ブリリアント2
まず、世間には大統領が暗殺されたことはすぐに公表しないことになった。公表する前にブリリアントを何とかしないと国中が大パニックに陥ることが間違いなかったから。
ブリリアントは犯罪者であるが国民に圧倒的に<正義の天誅を下す使者>としての人気を誇っており、そのブリリアントが大統領を殺したことを公表すれば、世間は大統領および国家そのものへの不信感を増大させクーデターやテロの発生につながることが明確だった。
国に召集されたイアンは、これらの一連の事件の内容の詳細な説明を受けた。
話を聞いただけでも非常に厄介な能力を持っている。簡単にとらえることは出来そうにない。また、説明の中で大統領の護衛中にブラウンも命を奪われていたことを初めて知った。当然、サマンサにも知らされていなかった。どう説明したら良いものか。
イアンは、ブラウンがかつてサマンサの能力について説明してくれたことを思い出していた。あの話が本当であるならば、サマンサは能力を開放してブラウンが殺される直前に時間移動し助けようとするだろう。その場に俺が一緒に移動できればブリリアントの行動を阻止できるかもしれない。ブラウンも大統領も助けることが出来るのでは。
後日、覚悟を決めてイアンはサマンサと会った。ブラウンと大統領が生きている世界を実現するために。
サマンサが激情により過去に戻るタイミングはブラウンが殺される直前であり、ブラウン殺害後すぐに大統領も殺される。
イアンはこの殺害状況を何度も監視カメラの映像で確認しており、回避するための対策を準備してきた。絶対に失敗出来ない、ただ1度のチャンスである。
イアンはサマンサの隣に座ると手を取りながら話し始めた。別の片手に“ある物”を持ちながら。
「これから重要な話をするので、気持ちを落ち着かせてほしい。」
サマンサは無言でうなずく。
「実は大統領が殺された。オーパーツにより瞬間移動ができるようになったブリリアントの手によって。そして、大統領が殺されたときにブラウンも命を落とした。俺もこの事実を知ったのは先日だ。サマンサにどのように説明するか考えていた。」
「君がブラウンをよみがえらせたいと強く思うなら協力する。俺は君と一緒に過去に戻りブリリアントの犯行を止める。約束だ。」
サマンサは驚きのあまり声も出せずにいた。
しばらく逡巡していたが、イアンの手を強く掴むと体が光り始めた。




