第12話 禁忌の覚醒と女神の幻影
意識が闇から浮上する。ライル――転生した俺、ジョン・ライリーの体は、10歳のガキとは思えないほど頑丈だ。だが、昨夜の戦闘で暴走した力――ステータスの「封印された力(解放進度30%)」と新スキル「破壊の波動(???)」が頭から離れない。村を炎に包み、リナを再び傷つけた。シールズ時代、親友マイクを失った記憶が刺さる。アフガニスタンの砂漠、マイクが俺を庇って爆発に巻き込まれた。「ジョン、家族を守れ…」最後に握った手、笑顔が消えた瞬間。
ステータスを確認。
【名前:ライル】
【レベル:4】
【力:120】
【耐久:86】
【敏捷:126】
【スキル:超人的身体強化、戦闘適応、魔法適性(初級)、封印された力(解放進度30%)、破壊の波動(???)】
力120。新スキルは詳細不明。封印の暴走が止まらない。リナ、トム、村を危険に晒した。女神、なんのつもりだ?
宿を出ると、トムが走ってくる。「ライル兄ちゃん、村が…リナ姉ちゃんが…!」涙目のトムが俺の手を握る。「兄ちゃん、俺、怖かったけど…信じてる!」小さな手に、マイクの温もりが重なる。「トム、ありがとう。絶対守る」胸が締め付けられる。
ギルドに急ぐ。リナは包帯だらけでベッドに。「ライル…無茶しないで」弱々しい声。エルフの耳が震える。「私の先祖、魔王の心臓を封じた。でも、封印を誤って解放した罪で追放されたの。私、償いたい…君の力、女神の禁忌かもしれないけど…一緒に制御しよう」
「リナ、俺もだ。マイクを救えなかった。もう誰も失わない」拳を握る。リナが微笑む。「21世紀の頑固者、嫌いじゃないわ」
村長が駆け込む。「ライル君、魔王軍がルナリス渓谷で大軍を結集! 封印の鍵を奪う気だ!」地図を広げる。「渓谷はエレシア大陸の聖地。魔王の心臓の封印が眠る」
「女神の禁忌か。なら、俺が終わらせる」シールズの作戦会議を思い出す。敵の拠点を叩くのが鉄則だ。
昼、村の広場でトムと訓練。トムが木の剣を振る。「ライル兄ちゃん、俺も強くなる!」俺は笑う。「お前、この石器時代レベルのガラクタで戦う気か?」トムが膨れる。「ガラクタじゃないよ!」リナがクスクス。「ライル、トムをいじめないで。このスープ、21世紀の何とか麺より美味しいわよね?」
「カップ麺以下だろ、これ」リナがムキになる。「失礼ね! エルフの味、最高よ!」
だが、笑いは中断。空が暗くなり、雷鳴。衛兵が叫ぶ。「魔王軍の大軍だ!」広場に急ぐ。ゴブリン300匹、魔狼100匹、黒ローブの魔法使い50人。クリムゾンと銀髪の男。そして、新顔――黒い鎧の巨漢、槍から赤い雷が迸る。「勇者ライル、封印の鍵をよこせ。女神の禁忌、終わるぞ!」
「終わるのはお前らだ!」戦闘適応スキルを発動。体が熱くなり、視界が鋭く。ゴブリンが槍を突き出す。金属が唸り、風圧が頬を切る。シールズの訓練通り、ステップで回避。手刀を首に。バキッ! ゴブリンが崩れ落ちる。力を抑えたのに死ぬ。封印の暴走だ。
魔狼が跳びかかる。牙が光り、爪が地面をえぐる。マイクの声。「家族を守れ!」叫びながらMPを集中。「ファイアボルト!」ゴウッ! 火球が魔狼を焼き、焦げ臭いが広がる。リナが援護。「ストームバースト!」風の爆発がゴブリン30匹を吹き飛ばす。「ライル、連携よ!」
クリムゾンが剣を振る。「ブラッドストライク!」黒い刃が空気を裂く。銀髪が魔法。「アイススピア!」氷の槍が飛ぶ。黒鎧の巨漢が槍を突く。「サンダーブレイク!」赤い雷が炸裂。俺は跳躍で回避。地面が割れ、雷が木々を焼き尽くす。HPが260/500に。「幹部、揃い踏みか!」
封印が疼く。拳が光り、力が溢れる。「破壊の波動」を試す。拳を地面に。ドガン! クレーターが広がり、村の家が崩れる。トムが悲鳴。「ライル兄ちゃん、村が!」リナが叫ぶ。「ライル、制御して!」
「やってる!」だが、力が暴走。MPを集中。「ウィンドカッター!」ビュン! 風の刃が魔狼を切り裂くが、村の柵も倒れる。銀髪が杖を振る。「封印、解放しろ!」白い光が俺を包む。体が重い。ステータスが揺らぎ、「解放進度40%」。破壊の波動が輝く。
リナが盾魔法。「ライル、私が守る!」青い光が村を包むが、黒鎧の槍がリナを貫く。「死ね、エルフ!」リナが血を吐き、倒れる。トムが叫ぶ。「リナ姉ちゃん!」
「リナ!」マイクの死がフラッシュバック。封印がさらに解ける。「解放進度50%」。力が暴走し、広場が炎と風に包まれる。村が壊滅寸前。銀髪が笑う。「女神の幻影が呼んでいるぞ、勇者!」
意識が闇に落ちる。白い空間。女神の姿。「ライル、禁忌の力は世界を壊す。制御せよ…」声が遠ざかる。村が燃え、リナが倒れたまま。トムの泣き声が響く。
(続く)




