表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/8

第3話:異世界の勇者枠登場!?

☆前回のあらすじ☆

《おじさんに間一髪助けられた鷹はとりあえず農民生活することに決めた。

そしてお客さんのオルナに出会い無惨にもフラれた……》


第3話:異世界の勇者枠登場!?


オルナちゃんが店から出たあと、俺は倉庫に行き農作物の種を探した。

カボチャの種、人参の種の2種類があった。

「ま、生きるためなら仕方ない」

そう言い、種を手に取り倉庫から出る。

すると、目の前には40歳くらいの青髪のおっさんが居た。

(何だ……?)

「あ、いたいたカルロ。ロットおじさんが貴族に捉えられたって話は本当か!?」

焦りながらそう言われて俺は動揺しながら答える。

「ロットおじさん……?白髭が特徴的な?」

「そうだよ。いちいち言わせんなよ」

「ごめんごめん。うん、そうなんだよ捕まっちゃってさ」

「やっぱりそうか。村のやつが自警団に囚われたおじさんを見たって言ってて村では騒ぎになってるぞ」

青髪のおっさんは落胆したようにそう呟やいた。

(やっぱり村があるんだな……)

「貴族の連中の事だ。ロットおじさんは10年くらい懲役喰らうだろうな。もう先も長くないってのに……」

「……」

罪悪感に胸が押し殺される。

檻の中で一生を終えるおじさんの姿が目に浮かんだ。

俺はこの時思った。

(いつか強くなって取り返す……そのためにも金が必要だ。金さえあれば……)


その青髪のおっさんと別れた後、俺はすぐさま

農作業に取り掛かる。オルナちゃんにフラれたこともあり、その悔しさをバネにする。ロットおじさんも取り返したいしな。

種を植え、水をやり、肥料を使って……

そうして、ひと段落着いた俺は畑仕事を中断する。

「あぁ……思ったより疲れるな……ん?」

ふと木造りの家の中で窓の方を見ると何やら赤髪の男の子がいた。

年齢は俺……というかカルロと同じく11歳くらいだ。


「農民生活楽しいでちゅか〜?」

それは明らかな煽り行為だった。

その子の顔は悪戯のような笑みになっていた。

そして、家の中まで聞こえてくるくらいの声量でもあった。

(なんだコイツ……うっざ)

思わずそう思った。

その次の瞬間、そいつは姿を消した。

からかいにきたのか。

カルロの奴も相当舐められていたんだな。

そう察せられる。


そんな事があってから俺はお店の商品を端から順に眺めたり、畑林を往来したりして暇を潰した。

いやなんだ。あんまり動き過ぎて変なトラブルに巻き込まれるのはごめんだし?

適当に農民っぽい"行動"を取っておうほうが無難だと思ったからね。


そして夜が来た。

俺は気づいた。

(スマホもPCもないから暇すぎる……ま、本棚の本でも読もうか)

そうだ。スマホがないのだ。

仕方ないから魔法の書・入門でも読む事にした。

扉にカルロと書かれた板が吊り下げられた部屋を見つけそこに入る。

勉強机の上にランタンがあり、火を灯す。


(これで少しは魔法の知識が増えるといいが……)

読み始めて数時間が経過する。

ふと時計を見ると夜の10時になっていた。

そろそろ辞めるか。

魔法の書・入門で得た新しい内容をまとめよう。

・呪文には2種類あり、シンプルな詠唱で終わらす物と、長く詠唱する物がある。

・マナに適性のある者は"適性者"と呼ばれ、この世界では適性者が9割を占める。残り1割は不適性者と呼ばれ、その不適性者達を保護する施設もある。

・初級の魔法としてはファイア、サンダー、フリーズの3色がある。

ファイアの呪文は"赤き鉄槌を下せ"

サンダーの呪文は"刹那の雷撃を授けよ"

フリーズの呪文は"降り注げ蒼の冷気よ"

らしい。

俺は思った。

ルリの"ジュセル"って呪文はまさにシンプルな詠唱を指してるわけか。

あと適性者はレアな存在じゃないっぽい。ガッカリだよ。

カルロはやっぱりただのモブキャラだった。

そして最後のファイア、サンダー、フリーズ。

こんなの試すしかないだろ。よし明日になったら外で試そう。


1人でこんな事をして今夜は少し盛り上がった。

(異世界ライフたまんねぇ……)

俺は恍惚の顔でその部屋にあったベットで眠りに着くのであった。


翌日……

朝起きて俺はふと机の上を見ると手紙が置いてあった。

「だ、誰だ!?」

その不気味な現象に俺は速攻で目が覚めた。

(一体誰が置いたんだ?鍵は閉めてあったはず)

そう思ったがとりあえず手紙の内容を読む。


"魔法の練習でもするんだろ?手伝ってやるよ。畑の近くで待ってる"


誰だ……?まさかあの悪ガキ貴族"アルカ"って奴の仕業か?

そう思ったが正直よくわからなかった。

(アルカだとしたら相当気持ち悪いぞあいつ夜中にこっそり俺を監視していたのか)

そう思い俺は顔を洗面所で洗い、すぐさま畑に行く。

すると、昨日も家の窓の外で見た、貴族の服を着る赤髪の少年がそこには立っていた。

「ようカルロ。手紙を見てここまで来たんだろ?」

「あ、ああ……やっぱりお前か」

「お前だと?いつからそんなでかい口叩くようになったんだ?」

アルカは俺の受け答えに何か琴線に触れたのか口調が荒くなった。

「お前さぁ!生意気なんだよ。農民は農民らしく農作業に使う魔法だけあればいいんだよ……!

"魔法の書・入門"なんかじっくり読んじゃってさ魔法士にでもなるつもりか!」

農作業に使える魔法があるなんて知らなかったが、それは置いておいて俺は荒れ狂うアルカに反発する。

(魔法士って要は魔法使いの事だろ?魔法士になるつもりはない)

「別に魔法士になる予定はない。ただ、暇だから農作以外の魔法の一つや二つ覚えたっていいだろ?そんな自由すらないのか」

「ふん……!俺が気に入られねぇんだよ。じゃあ勉強した通りやってみろよほら」

なんて傲慢な奴だ……あとこの自信から見るにアルカの野郎は魔法の腕は良いんだろう。

俺はそう思った後、自分の左手の甲にある十字架を見つめる。

(正直こいつ気にくわねぇしやっちまってもいいよな?)

そう頭の中で言葉を紡いだ後、俺は昨夜本で見た詠唱を始める。

「"赤き鉄槌を下せ"」

そう詠唱した後、両手が暖かくなる感触が伝わってきた。ふと両手を見ると白い熱エネルギーが火照っているのが目に見えた。

俺は右手をアルカに向け言い放つ。

「ファイア!!」

すると左手にもあった目にも見える白い熱エネルギーが右手まで瞬時に移動して右手の炎の玉が膨れ上がった。

そしてその炎の玉はまるで終わり間近の線香花火の如く弱々しくアルカに向かう。

アルカはそれを見て笑いながらその玉を抜刀したであろう剣で弾いた。

「嘘だろ!?アッハハハハこりゃ傑作だ。ファイアはこうやるんだよ!」

アルカは俺のファイアを馬鹿にしたあと詠唱を始めた。

俺はそれに悔しそうに唸るしか出来なかった。

「"赤き鉄槌を下せ"」

その後アルカの両手が真っ赤に燃える。

そして、右手を俺に向け叫んだ。

「ファイアァ!!」

その瞬間、俺のファイアとは違い、彼の右手のファイアボールは五倍ほど膨れ上がり迅速に俺の方に向かってきた!

(ま、まずい当たる……!)

俺がそう目を瞑ったその時……


「""一切の大気よ。我が呼び声に応えよ"。ロストエアル!」

その声は中性的なイケボだった。その声で長ったらしい呪文を唱え、ロストエアルという魔法名を言い放つ。

俺の目の前にはアルカではない赤髪の男が立っていた。

年齢は15歳ほどで高級そうな赤色のマントを羽織り、頭にはシルバーのバンダナを巻いている。

その後ろ姿はまさに勇者そのものに見えた。

気づけばアルカのファイアによる炎の玉は消えていた。

(な、何が起きた……!?)

俺は突然の出来事に動揺する。

とりあえずわかった事は……

(この異世界の勇者のご登場って感じか)

その事実だけだった。


アルカの動揺する声が聞こえる。

「これは……あの伝説の魔法……ロストエアル!?

ば、バカな……アンタは"王族のクリアル"。ルビー・フォン・アルスト!なぜこんな農村に!?」

そのアルカに勇者のような男は冷静に答える。

俺はというと、王族のクリアルという言葉を聞いて頭にクエスチョンを浮かべていた。

(お、王族……!?クリアル……!?)

「ちょっと用事が出来てね。それで来たら何やら殺意の籠った魔法のエネルギーを感知したから来てみたら……」

そう言った後ルビーと呼ばれる男はアルカを睨み付ける。

「まさかこんな農民に向けて攻撃魔法を打つなんてね」

ルビーはそうアルカに言い放つ。

アルカはそれを聞いて不貞腐れたように「ふんっ!」と鼻を鳴らす。

そしてその後にすぐ走り出して逃げ去った。


「大丈夫だった?カルロ君……いや異世界から来たであろう人」

「ああ……大丈夫。っていうか"異世界から来た"だって?まさかルビーさん……?俺の正体を知ってる?」

一応さん付けをしておこう。王族っていうくらいだしこの世界では偉いんだろう。実年齢は俺の方が上なんだけど……

(俺が現実世界から来た事知ってるパターン

のキャラか)

「まぁね。僕は君をこの世界に連れてくるキッカケとなった存在さ」

「ルビーさんがキッカケだったのか……」

その俺のセリフの後、控えめな挙動をしながら、

ルビーの背中からピョコっと現れたのはまさかのオルナちゃんだった。

相も変わらず可愛い顔をしている。

「ルビー。どうなったの?」

「ああ、オルナ。無事に解決したよ。この子はカルロ君って言うんだけど、貴族の奴に襲われてて僕がロストエアルで守ったんだよ」

「あ…‥私この子知ってる。昨日カボチャをくれたんだよ」

「なんだ既に知り合いか……」

ルビーのその言葉の後、俺はその会話に割って入る。

「オルナちゃん。昨日振りだね」

「は、はい!昨日はありがとうございました。また行くと思います。ファフの為にね……」

その俺の言葉に返答したオルナちゃんに今度はルビーが口を開く。

「ファフの奴は相変わらずカボチャが好きなんだな」

「そうなんだよ!ね、ファフ」

オルナちゃんが少し呆れたようにそう言うと聞き覚えのない渋い男の声がオルナちゃんから聞こえる。

「ふん……俺を使ってた奴がカボチャ好きでな。どうやら俺はそれに影響されてるらしい」

俺はその声の所在が分からず動揺して顔を左右にキョロキョロさせた。

ルビーはその俺に気づいて解説するように言ってきた。

「あ、動揺してるね。今の声はオルナと契約した剣の幽霊の物だね。名剣"ファフニール"って言うんだけどね」

「へぇ〜幽霊か。さすが異世界何でもありだ。ってか剣の幽霊ってのも珍しい……」

その俺の言葉の後にオルナちゃんが何やら「ぐぅ……」と小さく根を上げてしょんぼりしてしまった。

(何か琴線に触れたかな……?)

そう思った俺の後にルビーが口を開く。

「ま、オルナにこの話はあまりしない方がいいからこの辺で切り上げるとして……」

「?」

俺は疑問符を浮かべたがその次の言葉が衝撃的だったからすぐにそっちの話に引きづられた。


「突然だけどカルロ。アルストに来て欲しい。アルストっていうのはこの世界の王都の事さ」

(ええええ!いきなりイベント進むなこりゃ)

次回予告!

まさかまさかの王都アルストにご招待。

農民モブの俺にこんな激アツ展開あってもいいのか……

ルビーもこの世界じゃ王族だって言うし何が始まろうとしてるのか……


次回タイトル「王都アルスト」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ