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第4話 村の絆と魔王軍の影

朝、宿の窓から差し込む光で目を覚ます。ライル――転生した俺、ジョン・ライリーの体は、10歳のガキとは思えない筋肉の張りがある。肩の傷はほぼ癒え、HPはフル回復の500/500。昨夜、魔狼とゴブリンを蹴散らしたが、村人たちの視線はますます複雑だ。感謝と恐怖が半々。シールズ時代、目立たず任務を遂行するのが鉄則だったのに、この世界じゃ隠れるのが難しい。

ステータスを確認。

【名前:ライル】

【レベル:3】

【力:104】

【耐久:84】

【敏捷:124】

【スキル:超人的身体強化パッシブ戦闘適応アクティブ、魔法適性(初級)】

レベルアップでステータスが微増。魔法適性は昨日、リナに教わったファイアボルトとウィンドカッターで少しコツを掴んだ。だが、MPの制御はまだ甘い。力も魔法も、抑えすぎると敵を仕留めきれず、出しすぎると周りを破壊する。バランスが難しい。

宿を出ると、村はいつもより静かだ。昨夜の魔物襲撃で、皆が警戒してる。市場の商人すら声を潜めて話す。「魔王軍が近くにいるらしい…村の祭りも中止かね」祭り? 異世界にもそんなイベントがあるのか。シールズ時代、祭りなんて基地のビールパーティーくらいだった。

ギルドに着くと、リナがカウンターで地図を広げている。エルフの尖った耳が、陽光に透ける。「おはよう、ライル。昨夜の魔狼退治、噂になってるわ。村長が話したいって」

「村長? また魔物絡みか?」

リナが苦笑。「まあ、そうね。でも、今日は村の話を聞いてほしいの。あなた、ただの冒険者じゃないでしょ?」

ギルドの奥で、村長が待つ。白髪の老人だが、目は鋭い。「ライル君、昨夜はありがとう。だが、魔王軍の斥候が頻繁に出没してる。村の結界石が弱ってるせいだ」

「結界石?」

村長が説明する。村の四隅に埋められた魔石が、魔物を寄せ付けない結界を張っている。だが、魔王軍の魔法で石が弱り、結界が不安定らしい。「今夜、村の祭りで結界石を強化する儀式を行う。ライル君、護衛を頼めないか?」

「護衛ならお手のもの。シールズ時代、要人護衛は何度もやった」

リナが横から口を挟む。「ライル、10歳でそんなこと言うのやめなさいよ。…でも、頼もしいわ。実は、私も儀式に参加するの。エルフの血で、魔石の調整ができるから」

「へえ、リナってエルフの魔法使いなんだ。なんか過去にすごいことでも?」

リナが目を逸らす。「…昔、森のエルフ族で魔法を学んだけど、失敗して追い出されただけよ。話さないで」

失敗談か。親しみ湧くな。俺は笑う。「失敗は誰でもある。シールズ時代、訓練で爆発物をミスって隊長に怒鳴られたこともあるよ」

リナがクスクス笑う。「ライル、ほんと普通の子供じゃないわね」

夕方、祭りの準備で村は活気づく。広場に提灯が吊られ、子供たちが花飾りを作る。料理の匂い――なんかスープが戦闘糧食よりマシだ。祭りの中心は、村長が持つ結界石。青く輝く石を、リナが魔法で調整するらしい。

夜、儀式が始まる。広場に村人が集まり、リナが結界石に手を翳す。青い光が広がり、空気が震える。MPの流れを感じる。俺は周囲を警戒。シールズの訓練通り、視線を360度動かす。

だが、静寂を切り裂く咆哮。森から魔物の群れが飛び出す。ゴブリン10匹、魔狼5匹、そして…3メートルの巨体、角が生えたオークリーダー。魔王軍の本隊だ!

「ライル、守って!」リナが叫ぶ。村人たちがパニックで逃げる。衛兵が槍を構えるが、ゴブリンの棍棒に吹き飛ばされる。

「了解!」戦闘適応スキルが発動。体が熱くなり、感覚が鋭くなる。ゴブリンが棍棒を振り上げる。金属が唸り、風圧が顔を叩く。俺は左に跳び、棍棒を回避。手刀をゴブリンの首に叩き込む。バキッ! 首が折れる音。気絶…いや、死んだ。力の制御、失敗。

魔狼が牙を剥き、突進。爪が地面をえぐり、土煙が舞う。シールズの記憶がフラッシュバック――アフガニスタンで、仲間がIEDで吹き飛んだ瞬間。「もう誰も死なせねえ!」俺は叫び、MPを集中。「ファイアボルト!」ゴウッ! 火球が魔狼の胸を焼き、悲鳴とともに倒れる。MPを抑えたつもりだが、地面に焦げ跡が広がる。

オークリーダーが斧を振り下ろす。ズドン! 地面が割れ、衝撃波が村人を押し倒す。俺は跳躍し、斧をかわす。空中で「ウィンドカッター!」ビュン! 風の刃がオークの腕を切り裂く。血が飛び、咆哮が響く。着地と同時に、オークの膝に蹴りを叩き込む。ゴキッ! 骨が砕ける音。巨体が傾ぐが、すぐに反撃。拳が俺の脇腹をかすめる。ガツン! HPが450/500に減る。

「くそ、でかいだけある!」シールズの格闘術を総動員。オークの動きを予測し、顎にアッパーを叩き込む。バゴッ! 牙が折れ、巨体が地面に崩れる。村人たちの歓声が上がる。

だが、森の奥から不気味な笑い声。黒いローブの男が現れる。顔はフードで隠れ、杖から紫の魔力が漏れる。「ふふ、面白い人間だ。魔王様に報告せねば」

「待て!」追いかけようとするが、男は闇に消える。魔王軍の幹部か? まずい、村が本格的に狙われる。

リナが結界石の調整を終え、青い光が村を包む。「ライル、ありがとう! 結界は復活したわ」

村長が頭を下げる。「ライル君、君は村の救世主だ」

「救世主は大げさだ。力、抑えたかったのに…」

村人たちの目は、恐怖より感謝が強くなった。でも、あの黒ローブの男が気になる。ステータスを確認。レベル4に上がってる。戦闘で成長した。だが、魔王軍の影は近づく。この力、どう使うべきか。

(続く)

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