正義の在り処
残酷な描写があります。
思想的に偏っているかもしれません。
それで良いという方だけおすすみください。
「あなたに一つ質問する。これを断ることは許さない。そして正直に答えてもらいたい」
煙が立ち込める部屋。周りには銃を突きつけられている人々。そして、俺の目の前には貴族たちが食事に使うようなとても長い机をはさんで、リーダーと大統領が向かい合っていた。
そして、リーダーは大統領が返事をするのを待たずに話を続けた。
「大統領、あなたの正義とはなんだ?」
正義。正義とはなんなのだろうか?
これは、この作戦が始まる前に俺がリーダーに尋ねた質問そのものだ。
正義の在り処
俺は、大統領府の周りにある森の中に身を潜めていた。
大統領府周辺にはテロを警戒して集まった警官、自衛軍たちが集まりとてもじゃないが突入できる状況じゃない。この状況を目の前にして俺は銃を持つ手が震えていた。
「おい、緊張しているのか?それとも怖くなったか?」
ポンッと方に手を置いてリーダーが話しかけてきた。
「いえ、緊張などしていません。怖くも無いです。これは武者ぶるいっていうもんです」
これは強がりだ。この作戦が実行されれば、俺は死ぬかもしれない。それが堪らなく……怖い。
「そうか。まぁ、怖いのなら家に帰れば良い。なに、誰も責めたりしないさ。お前が選んだ道なんだから、誰にも責める権利なんて無い。だが、ここに残るのならば死ぬ覚悟はしてもらわないといけないけどな」
リーダーは笑顔で応えた。
強がりでも、虚勢でもない。ただ穏やかにその時を待つ老人のように達観した表情で。
俺たちがやろうとしているのは革命だ。
腐りきった貴族たち、そしてその貴族たちのみが幸せになる法律。それを定める大統領。
この腐りきった国を立て直すには、もうこの方法しかない。というか、それ以外考えられなくなっていた。
そして、そのチャンスは今日廻ってきたんだ。今日、大統領府で舞踏会がある。
そこには、腐りきった貴族たちが集まり、大統領も姿を見せる。ほんと、大統領府というものは政治を行う場所であって、舞踏会などを開く場所ではない。この様な有様、腐ってるとしか思えない。
こいつらが、この腐った貴族共が俺の家族を奪ったんだ。
◆
忘れもしない5年前。
俺が20歳のときだ。俺ら平民の仕事といったら会社の雑用、もしくは農業しかない。俺は事務の雑用として働いていた。重労働で、長時間の勤務ではあったが収入もそれほど悪くも無い。生活していくことに関しても不自由はしなかった。それに、その時の俺はそれが当たり前だとも考えていたし、俺はその生活自体に満足すらしていた。
だが、そんな考えを一変する出来事が起こった。
俺の家が貴族に燃やされたんだ。酔っ払った貴族が親父の目つきが悪いなどといって絡んできて、挙句の果てに貴族が妹を連れ去ろうとした。そこに親父が割って入って妹を助けたものの、それが気に入らなかったのか、数時間後に大男を連れて家にきて親父や妹、お袋の手足を縛り家に火を放ったんだ。手足が縛られていて逃げることも出来ず、ただ自分の体が燃えるのをじっと耐えるしかなかったのだろう。さぞ、苦しかっただろう。さぞ、辛かっただろう。俺は悔しさで涙が止まらなかった。
犯人は分かっている。帰宅途中の俺や周りの同じ平民の仲間がその放つ瞬間を目にしていたんだから。
もちろん、その貴族を裁判で訴えた。だが、結果はこちらの敗訴。
理由は、『平民の言う事なんて信用出来ないから』らしい。警察の現場検証でも事件ではなく、事故だとして処理され事件としては扱われなかった。黒くこげた俺の家族は燃え尽きていてもわかるくらい不自然な格好をしていた。手足を縛られていた形跡もはっきりとわかる。どうして、どうして、事件ではなく事故なんだ!こちらには何の落ち度も無いのに、どうしてこんな目にあうんだ!!
どうして、正義を行うはずの警察も裁判所も正義を行わないんだ!!この国の正義はどこになるんだ!!!
悔しさを通り越して、怒りで体が震えた。
この腐りきった国が憎くて仕方ない。だから、俺はこの国を壊そうと決意したんだ。
◆
作戦開始時間までのわずかな時間。俺は、この時間を使って、胸につかえているもやもやをどうしても晴らしたくなった。この作戦で俺は死ぬかもしれない。なら、死ぬ前に遣り残したことをやってしまいたい。
「リーダー。俺たちがやろうとしてることって、正義……ですよね。長い間迫害を受け続けた平民を助けるために、俺たちはこの国を変える。これって、正義なんですよね?」
俺は自分の中にある疑問をリーダーにぶつけた。
近くに居た同胞たちは口々に『勿論正義だ』、『あたりまえだろ』と答えてくれる。
だけど、俺が聞きたいのはリーダーの意見だ。
「俺たちのやろうとしていることは正義だ。それは間違いない。だけど、お前が言いのはそういうことではないのだろう?」
「俺たちは、ここまで来るのに多くの人の命を奪った。そして同胞の命を奪われた。命を奪う行為は悪だと思う。だけど、俺はその行為に何も感じずに今までやって来た。相手は敵だから。だけど、本当にそれは正しいことだったのかと疑問に思う」
命を奪う行為、それ自体に疑問も何も無い。殺らなければ殺られる。ならば、殺られるまえに殺る。だけど、俺の思っていた正義は本当にそんなものだったのだろうか?
「正しいかどうかはわからない。だけど、そうしないとお前はいまここには居ない。ただそれだけだ」
リーダーは俺に諭すように続けた。
「これは戦争なんだよ。そこに正しいも間違ってるも無い。ただあるのは命のやり取りだ。だけど、俺たちのやっているのは殺し合いじゃない。正義の為の聖戦なんだ。この戦いが無ければ、お前たち平民はずっと虐げられ、お前の家族にあったような出来事がまた繰り返される。そうならないためにお前は戦っているんじゃないのか?」
「俺は、俺みたいな奴を増やしたくないから戦ってる。この腐りきった国を変えるために戦ってるんだ」
「そうだ。俺たちは正しいことをしているんだ。だから、正義なんだよ」
そういうと、リーダーはフッと笑った。
◆
作戦決行の時間になった。
手はず通りに正面玄関が爆破され、そこに集まった警備兵に先行部隊が手榴弾を投げつける。
とても大きな爆発だ。森の中に待機している俺にもわかるくらい、兵士たちがばらばらに飛び散っていた。だけど、今はそんなことにかまっている暇は無い。心が凍っていく。人の死に何も感じない。目の前で撃ち殺されていく同胞たちの死を見ても何も感じない。ただ、あるのはこの国の癌を取り除くことだけだ。今は、ほかの事を考えている時間はない。
手榴弾の嵐を生き延びた警備兵たちを今度は俺たちが、撃ち殺す。
大統領府に突入するのには邪魔だから。
あちこちから断末魔が聞こえてくるがそんなものはいつものことだ。同胞たちの叫び声。敵兵の絶叫。目の前には、手榴弾で両足が吹き飛んだ兵士が命乞いをしてくる。
「た、助けてくれ!こんな体じゃなにもできない!だから、命だ「ドン」
俺の持っていた銃から煙が上がる。目の前には生きている兵士は居ない。
「こちら突入隊アルファ。突入路確保完了。これより、中のゴミどもの排除に移る。各自突入で着次第応援を頼む」
後ろに居た通信兵が同胞たちに突入路を確保したことを告げる。
俺はそのまま突入を開始した。
大統領府の中は思った以上に警備は手薄だった。たぶん、表ですべて防げると思っているのだろう。
だけど、警備兵の大半はもう居ない。正面玄関の爆発に全ての警備兵が集まってきて、その集団に手榴弾を雨のように投げつけ続けたんだ。もう、死体とは言え無いような物がたくさん出来上がっていた。
外は、もう良い。今は大統領を確保することだけを考えよう。
とにかくすれ違う人全てを撃ち殺した。そして、いくつかの部屋を突き抜けた先に大統領は居た。
周りにはたくさんの貴族たちが居て、宴会の途中という状態だ。外の状態なんて知らないようだ。
「動くな!!誰一人動くな!動いたら殺す。これは脅しじゃない」
銃を構えて脅す。いや、これは脅すという行為じゃない。これは命令だ。
それでも、反抗的な奴は居るみたいで、逃げ出そうとする奴が居た。
あいつは……俺の家族を殺した貴族だ。
「ひっ!」
「バレバレだ」
ドン
俺の銃から再び煙が上がる。
右足を押さえのた打ち回る貴族。それを見て、悲鳴を上げる貴婦人が居るが今は無視だ。とにかく、このゴミ虫の始末が先だ。
「久しぶりだなキゾクサマ」
ドン
奴の左足のつま先を打ち抜いてやった。ちょうど親指があったであろう場所からはドクドクと血があふれている。そして、靴に開いた穴から床が見えていた。
「うぁああぁぁぁぁ!!」
貴族の悲鳴が部屋に響く。
「俺のコト覚えていますか?」
ドン
次は、傷口を押さえている手を打ってやった。
左手の中指から小指までが吹き飛んでいた。
「うああぁぁ手がぁぁぁあ!!」
「うるさいな。俺の質問に答えてくれよ」
ドンドン
両足のひざを打ち抜いてやった。これで奴はもう二度と歩けないだろう。
「お、お前なんて知らない!!た、助けてくれ!!」
「やっと俺の質問に答えてくれた。だけど、俺のコト忘れたのか……残念だ。まぁ、貴族なんてそんなものだろう」
「なんでもする。だから、命だけは助けれくれ!!」
「俺の家族も、そう言って命乞いしたんだろう?だけど、それには応えずに殺したのはお前だ」
そういって、俺は奴の口に銃を突っ込んだ。
奴の表情は恐怖しか映っていない。
「まぁ、助けたら何でもするんだろ?そうだな、もうしゃべらないならもう撃たない」
「わかった!!もうしゃ「ドン」
「しゃべるなって言っただろうが、まぁ俺も鬼じゃない。これでもうしゃべらないだろ?だからもう撃たないよ」
もう奴に興味は無い。もともと罪の意識なんてものに期待なんてしてない。貴族にとって平民は虫みたいなものなのだろう。だから、もう良いんだ。あいつとしゃべればしゃべるほど馬鹿らしくなる。だから、もうしゃべらない。っていうよりも、あいつはもうしゃべれないんだ。なんたって、俺が下あごを吹き飛ばしたんだから。
「おい、そこら辺にしておけ」
気がついたら、後ろにリーダーが居た。
「お前たちは、貴族たちが変な行動をしたら、射殺しろ。俺は、大統領と少し話があるんだ」
さっきの貴族は意識があるのか、うめこうとしているがごぽごぽと血の泡を吐くだけになっていた。その状態になっているのを確認して、俺はチームのフォーメーションに戻った。
俺たち、アルファチームは銃を構え変な行動をする貴族を威嚇する姿勢に入る。
リーダーは、貴族たちが使う長机の大統領の正面に座り大統領に話しかけていた。
「あなたに一つ質問する。これを断ることは許さない。そして正直に答えてもらいたい」
煙が立ち込める部屋。周りには銃を突きつけられている人々。そして、俺の目の前には貴族たちが食事に使うようなとても長い机をはさんで、リーダーと大統領が向かい合っていた。
そして、リーダーは大統領が返事をするのを待たずに話を続けた。
「大統領、あなたの正義とはなんだ?」
◆
さっきの俺の行動で、周りの貴族たちは全く動かなくなった。いや、恐怖に身を震わせているが反抗するような馬鹿な行為はしていないっていうのが正しい。
俺の家族を殺した貴族は、初めのうちは呻いていたがやがて動かなくなった。
大統領と大きなテーブルを挟んでリーダーが話し合っていた。
この作戦が始まる前に俺がリーダーに尋ねた質問をリーダーが今、大統領にしている。
「私の正義とは、我々の生活を守ることだ。私はその生活を守るために今まで正義を貫いてきた。今日の貴族会も、これからの方針に協力を願うために行ったものだ。お前たちが考えているような怠慢は私にはない。つまり、お前たちのやっているのはただの犯罪だ。お前たちに正されるような事はやっていない。私はあくまで正しいことしか行っていないのだ」
大統領の瞳には迷いが無い。つまり、本当に正義を行っているつもりなのだろう。
「ふざけるな!お前らがこの国で正義を行っていたのなら、俺の弟は殺されなかったはずだ!!」
俺の隣に居た同胞が叫びながら大統領に銃口を向ける。
俺も同じ気持ちだ。この国が腐っていなかったのなら、俺の家族は死ななかったはずだ。それに俺が手を下さなくても、あの貴族も法が裁いていたはずなのだ。
その法が機能していない。警察が機能していない。つまり、この国の司法は死んでいるんだ。その司法の絶対的決定権をもっているこの大統領が腐っているからこんな世の中になっているのに。
この大統領の主張どおりに正義があるのなら、俺たちのような人間は生まれなかったんだ。だから、この大統領は嘘をついている。
怠慢を行い、その事実を隠そうとする。それこそが、正義が行われていない確かな証拠だ。
「おい、まだ撃つな」
リーダーがそっと隣の同胞に声をかける。
リーダーの指示に従い、銃を降ろすがその目は未だに大統領を撃ち殺さんとぎらついている。
「さて、話に戻ろう。もし、あなたの言うとおり正義を行っていたのなら、どうして我々がこういう行動をとっているのかわかるか?」
「さぁ、お前らの考えることなどわかるはずなど無い。お前たちのような悪の権化のような奴らの行動など理解できないさ」
鼻であざけ笑うような笑い方をする大統領。
俺の心は予想通り過ぎて帰って冷めていた。この大統領だからこの国は腐ってしまったのだ。
ならどうするか?
そんなの決まっている。だが、一つだけ聞きたいことがあった。
「大統領、あんたにとって俺たちはいったいなんだったんだ?俺たちは、お前にとっての国民ではなかったのか?さっき、あんたは俺たちの生活を守ることが正義だと言った。だが、実際に俺たちはその生活が守られなかった。不当な扱いを受けた、そんな理由があるからここに居る。俺たちのような辛い思いをする人間を減らすために俺たちはここに居るんだ。つまり、あんたは自分の正義が守れてなかったんじゃないのか?」
俺の言葉を聞いて、仲間たちはうなずく。
そう、俺たちはそれぞれ辛い経験をしてここに居るんだ。仲間を救うために。同じ思いをさせないために。それぞれの正義を胸に握り締めてここに立っているんだ。
だが、そんな俺たちを嘲笑する笑い声が包み込んだ。
「何言ってんだ?私の言った我々というのは、お前たちの言う貴族のことだ。私の使命は貴族たちを守ることだ。お前たち、人間以下の者たちには一切の興味が無い。お前らがいくら正義をかざそうがそんな虫の様なものに屈したりしないさ。それに、もうそろそろここを警備しているものたちがお前らを殺しに来る。お前らのような害虫が居るから、我々の正義が犯されるんだ。さっさと死んでしまえ。我々には向かうようなお前たちには生きている価値さえないのだから」
俺以外の同胞たちがいっせいに銃を構える。
俺とは違い期待していたようだ。もう、俺の聞きたい事を聞いたし大統領には興味が無くなった。俺の求めている正義をやはりもっていなかったんだ。
こいつは悪だ。俺たちを貶めるだけの悪。
それだけ分かれば充分だ。こいつに生きている価値なんて無い。
隣の同胞が、引き金を引こうとした瞬間。
「なるほど、確かにあなたは正義を貫いていたのかもしれない。だが、それは俺たちにとっては正義じゃない。だから、あなたは悪だ。それに、あなたが期待してる警備の者たちは俺たちが全て殺した。つまり、あなたはもう助からないんだ。残念だったな。だが、いいじゃないか。正義を貫いたゆえに死。格好の良い死に方で」
そういうのが早いか、リーダーは持っていた銃で大統領の眉間を撃ちぬいた。
大統領の表情は、驚愕の色だけを残し生命機能を失っていた。
大統領の死が引き金となり、同胞たちが周りに居た貴族たちを撃ち殺し始めた。
「お前たちが虫だ。俺たちをしゃぶりつくす害虫だ!!」
「お前たちのせいで、家族が死んだ!!」
「お前たちさえ居なければ!!」
「お前たちを許さない!!!」
「死ね!!」
「死ね!!」
「死ね!!」
「お前たちは全員死ねば良いんだ!!」
同胞たちは豹変して貴族たちの虐殺を始めた。
俺はというと、そんな同胞たちを見て心の底から這い出てくるような疑問が膨らんでいた。
ぽん
肩にリーダーの左手がある。
「お前はやらないのか?」
リーダーがさしているのは貴族殺しのことだろう。
「俺はもう良いです。仇はとりました。だけど、今の同胞たちを見ていて正義を感じることが出来ません。正義ってなんなんですか?」
作戦開始前の質問をもう一度リーダーに問いかける。リーダーはふっと笑うと語り始めた。
「俺たちは正義だ。虐げられている人々のために立ち上がり、命を懸けて戦った。それは正義なんだよ。確かに正義なんだ。だけどな、正義って言う言葉の裏に何があった?セイギという言葉は便利だよな。今目の前に広がっている風景。それが俺たちのセイギの本当だよ」
目の前には狂気に満ちた目をして泣き叫ぶ貴族たちをなぶり殺しにしている同胞たち。
呪いの言葉を叫びながら銃を撃ち続ける。
これは本当にセイギなのか?
「正義なんてものは、立場、主義、主張、考え方。その全てで変わる。たしかに、大統領が行っていたのも正義だ。だが、俺たちの行ってきたことも正義。つまり、正義というのは捉える人の主観でしかないのだよ。貴族からしたら俺たちは、自分たちの世界を壊す悪そのものだったんだろうよ。俺たちからすれば、俺たちを虐げ苦行を強いてきた貴族が悪だ。そして、お前が正義たと思ったものはお前だけの正義であって、俺たちの正義じゃない。さらに言うと、お前を含めて俺たちは正義という名の復讐をしているんだよ。家族を奪われた者、友達を奪われた者、そういった不の感情が爆発し、正義という名を借りて立ち上がる。俺たちは正義であって正義じゃない。正義って言うものは悪ということなんだ。まぁ、簡単に言うと俺たちは正義の復讐者って言うことだ」
今まで自分が信じてきたものが壊れる瞬間だった。
自分がなぶり殺しにした貴族を見る。あの時はある種の達成感すら持っていた。家族の仇をとったんだと胸を晴れた。
だが、今になって思う。
俺、あの貴族と同じなんだと。
「俺たちは、虐げられてきた人々からは正義の味方と称えられ、生き残った貴族たちからは悪魔の使者だと言われる。まぁつまり、個人の正義はどうであれ、歴史として認知される正義って言うものは大抵勝者なんだよ。例えそれが、お前の正義で無くてもそれが正義として扱われる。どうがんばろうが、お前の正義なんてものはこの世界にはありはしないんだ」
そういうと、出口に向かって歩き出した。
俺はもう自分が正義だとは思えない。もう何が正義かわからない。というよりもセイギがなんなのかがわからない。
混乱した頭で最後の質問をリーダーに投げかける。
「教えてください!セイギって本当に無いんでしょうか?」
振り向いたリーダーはさも当たり前のようにこう言った。
「俺がセイギだ」
この作品を読んでいただいてありがとうございます。
これを読んでなにかを感じていただけたら幸いです。
これは、私なりの正義の考察になります。
ご意見、ご感想、評価がありましたらよろしくお願いします。
作者がよろこびまわりますので。