3、ジャンルで選ぶようになったのはいつからだろう
この作品はエッセイ投稿する少し前にイチオシレビューを投稿しています。よって代わりにおまけを後書きに掲載しました。
※2023/06/25時点の情報です。
【タイトル】
贄と呼ばれた少女の、幸せ
【Nコード】
N3288HY
【種別】
連載(全67部分)
【ジャンル】
異世界〔恋愛〕
【作者】
夏乃
【掲載日】
2022年 11月23日 19時00分
【最終投稿日】
2023年 06月20日 07時00分
【文字数】
143,356文字
◇◆◇◆◇◆
昔、家族でレンタルビデオ屋に行った私は、1人で棚を眺めて歩いた。ある列に進むと並んでいるビデオの様子が違う。裸のお姉さんばかりなのだ。平仮名しか読めない私は不思議そうに手を伸ばす。慌てた母親が私を引っ張った。私がいた列の入口には長い暖簾がかかっていた。私がどこにいたのかは、言わないでおこう。
図書館や本屋は『日本十進分類法』で図書を整理して棚に置いているらしい。具体的な内容は調べたことがない。子ども時分なら尚更、目に映る本達がどうしてそこにあるのか知らない。あっちに行けば大人の難しい本、こっちには絵本がある、程度にしか思っていなかった。
当時私は、図書館で児童書を借りていた。棚を眺めて、何となく気になった本を選ぶ。私が「何となく気に入ることの出来る」本だけに触れることが出来たのは、図書館職員さん達が適切に分類し並べてくれていたからだ。
家の本棚の奥を覗くと、石ノ森章太郎の漫画があり、簡単にお姉さんの裸イラストを見られたことを考えると、専門職による図書整理が如何に重要か想像できる。
『小説家になろう』で作品検索をする時、まずはジャンルを選ぶだろう。読む側はジャンルを信じて目を通すから、違うと思えばブラバする。よって、書き手は正しいジャンルで設定しようとするし、時にはジャンルを変える判断もする。
だからジャンルを意識せずに読み始めるって、ウェブ作品の性質上、かなり奇跡的だと思う。
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『贄と呼ばれた少女の、幸せ』は、ユーザー様の紹介で、ウェブページに直接行って読み始めた。ヒロインの過酷な幼少期に胸を痛め、現れたヒーローの優しさに安堵した。ヒロインがゆっくり成長していく様に夢中になる一方で、この作品が異世界恋愛ジャンルであることを私はすっぽかしていた。小説情報を見たはずなのに、何でだろう(笑)
話が進み、恋愛めいた様子を見せてきた。そこでやっと私は、これが恋愛作品であることを忘れていたことに気付いた。
第1章から読み返し、この出会いは恋の始まりだったのかと気付き直しを繰り返す。1つの作品で二度美味しい想いをしている気分。
このエッセイを読んでから作品を読もうとする人は、異世界恋愛として読み始めるかもしれない。でも、ジャンルを忘れて読むということもあれば、それはそれで楽しいかもしれない。