姓子とトランスジェンダーの順子
ウーマンライトの幹部、姓子は深い悩みを抱えていた。新メンバーとして加わった順子、旧名源五郎についてだった。順子はタイで性別適合手術を受け、女性としての新しい生活を始めたものの、姓子は彼女を完全に受け入れることができずにいた。源五郎は元々男性であったという事実が、姓子の中で引っかかっていたのだ。
さらに、順子はトランスジェンダーの権利について厳格な見方を持っていた。彼女は、ジェンダーフリートイレを実行した市役所に火炎瓶を投げつけたほどである。この行動が、彼女の信念の強さと過激さを物語っていた。
とはいえ、順子は優秀な工作員であり、その情熱と技術はウーマンライトにとって貴重な戦力となっていた。姓子は、自分の内なる葛藤を抱えつつも、彼女と協力する必要があると感じていた。
ある日、ウーマンライトに新たな任務が下る。狂電波を生み出し、女性たちの精神を蝕む6Gの通信設備を破壊するというものだった。これは、女性の安全と健康を守るために避けて通れない任務であった。
「準備はいいか、順子?」姓子は冷静な声で問いかけた。
「いつでも行けるわ、姓子さん」と順子は力強く答えた。
二人は夜の闇に紛れて、6G通信設備が設置された施設へと向かった。慎重に施設の周囲を調査し、警備の動きを確認する。順子の卓越した技術が光る瞬間だった。彼女は短時間で警備システムを無力化し、二人は施設内部へと侵入した。
「ここが電波塔の制御室ね」と順子がつぶやく。
「よし、行くわよ」と姓子は頷き、二人は計画通りに爆薬を設置し始めた。
作業の合間、姓子はふと立ち止まり、順子の顔を見つめた。彼女の目には、揺るぎない決意と情熱が宿っていた。
「順子、あなたは本当に私たちの仲間なのね」と、姓子は静かに言った。
「もちろんよ。私たちが守るべきは女性の権利。そして、私もその一部だと信じているわ」と順子は真剣な表情で答えた。
その瞬間、姓子の中で何かが変わった。彼女は順子のことを完全に受け入れる決意を固めたのだ。
爆薬の設置が完了し、二人は安全な距離まで退避した。そして、轟音とともに6Gの通信設備が爆破され、狂電波の発信源は消滅した。
「これで、少しは女性たちが安心して暮らせるわね」と姓子は微笑んだ。
「そうね、これからも一緒に戦い続けましょう」と順子も微笑んで答えた。
二人の間には、信頼と絆が生まれていた。姓子は、自分たちの使命の重さを改めて感じながら、これからも共に戦うことを誓った。女性の人権を守るため、二人のフェミニストの闘いは続く。