『84話 古城23 イフリートスを切る』
『84話 古城23 イフリートスを切る』
切ったことで流血してはいるが、まだ話せているので、もう少し切るとした。
切る速度も上がっており、イフリートスには見えない速度で切る。
だいたいイフリートスが反応できる速度の何倍も速く切る。
ザクっ!
ザクっ!
ザクっ!
数回振って皮膚を切り裂くと、さらに流血が広がったらイフリートスは、
「ぐわあああああああ、速い、見えんぞ、ロメーロの剣が見えない。いつ我を切ったのだ!」
「見えないか、もう少しゆっくり切ってやろうか」
ザクっ!
少し振る速度を遅くして切ったところ、
「いだああああああああああ」
「遅くして切ったのだが、変わらないだろう」
「今ので遅くしたのか! いだああああああああああ、メガイラプションだああああああああ」
耐えきれなくなったイフリートスは、むやみに火魔法を打ってきたが、それは自分を追いつめる行為だ。
「メガイラプションで倒せないのはわかっているだろ」
メガイラプションを片手で防ぐと、もう一方の手で銅の剣で切る。
「いだああああああああああ、何なんだロメーロは、我の魔法が効かないし、攻撃力が強すぎる。まさかこんなはずではなかったのに。楽にこの国を平定し、美味い肉でも食ってやろうとしていたのだ。邪魔しにきたのか!」
「邪魔しに来たわけではないが、勝手に魔王の側近が国にいられても困るのだ。元いた魔族の国に帰れば、命は助けてやるが、カイザール国を支配するなら、命は俺がもらう。とはいえ、もう立っているのがやっとだろ、その流血では。もうすぐ死ぬ運命だな」
「ぐぎああああああああああ、魔王様の側近だぞ我は。このまま黙って死ぬるぎあああああああ」
俺が最後に剣を切ると思った瞬間にアスティが動いたのが見え剣を止めた。
なぜアスティが動くのだか、わからないし、動く意味があるなかと考えても全くない。
アスティの魔法ではイフリートスは無傷であるし、俺が居なかったら確実に燃やされていたのだ。
なのに俺よりも先にイフリートスに接近する姿。
何をする?
まさかイフリートスと戦う気か?
それは悪手だろう。
今の戦いを見ていて、絶対にアスティのレベル、力では到底この場で戦えないとわかったはすだ。
それなのに、なぜイフリートスに接近するのだ。
俺の予想を超えた行動だった。
予測してなかった。
「ロメーロばかりに良いところをさせはしない。俺も雷光の団長だ。このままイフリートスに何もせずに王都に帰るのは、プライドが許さないのだ!」
「やめろアスティ、イフリートスには効かないぞ」
「効かない? 今の流血して何もできないイフリートスなら俺の魔法も効くだろう。喰らえ雷光魔法!!!!!」
「離れろアスティ!」
何を思ったか大量に流血したイフリートスになら勝てるし、魔法が通じると思ったらしくアスティは魔法をしたのだ。
完全に俺の予想外だった行動であり、止めるのは困難だった。
イフリートスは俺の剣攻撃で、ほぼ倒す直前ではあったものの、それでも力は残っているし、侮れない魔物なわけだ。
それはAランク冒険者にまでなったアスティの経験でわかりそうなところだが、アスティは経験ではなく、自分のプライドを取り戻す方を優先したのだ。
完全に判断ミスだった。
普段の冷静な状態だったら、ミスはしなかったが、著しくプライドが傷ついたのが判断を狂わせた。
もう俺の声は聞こえていない。
アスティは自分のことしか見えていないのだった。
自分を保つことしか考えていない。
その状態でイフリートスを傷つけるのは無理だ。
死ぬだけだ。
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