第3話「さよならなんかは言わせない」
注意、以下人様にとって有毒な文章の可能性がございますので、
暗い感情などに侵されたくないお方は、
どうか、ここまでで引き返してくださいませ。
「死にたい」
なんでこんなことを考えてしまうのか……。
衣食住さえあれば、それで十分じゃないか。
それは本当に正論なんだけれど、万能な処方箋にはなり得ない。
死にたいって言葉が強烈過ぎるなら、
例えばずっと寝てたいではどうだろう。
睡眠を生きてる状態のひとつに入れられるなら、
今一番しあわせな時間は間違いなく寝ているときだ。
「ずっと寝てたい」
そう言えば負の感情もだいぶ抑えられる気もする。
うん、だからずっと寝てたいんだ。
問題はかなわないことにある。
安易に安楽死でググると、
日本に生まれたことは、その点についてはツイてない。
自分の身の上では可能性としてはスイス一択しかない。
それでも人間おかしなもんで、
自分が死ぬのは許すのに、他者が死にたいと言ったらかなしくなる。
その矛盾はきちんと解消できないと死ねないのかもしれない。
場所は何処にいたってそんなに変わる気もしない。
グループホームはいいところだ。
環境は良い。だけど死にたい気持ちが覆せない。
生きてて良かったこともたくさんあるのに、
一度死にたいにとりつかれると途端に視野がせまくなる。
生きている。
それだけでどうして満足できないんだろう。
はみだしちゃうんだろう。
僕は弱い。
問題は内で起こり、内の中で消せなければ未熟。
グループホーム内で色んなことが起こるけれど、
できることなら終の棲家にしたい。
お世話になった方との別れがひとつ近いのかもしれない。
だけど僕はこう伝えたい。
中学のときに歌ってくれたあの歌を――……、
ぼくはたぶんしっている
このせかいはぼくじしんだと
うつくしいのもみにくいのもぜんぶぜんぶ
歌 B'z
歌詞 稲葉浩志
作曲 松本孝弘
編曲 MASAO AKASHI・TAKAHIRO MATSUMOTO