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『85話 古城24 アスティは』

『85話 古城24 アスティは』



「血だらけのイフリートスなら余裕だろう、俺をバカにしたなイフリートス、俺の雷光魔法を受けて死ぬええええええ!」


「ぎぐあああああああああ、アスティごときの雷光魔法など、効かぬわあああああああ、死ぬえええええええ!」


「まだ、まだっ、戦えるのか、化け物かイフリートス!」


「引けアスティ!」


「魔法が効かぬなら、剣で切るまでだ!」


 アスティの雷光魔法はイフリートスにはまるで効果なしで、それは俺も思ったのだが、すでにアスティは突進したいきイフリートスと正面衝突寸前だった。


 全くなんで俺に世話をやかせるのかと言いたいところだが、アスティも同じ派遣された仲間ではあるし、俺のことを理解してくれなくても、見殺しはできないのが俺の甘い性格なのかと思った。


 アスティにイフリートスが激突した瞬間にアスティの剣術など子供扱いされて吹き飛ばされる。

 Aランク冒険者とされるアスティの剣術は鋭かった。

 全くブレもなく剣の振る速度、軌道も素晴らしかった。


 初心者冒険者のお手本となるような剣だった。

 でもイフリートスを切るには弱すぎた。

 イフリートスの体を覆う皮膚はAランク冒険者などザコだった。


「なっ、俺の剣が!」


「死ねえええええええええ!」


 俺の速度なら追いつけないことはないのが器用富豪スキルの欠点か。

 普通なら絶対に追いつけないのだが、俺が最大速度にしたら間に合うのでアスティの前に移動した。


 ズドン!

 俺の背中に鈍い音がした。


「…………」


「な、なんで、なんでロメーロ、お前が俺を……助けるんだよ!」


「仕方ないだろ。俺が助けなかったら、アスティは助からなかった」


 アスティの前に高速で移動したため、アスティはダメージはなしであったものの、イフリートスとアスティの間に入ったことで、俺がイフリートスの攻撃を受けたわけだ。


 アスティを守った形になったので俺は大量に出血しているようだ。

 痛みが走った。

 激痛だな。


「ロメーロ様あああああああああああああああああああああ!」


 アスカの叫び声が聞こえるので、俺のダメージはかなりのものだろうな。


「ロメーロ、お前の背中にイフリートスの拳が、死ぬだろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


「ぐははははははははははははははははははは、ロメーロがアスティをかばったか。あはははは、我の炎の拳をまともに受けたら死ぬのだああああああああ!」


 ズドン!

 再び背中にイフリートスの拳が、熱いな。

 炎の拳とか言ってたな。 

 背中が燃えるようだ。

 熱くて焼けている感じだ。


「グッ、アスティ、俺から離れろ」


「バカか、なぜ俺を守って自分が死ぬんだよ!」


「早く離れてくれ。じゃないとイフリートスと戦えないだろ」


「ロメーロ!」


 アスティはやっとのこと離れてくれたので、俺は自由になった。

 これでいい。

 悪いがアスティがいると邪魔になる。

 この最悪の状況を変える必要がある。


「ロメーロ様ああああああああああああ!」


「大丈夫だアスカ。俺は大丈夫だ」


 アスカまで俺の心配をしてくれたのなら、嬉しい。

 俺なら問題はないといいたいところだが、ノーダメージとはいえないな。

 魔王の側近の拳を2回も受けたのだから、生きている方が不思議なくらいだ。

 Aランク冒険者のアスティだって即死レベルだったはずで、俺でも生きているのが不思議なくらいだ。

 

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