと、ほとんど無傷のマゼンタの姿が、

 まったく、シアンは簡単にボコボコにできたけどマゼンタのあの身のこなしはなによ。太っているのに異様に素早いわ。

 まあ、結局謝罪してくれたようだけど。


「マゼンタ。さっきちょっと聞こえたけど元に戻れる方法があるってホント?」


 それにしても、さっきこの男がなにか気になることを言ってたわね。

 この男は無駄に筋肉質であるくせになかなか頭が切れるから侮れない。

 もっとも今は筋肉があるかどうか疑問だけど。


「ああ。俺たちがあの悪魔にまんまと利用されてるという事も」

「利用されるだと?」


 え、それって……どういうこと?

 シアンと同じくあたしもわからないんだけど……


「そもそもあの契約が始めからフェアじゃないことは解っていた」

「「えっ!?」」


 シアンと同時に驚くあたし。始めからフェアじゃないって、


「どういうことよ? マゼンタ」


 全くわからないから説明を要求すると、マゼンタは順序良く教える。


「うむ。まず神に勝てば亡骸を引き渡し、力の対価は払わずに済む。しかし、敗れた場合、力の対価が払われる。そして対価は“姿”が奪われ、“もっともなりたくない姿”になると言っていたが、それはつまり生きたまま屈辱的なことになるという事だ」

「うん、そうね」


 現にあたしのこの姿、すっごく嫌だわ。

 シアンだって、折角そこそこ格好良かったのに今ではただの子どもにしか見えない。


「しかしあの後、あの悪魔はこう言ったのだ『まあ、君たちが神に敗れ、それでもなお生き延びているならばね』、とな」

「はぁ? それがどういうことだよ。マゼンタ」

「つまり、だ。この戦いでは勝って生き残るか、負けて死ぬかのどちらかなんだ。なにせ犯罪者には容赦のない奴らだからな」

「あ…………」


 確かに、私たちレジスタンスの中には大切な人が『処刑』された人たちもいたから、死ぬ思いで動いていた人たちもいた。

 つまり、負けた後に生き延びるなんて考える人なんてほとんどいないんだ……


「だからこそ、負けて生き残るというようなことはないからどちらにしろ勝っても負けても”姿”が奪われるようなことはないのだ。…………普通はな(・・・・)

「普通はって……」


 普通じゃあないことはなんなのよ。


「ちょっと待て、マゼンタ。一ついいか」

「なんだ?」


 シアンが手を挙げて質問をしてくる。

 あ、この妙に目が泳いだ表情って……


「今の所、もう一回いいか? あともうちょっとでわかる気がするんだが……」

「逆になぜわからないところがある。イエローに訊け」

「ちょ、それはないだろマゼンタ!」


 ああ、やっぱり……

 シアン程度にここまでの理解は難しいか。

 しかたがない。一応あたしが補足説明をする。


 で、マゼンタが言いたいことってつまり……


「おそらく、あの悪魔は神に敗れた俺たちを……助けるつもりだった」

「何っ!?」

「ええっ!?」


 助けるつもりって……

 だってあの悪魔は神とは戦えないんじゃ…………!?


「確かに神とは戦えないかもしれない。しかし、介入ができるはずだ」

「待てよマゼンタ! そんなことをして何の得になる!?」

「それはな…………








 …………俺たちにもう一度神に挑ませる気だからだ」








「え………どういう…………」

「それって……」


 その言葉にあたしはようやく気が付いた。

 まさか……!


「じゃあ、失敗したら“姿”が奪われるというのも……」

「そうだ。“姿”を奪ったのも、もう一度神と闘わせる気を起こすためだ」

「じゃあマゼンタ。つまり悪魔がやろうとしてたのは、」

「そう、あの悪魔は“姿”を奪われた者たちに神の亡骸を取引に元の“姿”に取り戻させるように囁き、闘う気を起こし、そして……」


 ……神が敗けるまで、何度も神と闘わせるつもりなのだ。

 そう彼がいう事が予想できたけど、そう言われそうな前に……


«大方、その通りだよ。人間»

「!?」


 この声は、まさか……!

あの方の登場です

次で説明会は終わりますので。

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