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コンプレックスな反逆者たち  作者: ゾンビ―鈴木
第一章・剣と魔法の世界編
5/114

回想、そして集結

最後の一人も出ます。

  Side:紅


 現在、俺の目の前ではシアンがものすごく悲壮感漂う顔でうなだれている。

 まあ無理もない。自分の身長が20㎝位も縮んでいちゃあ落ち込むだろう。

 だがそろそろ、本筋に入らなくてはならない。


「おい、何時までうなだれてんだ」

「……………………」


 へんじがない。

 ちっ。時々めんどくさくなるんだこいつは。


「俺たちがこうなった原因はもうわかってる」


 そう、わかっているのだ。

 こうなってしまったのは恐らくあのことが原因である。

 俺は知っているし、シアンもイエローも知ってるはずであるが、


「えっ、知ってるの!?」


 そんな喰らいつき方だと、少なくともこのチビは知らないようだ。

 まったく、理解力の足りない奴だ。


「逆に何でお前は分からないのだ。お前も心当たりがあるはずだろ」

「いや、心当たりがあると言われても?」


 本当にこいつは分からないようだ。

 ちっ、仕方がない。


「お前、悪魔との契約の話は覚えているか?」


 俺はあの時初めて力を手に入れた時のことを話すと、シアンは案の定、わかりやすい表情で思い出した。

 さすがにそこは覚えているようだ。


「それは覚えているけど、それが?」


 ……しかしまだなんなのかわかっていない。

 こいつ、本当に頭が悪い…………


「まだ分からんか? ならしっかりと、一言一句間違えずに思い出してみろ」


 そう、俺が太ってしまい、こいつが縮んでしまったのは……


 ……おそらく、あの契約の事だ。








――――――回想シーン――――――







  Side:???


「もし、君たちがその力を使い、神を倒したのならば。その亡骸を我にくれないか」

「「「!?」」」


 ……うむ、我の言葉に三人は動揺する。無理はないが、この程度で動揺されればまだまだだな。


「もし、君たちが神の亡骸を我にくれるならば、力を与えたことによる対価の支払いはなしにしよう」

「なにっ!」

「対価はいらないだと!?」

「どういうことだ……?」

「つまり勝てば犠牲はなしということか?」

「しかし、神に亡骸はあるのか?」


 我の発言に、人間どもは小言を禁じ得ない様子だ。

 ふむ、中央の三人も黙ってはいるが驚きを禁じ得ない。

 だが、三人のうち赤黒い肌の男が前に出てきた。


「もし、俺たちが神に敗れ、死んでしまったらどうする。魂でもいただくのか」


 ……負けた場合か。

 ふむ。確かに疑問にするのは分かる。が、そこも考えておる。


「なに。我は貴様等の魂をいただきはしない。いただくのは“姿”だ」

「“姿”?」

「そうだ。我は違うが数多の悪魔の中には人間の“姿”を借りて行動をする悪魔がいる。それを貰い受けるのさ」


 我の言葉に男は思案している。

 うむ、この男はなかなか思慮深い様子だ。


「つまり俺たちが敗けた場合、俺たちの“姿”が他の悪魔に使われてしまうという事か」

「そういうことだ」


 そう、人間の皮をかぶった悪魔とあるが実は比喩ではない。

 実際には死んだ人間の姿になりその人間の遺族に近づき、魂をさらうという話がある。


「“姿”を奪われた後の俺たちはどうなるのだ?」

「それはな、今の”姿”を奪われると過去に実際になった“もっともなりたくない姿”になってしまうのだ」


 もっともなりたくない姿。

 弱い人間には、誰にでもみじめな姿のひとつやふたつはある。

 そんな姿にされるという事はつまり、一生劣等意識とつきあうことになるということ。

 もっとも……


「まあ、君たちが神に敗れ、それでもなお生き延びているならばね」

「……………」


 我の言葉に沈黙する人間たち。

 姿を奪われると言われても具体的になんなのかはわからないのだろう。

 思い出したくもないことからかわかりたくないという事なのかもしれないが。


「それでもかまわないのならもう一度、我に力が欲しいと言ってみよ」


 その後、彼らは承諾、我と契約をする

 本当の悪魔である我と……








――――――回想終了――――――






  Side:藍


 お、思い出してしまった。

 そうだ、オレ達は確かに悪魔との契約でそんなこと言ってたよ。

 つまりこの姿は、


「“もっともなりたくない姿”」

「そういうことだ。俺もお前もみじめだな」

「…………ひどい」


 ということか……

 確かにオレは昔、子供の頃は本当に小さかった。なにせ弟に身長で負けてしまうくらい小さかったのだ。

 そうだよそうだよ、昔のオレは何かと「チビ、どチビ」って呼ばれてたんだよなあ。

 それで必死になにかと身長伸びるように運動やら食事やらで頑張って、それでようやく170㎝と努力が報われてきたのに……


「……また……チビに………返り咲き………」

「落ち着けシアン。大体、返り咲きの意味が違うぞ」


 あれ……そうだったっけ? 昔呼んだおとぎ話に書いてあったことなんだが……


「ったく、背が少し縮んだくらいでうだうだするな。鬱陶しい」

「…………はぁ?」


 なんだと…………?

 その一言、カチンときた!


「なんだとマゼンタ! 努力が否定される辛さをお前は解ってんのか!」

「知らん」


 こいつ……!

 こいつだって子供の頃はあの筋骨隆々には信じがたいくらい太っていたんだ。

 触れると弾むお腹。降れば揺れる肉。こいつは周りから肥満体系呼ばわりされていたんだ。

 種類は違えど同じコンプレックスを抱える者同士なのに……!


「そうじゃない。元に戻る方法があるかもしれないと俺は言っているんだ」

「え…………何……?」


 元に戻る方法がある?

 本当か? 本当なのか?


「いったいそれはなんだ……」、

「おーい! シアーン! マゼンター!」


 ん?

 今、横から声が聞こえてきたけど…………!


「この声は、あいつの…!」


 しかも声が妙に変わった感じがしない!

 てことは!

 あいつが来る!!


「イエロー! お前は無……事…………」


 …………あれ? 無事では、ない?

 オレの記憶と当てはめると、そこには腰まであった金髪がかなり短くなってしまい、しかも巨乳とまで値した胸が真っ平らになってしまっていた……


「あんたらも………!」


 イエローだった……

 …………イエロー!?

イエローは女性です(念のため)

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