ブリリアント
第2陣探検隊が掘り出した他の2つのオーパーツ。1つは薄い緑色の光を帯びた金属片であり、もう1つは薄い黄色の光を帯びた金属片だった。黒色の金属片のこともあり残りの2つとも慎重に採取され保管された。保管先はオーパーツ研究所だ。研究所の所長はモハメッドだった。緑色の金属片は重さが0であり無重力の磁場を発生させていることが判明した。これまで不可能な技術と思われていたため研究機関はこの金属板の発見に大いに湧いた。どのような特性が引き出せるか未知数の為だ。
ただ、黄色の金属片はいくら調べてもどのような特性があるのか何もわからなかった。
ブリリアントは研究所においてオーパーツの保管が任務だった。そのため、オーパーツ研究所がタガールに対しどのような実験を行っていたかもすべて知っていた。出来ることなら非人道的な実験からタガールを助け出したかったが、個人の力ではどうすることも出来なかった。研究所所長のモハメッドも非人道的な実験に反対していたが、世界平和機構の圧力に屈するしかなかった。
研究所においてモハメッドとブリリアントはタガールの救出について何度も極秘に打ち合わせを行った。モハメッドがタガールの逃亡を助けたとき、一緒に逃亡するはずだったブリリアントは黄色のオーパーツを回収した。その際、素手で触れたため指先から金属片が侵入してきた。ブリリアントは激痛により意識を失いその場に倒れた。そのためタガールは1人で逃亡した。
タガールは逃亡する際、研究所のメインコンピュータを凍らせ使用不能にした。もともとコンピュータを爆破する予定であった。が、協力者であるモハメッドとブリリアントを火災の危険に巻き込まないために爆破するのを回避したのだ。
世界平和機構ではタガールが逃亡する際に黄色のオーパーツを盗み出したものと考えていた。
研究所の仕事に辟易していたブリリアントはタガールの逃亡を手助けした後、すぐに研究所を辞めた。幸いブリリアントの体に黄色のオーパーツが取り込まれていることはモハメッド以外には知られることはなく無事解放された。
タガールの大事件から3か月後、大統領はあっけなく殺された。ブリリアントの手によって。瞬間移動により簡単に殺されたのだ。その時、近くで護衛していたブラウンも殺された。ブリリアントが大統領を殺したのはタガールの無念を理解していたからだ。
大統領を殺すまでのブリリアントの主な犯罪履歴は罪人の処刑だ。この場合の罪人とは、本当は悪事に手を染めているのに法の下に裁かれなかった者や権力により無罪放免された者たちだ。言うなれば彼こそが世間が認める正義のヒーローそのものだった。
ブリリアントの手口は瞬間移動により罪人の命を奪う鮮やかな方法だった。
ブリリアントは体内にあるオーパーツにより瞬間移動する能力を手に入れていた。
世間は彼のことを認め応援しているが、国としては見逃すわけにはいかない。大っぴらに私刑が行われていることを放置していては法の下による正常な社会の維持が困難になりかねないため、早期にブリリアントを何とかしなければならなかった。
国は、この特殊な犯罪者であるブリリアントを捕らえるためにイアンへ協力を依頼したのだ。




