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第5話 守るべきものと覚醒の兆し

朝、宿の粗末なベッドで目を覚ます。ライル――転生した俺、ジョン・ライリーの体は、10歳のガキとは思えないほど頑丈だ。昨夜の祭りでの戦闘、魔王軍のオークリーダーを倒したことで、村人たちの視線は感謝に変わりつつある。だが、あの黒ローブの男の不気味な笑い声が頭から離れない。魔王軍が村を狙う理由は、結界石だけじゃない気がする。

ステータスを確認。

【名前:ライル】

【レベル:4】

【力:106】

【耐久:86】

【敏捷:126】

【スキル:超人的身体強化パッシブ戦闘適応アクティブ、魔法適性(初級)】

レベルアップでステータスが微増。ファイアボルトとウィンドカッターの制御も上達したが、力も魔法もまだ不安定だ。シールズ時代、銃やナイフは完璧に扱えたが、魔法は未知の領域。MPを出しすぎると周りを焼き尽くすし、抑えすぎると敵を仕留めきれない。

宿を出ると、村は祭りの後片付けで忙しい。提灯が片付けられ、広場の焦げ跡が昨夜の戦いを物語る。市場で、子供が俺に駆け寄る。ボロボロの服を着た少年だ。「ライル兄ちゃん! 昨夜、魔物をやっつけたんだろ? すげえ!」

「まあ、ちょっと頑張っただけだよ」俺は笑う。子供のキラキラした目を見ると、シールズ時代に守れなかった仲間の顔がチラつく。アフガニスタンで、爆発に巻き込まれた隊員。あの時、俺がもっと強ければ…。

ギルドに着くと、リナがカウンターで魔石を磨いている。「おはよう、ライル。村長がまた話したいって。結界石の強化は成功したけど、魔王軍が諦めるはずないわ」

「了解。で、リナ、昨夜の魔法、結構すごかったじゃん。エルフの血ってやっぱ特別?」

リナが頬を膨らませる。「からかわないでよ! エルフの魔法は繊細なの。…でも、昔、森で魔法を暴発させて、師匠に怒られたのは本当だから」彼女の顔が少し赤い。失敗談、なんか親近感。

村長の家へ。村長は地図を広げ、深刻な顔。「ライル君、魔王軍の斥候が村の周囲で増えてる。結界石を破壊する気だ。村の東に、古い遺跡がある。そこに魔王軍の拠点がある可能性が高い」

「遺跡? 斥候の巣窟か。偵察ならシールズの得意分野だ。行ってみる」

リナが手を上げる。「私も行く! 遺跡には魔力の痕跡があるはず。エルフの感覚で探れるわ」

「やるじゃん、リナ。戦闘糧食より頼りになるな」

「なにそれ!?」リナが笑う。村の剣を見て「これ、21世紀のナイフの方がマシ」と呟いたら、さらに笑われた。

東の遺跡へ向かう。森を抜け、苔むした石柱が並ぶ廃墟に到着。空気が重く、魔力の残滓が肌を刺す。リナが囁く。「ここ、魔王軍の魔法陣がある。結界石を弱らせる呪いよ」

突然、地面が揺れる。ゴブリン10匹、魔狼3匹、そして黒ローブの男が現れる。杖から紫の魔力が迸る。「予言の勇者か? 魔王様が興味を持たれる力だ」

「予言? 何の話だ!」俺は叫ぶが、男は笑うだけ。

戦闘開始。ゴブリンが槍を突き出す。金属が空を切り、風が唸る。俺は戦闘適応スキルを発動。体が熱くなり、視界がクリアに。シールズの訓練通り、槍をかわし、手刀でゴブリンの首を狙う。バキッ! 首が折れ、崩れ落ちる。力を抑えたのに死んだ。くそ、制御ミス。

魔狼が跳びかかる。牙が陽光に光り、爪が土をえぐる。シールズ時代の記憶――爆発で仲間が散った瞬間がよぎる。「もう誰も死なせねえ!」MPを集中。「ファイアボルト!」ゴウッ! 火球が魔狼の胸を焼き、悲鳴とともに倒れる。地面が焦げる。

リナが叫ぶ。「ライル、援護する!」彼女が杖を振る。「ウィンドスラッシュ!」緑の風がゴブリンを切り裂く。2匹が血を撒き散らし倒れる。「やるな、リナ!」

黒ローブの男が杖を掲げる。「愚かな人間め!」紫の魔法陣が輝き、地面から骨の戦士――スケルトンが10体召喚される。ガチャガチャと骨が鳴り、剣を振り上げる。俺は跳躍し、スケルトンの剣を回避。「ウィンドカッター!」ビュン! 風の刃が骨を粉砕。だが、数が多すぎる。

リナが叫ぶ。「ライル、魔法陣を壊して!」魔法陣を指す。俺はスケルトンを蹴散らし、魔法陣へ突進。シールズの潜入訓練を思い出す。敵の銃弾を避けたあの感覚。スケルトンの剣が頬をかすめ、HPが430/500に。血が滴るが、気にしない。拳を魔法陣に叩き込む。ドガン! 地面が割れ、紫の光が消える。

黒ローブの男が舌打ち。「覚えておけ、勇者!」闇に消える。追いたいが、魔物が残ってる。リナと協力し、残りのスケルトンとゴブリンを片付ける。リナの風魔法が、俺のパンチを援護。息が合う。

遺跡を後にし、村に戻る。村長が安堵の顔。「ライル君、リナ君、ありがとう。だが、魔王軍はまだ諦めないだろう」

リナが頷く。「魔法陣は壊したけど、魔王軍の目的は結界石だけじゃないかも。ライル、あなたの力…何か知ってる?」

「いや、女神に転生させられただけだ。予言って何だ?」気になってステータスを確認。すると、異常が。

【スキル:超人的身体強化パッシブ戦闘適応アクティブ、魔法適性(初級)、封印された力(???)】

封印された力? なんだこれ。女神が言ってなかったぞ。背筋が冷える。魔王軍の男の言葉が頭をよぎる。村の夜、遠くで魔物の咆哮。次の戦いは、すぐそこだ。

(続く)

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