『89話 古城28』
『89話 古城28』
古城にある大部屋は、イフリートスとの戦いによる激闘のため、床から壁紙もボロボロになっていた。
古城から街に出ると街の人々が集まるのか見え、俺たちが魔物に勝利したのを歓迎してくれる。
「ありがとう!」
「ありがとう、街を救ってくれてありがとう!」
「イフリートスまで倒すなんて、助かった、古城を魔物から取り戻したのはありがたい!」
「感謝するなら、ロメーロに言ってください。ロメーロがイフリートスを一人で倒したのです。それに街のスライムもロメーロが倒すのを補佐していたので、実質的には、ほとんどロメーロの成果と言えます」
「そんな冒険者がいたのか!」
「ロメーロ、ロメーロ、ロメーロ!」
「ロメーロの銅像を立てるべきだ!」
「いやいや、止めてくれ。俺は銅像とか嫌いだ。あまり見立ちたくないのでな」
「せっかくですから、ロメーロ様の銅像をお願いします!」
「やめろアスカ、俺は銅像は嫌だぞ」
「どうしてイフリートスを倒し、街と古城を救ったのですから、銅像くらいはあっていいのよ」
「それならアスカの銅像を作ったらいい」
「じゃあ作ります、ロメーロ様に私が抱っこされている銅像を!」
「やめてくれ」
街の人が感謝してくれるのは俺として良かったなと思うのではあるが、銅像は勘弁して欲しいので断っておく。
俺には似合わないし、目立ち過ぎだろう。
せっかく勇者パーティーから解放されたので、目立たなくていい。
目立つのはオリオンだけにして欲しい。
オリオンなら喜んで作らせると思う。
「スライムサンダーのとスキュラ、ヒュドラ、イフリートスの魔石や素材の回収をしましょう。もちろん回収したのは全てロメーロにお渡しします。ロメーロの物ですよ、俺達が取るわけにはいかないよ」
「そうですロメーロ、魔石から素材はロメーロが受けとる権利があります、ただ王国騎士団も回収を手伝います。時間かかりますし」
「良かったですね、ロメーロ様。またたくさん報酬入りますよ」
「別に俺は報酬はなくてもいい。前回にグールマスターとオークジェネラルとオークの報酬が大量に入っただろ。今すぐ必要じゃないから、冒険者が持ち帰ってギルドから報酬をもらってくれ」
「ロメーロ様は金欲が少ないですね」
「まあな、生活できるだけはあるし、困らないだろ。アスカだって国に帰れば死ぬほど金はあるだろ」
エルフ国の皇女なんだからな、庶民とは格が違うというものだ。
想像もできない生活レベルだろうに。
「そりゃあるけど、庶民ではなかったから、でも今は皇女ではなく、ロメーロ様の仲間であり、婚約者です」
「なぜ勝手に婚約者となるのか、俺にはさっぱりだ」
「またそうやって、ごまかすんだから」
ごまかしているわけではないのだが、アスカから見たら、ごまかしているらしい。
アスカと話している間に、冒険者と騎士団らは、魔物から魔石などを回収したいて、俺とアスカだけ浮いていた。
魔石は受け取らないが、大量のスライムサンダーもいるし、時間かかるので俺も手伝う方が速いだろう。
魔石は魔物の体内にあるため、解体しないといけないし、素材である爪、皮膚、牙、眼球、尻尾などは、アイテムなどに使われるため、高価で取り引きされる。
ただし素材は魔物の一部を切り取るため、時間がかかるもので、爪や牙は魔物にとって重要な武器でもあるので、簡単に取れては問題である。
引っ張りや、切断したくらいでも取れないのも数多いとされて、勇者オリオンと冒険している時も素材の回収は苦労するはずであったが、器用富豪スキルによって大幅に短縮されていたのだ。




