剣
寛人は中学2年生、野球部に所属している。野球部の練習は大変だ。日が暮れるまで練習だ。そして、帰って来るのは辺りが暗くなった頃だ。毎日大変な日々を送っている。だけど、厳しい練習はやがて、力になるだろう。
寛人は家までの道のりを歩いていた。とても静かだ。こんな時こそ誰かが出てきそうだ。気を付けて歩かないと。
と、寛人は何かにつまずき、転びそうになった。一体何だろう。寛人は足元を見た。
「あれっ!?」
よく見ると、剣だ。古そうな見た目だ。いつのものだろう。
「この剣は何だろう」
誰が落としたんだろう。こんなの持ち歩いていたら危ないのに、どうしてここにあるんだろう。
「わからないな」
寛人はその剣を興味津々に見ていた。その剣、欲しいな。バットのスイングの練習に使えないかな?
「持って帰ろう」
寛人はその剣を拾った。そして家に向かって歩き始めた。だが、寛人は知らなかった。その後ろをある男が見ているのを。
寛人は実家の前にやって来た。実家は2階建ての白い家だ。外からはいいにおいがする。今日はカレーライスのようだ。楽しみだな。
寛人は玄関に入った。
「ただいまー」
と、エプロンをかけた母がやって来た。母は寛人が持っている剣が気になった。どこで拾ったんだろう。危ないな。
「おかえりー。あら、この剣、どうしたの?」
「道端に落ちていて」
それを聞いて、母は目を細めた。どうしてこんな危ないのが道端にあったんだろう。どうして寛人はそんなのを拾ったんだろう。
「そう。危ないから、隠しておきなさい」
「はーい!」
寛人は2階に向かった。母はその後姿を見ている。
寛人は部屋に入ると、ぐったりした。今日も疲れたようだ。寛人は拾った剣を見ている。よく見ていないけれど、いったい何だろう。どうして道端に置かれていたんだろう。
「はぁ・・・」
と、剣のつばに何かが書いてある。この剣の持ち主だろうか?
「うーん、これ、何だろう」
よく見ると、『熊狩龍虎』と書いてある。強そうな名前だな。誰だろう。
「ん? 熊狩龍虎? 誰だろう。聞いた事がないな」
「寛人ー、ごはんよー」
その声を聞いて、寛人は飛び起きた。カレーライスができたようだ。
「はーい!」
寛人は1階のダイニングにやって来た。テーブルにはカレーライスとサラダがある。とてもおいしそうだな。
寛人は食べ始めた。とてもおいしい。今日1日の疲れが取れるようだ。
ふと、気になった事がある。熊狩龍虎って誰だろう。全くわからないな。
「お母さん、熊狩龍虎って、誰?」
それを聞いて、母は反応した。その人について、何か知っているんだろうか?
「えっ!? どうしてそれを聞くの?」
「あの剣に名前が書いてあって」
父もそれに反応した。その名前を知っているようだ。一体誰だろう。
「それって、伝説の武将じゃん!」
「えっ?」
伝説の武将? それだけすごい人なのかな? 強かったんだろうか? 熊狩龍虎について、もっとよく知りたいな。
「知らないの? 熊狩龍虎って、ほとんど知られておらず、いたかどうかわからないので『伝説の武将』って言われてるんだよ。戦国時代のさなかに突然この世を去ったんだけど」
熊狩龍虎は戦国時代に活躍したと言われている戦国武将だが、ある日突然亡くなったという。呪いにかけられたとのうわさもあるが、真相は明らかになっていない。
「そうなんだ・・・」
父は驚いている。まさか、伝説の武将である熊狩龍虎の遺品が見つかるとは。寛人はどうしてそんなのを拾ってしまったんだろうか?
「まさか、その遺品が本当にあったとは。これは言わなければな」
「うん!」
両親は驚きを隠せない。寛人は何かを持っているな。
その夜、寛人は悪夢にうなされていた。そこは戦国時代だ。どうしてそんな時代の夢を見ているんだろうか? 何か、悪い事の予兆だろうか? 不安ばかりだ。
「うーん・・・」
突然、目の前に戦国武将が現れた。その武将は、とても怖い表情だ。そして、徐々に骸骨だけになっていく。そして、大きな剣を持って寛人に襲い掛かってくる。寛人はビクビクしていた。自分は斬られて殺されるのでは? 夢であってほしい。そして、こんな事が本当にあってほしくないな。
「うわぁぁぁぁぁぁ!」
寛人は目を覚ました。いつもの2階の自分の部屋の天井だ。どうやら夢だったようだ。夢だったことを確認して、寛人は深呼吸した。
「ゆ、夢か・・・」
寛人は目覚めが悪そうだ。こんな夢を見てしまったからだ。何か悪い事でもしたかな? 剣を拾っただけなのに。
寛人は朝食を食べている間でも、それが気になっていた。どうしてあんな夢を見てしまったのか? いつもと違う寛人の表情に、母は違和感を覚えていた。いつも朝が明るいはずなのに、どうしたんだろう。
「どうしたの?」
「いやな夢を見て」
それを聞いて、母は驚いた。そんな夢を見たとは。悪夢の前兆でなければいいけど。寛人は何悪い事をしていないのに、どうしてあんな夢を見たんだろうか?
「そう。気にせず今日も元気でね」
「はーい!」
寛人は朝食を食べ終え、歯を磨くと、すぐに2階の自分の部屋に向かった。中学校に行く準備をするようだ。今日も1日が始まる。勉強や部活を頑張らないと。
寛人は玄関にやって来た。これから中学校に行くようだ。
「行ってきまーす」
それを聞いて、母がやって来た。見送るようだ。
「行ってらっしゃーい!」
寛人は中学校に向かって歩き出した。寛人はいつも通り中学校に向かっていた。今日もまた普通の1日が始まる。早く向かおう。
と、寛人は誰かの気配を感じた。中学生ではない、誰かを。
「ん?」
寛人は振り向いた。だが、そこには登校中の中学生しかいない。誰だろう。今さっき、中学生ではない誰かがいたはずなのに。
「誰もいないな・・・」
寛人は普通に中学校に向かった。早く行かないと、遅刻しちゃう。
寛人は1限の授業を終えて、トイレに向かった。授業中にトイレに行くのは失礼だと思っているからだ。
「はぁ・・・」
寛人はトイレに入った。だが、寛人は違和感を感じた。鉄筋コンクリートの近代的な造りなのに、木造っぽい造りだ。それに、壁式トイレだ。小学校の頃、プールの横にあったようなトイレで、とても臭かった記憶がある。
「あれっ!?」
まるで昔にタイムスリップしたようだ。どうしてだろう。何かあったんだろうか?
「うーん・・・」
トイレから戻ってきた寛人は、違和感を覚えていた。昨日の夜から何かがおかしい。悪夢を見るし、誰かが後ろにいる気がする。
「どうしたの?」
寛人は横を向いた。そこには同級生の柳沢がいる。
「いや、何でもないよ」
寛人は戸惑いながら、何でもないように答えた。本当は悩んでいるのに。
寛人は今日も暗くなってから帰宅した。今日はどこか違和感を覚える1日だった。どうしたんだろう。誰かが後ろにいるような気がするし、昔のトイレだし。それに、昨夜は悪夢を見るし。
「ただいまー」
「おかえりー」
いつものように母は挨拶をした。これは普通の光景だ。それを見ると、ほっとする。
「今日も疲れたな・・・」
寛人は自分の部屋に戻ってきた。そして、部屋の電気をつけた。だが、すぐに消える。どういう事だろう。つけたはずなのに。
「えっ・・・」
と、寛人は誰かの気配を感じて、振り向いた。そこには、武将がいる。その武将は、夢で見たのと一緒だ。まさか本当に出るとは。あの夢は、悪夢の前兆だったのか?
「ギャーーーーーーーーー!」
ほどなくして、寛人は拾った剣で斬られた。そして、寛人は姿を消した。寛人のベッドには、寛人の血が付いていたという。
その剣には切腹した熊狩龍虎の怨念が込められていて、それを持った者は必ず殺されるという。