第14話 最終形態と魔王の幻影
意識が白い空間から引き戻される。ライル――転生した俺、ジョン・ライリーの体は、10歳のガキとは思えないほど頑丈だ。だが、昨夜の戦闘で完全解放された力――ステータスの「封印された力(解放進度100%)」と「破壊の波動(???)」が頭から離れない。村を壊滅させ、リナを傷つけた。シールズ時代、親友マイクを失った記憶が刺さる。砂漠の戦場、マイクが俺を庇って爆発に巻き込まれた。「ジョン、家族を守れ…」最後に握った手、笑顔が消えた瞬間。「約束だ、マイク…」
ステータスを確認。
【名前:ライル】
【レベル:4】
【力:150】
【耐久:100】
【敏捷:140】
【スキル:超人的身体強化、戦闘適応、魔法適性(初級)、封印された力(完全解放)、破壊の波動】
力150。封印が完全に解けた。女神の幻影が警告した。「禁忌の力は世界を壊す…」だが、俺はもう止まれない。
宿を出ると、トムが走ってくる。「ライル兄ちゃん、村が…リナ姉ちゃんが…!」涙目のトムが俺の手を握る。「兄ちゃん、俺、怖いけど…一緒に戦う!」小さな手に、マイクの温もりが重なる。「トム、お前は逃げろ。俺が守る」涙がこぼれる。
ギルドに急ぐ。リナは包帯だらけで立ち上がる。「ライル…封印、完全解放された…」弱々しい声。エルフの耳が震える。「私の先祖、魔王の心臓を封じた。でも、封印を誤って解放した罪で追放されたの。私、償う…君と一緒に」
「リナ、俺もだ。マイクを救えなかった。もう誰も失わない」涙を拭う。リナが微笑む。「21世紀の頑固者、泣き虫ね」
村長が駆け込む。「ライル君、魔王軍がルナリス渓谷で最終儀式! 封印の鍵を奪い、魔王の心臓を復活させる気だ!」地図を広げる。「渓谷はエレシア大陸の聖地。君の力は、女神の禁忌の最終形態だ」
「最終形態か。なら、俺が終わらせる」シールズの作戦会議を思い出す。敵の心臓を叩くのが鉄則だ。
昼、村の広場でトムと訓練。トムが木の剣を振る。「ライル兄ちゃん、俺も戦う!」俺は笑う。「お前、この石器時代以下のガラクタで戦う気か?」トムが膨れる。「ガラクタじゃないよ!」リナがクスクス。「ライル、トムをいじめないで。このスープ、21世紀の何とか麺より美味しいわよね?」
「カップ麺以下だろ、これ」リナがムキになる。「失礼ね! エルフの味、最高よ!」
だが、笑いは中断。空が真っ黒になり、雷鳴。衛兵が叫ぶ。「魔王軍の大軍だ!」広場に急ぐ。ゴブリン1000匹、魔狼500匹、黒ローブの魔法使い200人。クリムゾン、銀髪の男、黒鎧の巨漢、黒マントの女。そして、新顔――白い仮面の男、杖から金色の魔力が漏れる。「勇者ライル、封印の鍵をよこせ。女神の禁忌、終わる!」
「終わるのはお前らだ!」戦闘適応スキルを発動。体が熱くなり、視界が鋭く。ゴブリンが槍を突き出す。金属が唸り、風圧が頬を切る。シールズの訓練通り、ステップで回避。手刀を首に。バキッ! ゴブリンが崩れ落ちる。力を抑える必要なし。完全解放だ。
魔狼が跳びかかる。牙が光り、爪が地面をえぐる。マイクの声。「家族を守れ!」叫びながらMPを集中。「ファイアボルト!」ゴウッ! 火球が魔狼を焼き、焦げ臭いが広がる。リナが援護。「ストームバースト!」風の爆発がゴブリン100匹を吹き飛ばす。「ライル、連携よ!」
クリムゾンが剣を振る。「ブラッドストライク!」黒い刃が空気を裂く。銀髪が魔法。「アイススピア!」氷の槍が飛ぶ。黒鎧が槍を突く。「サンダーブレイク!」赤い雷が炸裂。黒マントが魔法。「ダークヴォイド!」闇の渦が襲う。白仮面が魔法。「ライトニングストーム!」金色の雷が落ちる。俺は跳躍で回避。地面が割れ、雷が木々を焼き尽くす。HPが220/500に。「幹部、フルメンバーか!」
封印が疼く。拳が光り、力が溢れる。「破壊の波動」を発動。拳を地面に。ドガン! 衝撃波が広がり、ゴブリン200匹が吹き飛ぶ。村の家が全壊。トムが悲鳴。「ライル兄ちゃん、村が!」リナが叫ぶ。「ライル、制御して!」
「制御はもういらねえ!」力が暴走。MPを集中。「ウィンドカッター!」ビュン! 風の刃が魔狼を切り裂くが、村の柵も倒れる。銀髪が杖を振る。「封印、完全解放された! 魔王の心臓が呼んでいる!」
リナが盾魔法。「ライル、私が守る!」青い光が村を包むが、白仮面の金色雷がリナを貫く。「死ね、エルフ!」リナが血を吐き、倒れる。トムが叫ぶ。「リナ姉ちゃん!」
「リナ!」マイクの死がフラッシュバック。封印が完全解放。力が暴走し、広場が炎、風、闇、金色に包まれる。村が壊滅。銀髪が笑う。「これだ、勇者! 魔王の幻影が現れる!」
闇の空間。巨大な影――魔王の幻影。「ライル、禁忌の力は我がもの…」金色の目が輝く。意識が闇に落ちる。村が燃え、リナが倒れたまま。トムの泣き声が響く。
(続く)




