対ブリリアント戦
まさにブリリアントが大統領の身をかばっているブラウンの首に刃を突き刺すところだった。俺はブリリアントを蹴り飛ばす。いきなり現れた俺にブリリアントは驚いた。
「お前も瞬間移動できるのか。」
俺はその言葉に反応しない。今ここでブリリアントを逃したら次はない。ここで決着をつけねばならない。この時のために俺は準備してきたことを実行する。
周りに被害を及ぼさず、しかも確実に1回で殺さねばならない相手。もしブリリアントが生き延びることがあれば、今後誰も彼の行動を止めることは不可能だろう。
ブリリアントが瞬間移動しても倒せる方法は、強固な拘束により逃げられないようにして命を奪うしかない。
俺は手榴弾を片手に持ちながらブリリアントにとびかかり羽交い絞めにする。
そして芯管を引き抜く。人体ならば四肢がバラバラに飛び散り確実に死ぬ。俺は最初から1発勝負の相打ち覚悟だった。たとえブリリアントが瞬間移動をしたとしても俺の体も一緒のはずだ。マグナムやアーミーナイフでは仕損じる可能性が高いため手榴弾にしたのだ。
爆発に伴う煙と血しぶきが蔓延する阿鼻叫喚の中、大統領は護衛に守られながら脱出、その場にいた全員が逃げ出した。ブラウンとサマンサを除いて。サマンサはその場にうずくまり茫然自失であった。
ただし、ブラウンは違った。ブラウンはこの状況を瞬時に理解した。サマンサがこの場にいることが何よりの証拠だ。サマンサとイアンが命懸けで助けに来たのだ。瞬間移動ができるブリリアントの犯行を阻止するために。自分を助けるために。
ブラウンはサマンサを抱きしめ、強く揺さぶりながら語りかけた。
「まだ、助かるかもしれない。彼の体にはオーパーツがある。再生能力だ。彼の再生能力ならば助かるかもしれない。」ブラウンは対タガール戦で傷ついた状態のイアンを思い出しながらサマンサに呼び掛けた。
ブリリアントの肉体はバラバラであり原型をとどめていなかった。しかし、イアンはブリリアントの胴体が盾になったのだろう。両腕は吹き飛びなくなっていたが、頭部と両足は胴体につながっている。顔は焼けただれ胸部から腹部にかけての損傷が著しく息も絶え絶えの状態だったが。ブラウンとサマンサはイアンを見守ることしか出来なかった。
イアンの体は24時間かけて再生していった。最初に腹部の損傷部分の再生が始まり、次に両腕の再生が始まった。再生が完了した時、サマンサは元の時間軸に戻っていた。
サマンサは鏡の前にいた。鏡には30歳代の女性が映っている。
その時、部屋の扉があいた。そこにはイアンが立っていた。隣の部屋のテレビでは大統領が演説しており、近くでブラウンが護衛している姿が映し出されていた。




