『12 オークキング』
『12 オークキング』
「誰だキサマは。この道は通らせない。通るならワシを倒せ!」
「オークキングだな。通してもらう。俺は冒険者だ。キサマの先に進むからだ。黙って通した方がお前のためだぜ」
一応忠告しておく。
オークキングには悪いが俺のスキルには勝てないのは明白だ。
たとえ魔王軍幹部級の魔物といえど、全能の支配者になった俺には勝てないのだ。
だから優しく言ったのだが、オークキングはまるで聞く気はなかった。
「あははは、冒険者かよ、何を言う。こいつみたいになりたいのか、見ろよ?」
オークキングが視線を送ると、ダンジョンの奥に転がっている人がいた。
人?
なぜこんなダンジョンの奥に人がいると思ったが、直ぐにピンときた。
例のAランク冒険者か、えっと名前は、なんだっけか、思い出せないな。
ダンジョンに来る前に王都で聞いたAランク冒険者。
彼を救出にも来ていたが、間に合わなかったらしい。
Aランク冒険者をあっさりと殺すとは、さすが魔王軍幹部だなと思う。
まあ、普通の冒険者ならこの光景と最悪の状況で頭が狂うだろうが、俺は正常を維持しているのは、俺が魔王軍幹部を遥かに超えた存在だからだ。
器用富豪スキルの力を見るがいい。
「なりたい? 俺に言っているのか?」
「そうだよ、こいつはダンジョンに入り奥に進むと言い出したが、俺がぶん殴ってやったら、起きてこない。くくく、死んだのだろ、弱い冒険者だった。お前も仲間か、ぶん殴ってやる!」
Aランク冒険者を一撃で殺したのか。
参ったな、ハンパない打撃力なのは認めよう。
となると魔王はこれよりももっと強いってことが確定していて、さらに強いと判明した。
俺はいまだ魔王は見たことがないから、このオークキングの強さが参考になると思った。
まちろん魔王が俺の予想を遥かに超えている可能性もあるが。
「その人は俺の仲間じゃない。悪いが殴られるのは好きじゃないのでな」
オークキングが言った通りに殴りかかってくる。
迫力はある。
人の数倍はある身長から、振り下ろしてくるのだ、破壊力はAランク冒険者を潰したのだから、それだけで十分だ。
だが俺に通じない。
もっと言えば『器用富豪』スキルには通じない。
物理防御力を1000倍にしてあるからだ。
冒険者の防御力は、経験を積むことで上がるし、鍛えるのもある。
最初に与えられたステータスで決まり、上位に成長する冒険者のほとんどは初期値から高いとされる。
俺とは比較にならない強さらしい。
そして成長力も関係していて、Aランク冒険者にまでなる者は、おそらくは攻撃力でも1000以上はあり、3000の人もいるだろうか。
だが多くの人に言えることだが、ステータスはある程度で成長は止まるもので、そこが冒険者のある意味限界でもある。
中には100くらいで成長が止まってしまい、冒険者をあきらめる者もいる。
対して俺の場合は初期ステータスは弱かった。
自分でもがっかりする程に、最弱だった。
初期ステータスは攻撃力や防御力は15で、そこから上がることはなかったのはショックだった。
冒険者を止めた方がいいと、何度も言われたのは覚えている。
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