第17話(最終話) 約束の果てに
闇が俺を飲み込む。
ライル――転生した俺、ジョン・ライリーの意識は、魔王の実体に引きずり込まれていた。
「ライル、禁忌の力は我がもの……」
金色の瞳が輝く。巨大な影――魔王が、俺の体に融合しようとする。
ステータスが狂ったように揺らぐ。
【警告:融合進行率 87%】
【スキル:破壊の波動(暴走)】
【力:∞】
「やめろ……!」
俺は叫ぶ。だが、体が動かない。
村の廃墟、リナの血、トムの泣き声がフラッシュバックする。
シールズ時代の砂漠。マイクの最後の笑顔。
「ジョン、家族を守れ……」
――約束だ。
闇の中で、光が差す。
女神の幻影。
「ライル、禁忌の力は世界を壊す……だが、汝の心が世界を救う」
「心……?」
「転生は試練。汝の選択が、運命を決める」
意識が戻る。
ルナリス渓谷。
魔王軍の大軍が渓谷を埋め尽くす。
ゴブリン、魔狼、幹部たち――クリムゾン、銀髪、黒鎧、黒マント、白仮面、黄金、魔物王。
中央に、巨大な黒い心臓――封印の鍵の本体。
リナが血まみれで立つ。
「ライル……私、償う……」
杖を掲げ、青い光が渓谷を包む。
「エルフ族の贖罪魔法――『生命の結界』!」
トムが木の剣を握り、俺の前に立つ。
「ライル兄ちゃん、俺も戦う! 村は俺たちの家族だ!」
「……ああ」
涙がこぼれる。
マイクの声が重なる。
「家族を守れ……」
俺は拳を握る。
「破壊の波動」――暴走を覚悟で発動。
ドガン!
衝撃波が渓谷を裂き、魔王軍の大軍を一瞬で吹き飛ばす。
クリムゾンが叫ぶ。「化け物め!」
銀髪が杖を振る。「封印の鍵を――!」
だが、遅い。
俺は心臓に突進。
「ファイアボルト!」ゴウッ!
「ウィンドカッター!」ビュン!
「破壊の波動!」ドガン!
心臓が砕ける。
黒い魔力が爆発し、渓谷が揺れる。
魔王の実体が現れる。
「ライル……汝は我を――!」
「違う」
俺は叫ぶ。
「俺は、家族を守る!」
拳に全てを込める。
シールズの訓練、転生の力、マイクの約束、リナの償い、トムの勇気――
「破壊の波動・最終解放!」
ズドン!!
光が渓谷を包む。
魔王の実体が砕け散る。
【魔王撃破】
【レベル:100】
【スキル:世界の守護者(新規)】
静寂。
渓谷に朝日が差す。
リナが微笑む。「ライル……勝った……」
トムが駆け寄る。「兄ちゃん、すげえ!」
俺は膝をつく。
「……約束、守れたな、マイク」
エピローグ 再建の村
数ヶ月後。
村は再建された。
新しい家、畑、笑顔。
リナはギルドマスターに。
「ライル、21世紀の技術で村を近代化する?」
「カップ麺導入は却下だ」
トムが笑う。「スープの方が美味いもん!」
俺は丘の上に立つ。
ステータスはシンプルに。
【名前:ライル】
【レベル:1】
【スキル:世界の守護者】
女神の声が響く。
「ライル、汝の選択は正しかった。転生は終わり、新たな人生を」
光が包む。
俺は微笑む。
「了解。――家族と、普通に生きるよ」
風が吹く。
村の子供たちの笑い声。
俺は歩き出す。
ネイビーシールズの魂は、ここに生き続ける。
(完)




