『75話 古城14 古城に入る』
『75話 古城14 古城に入る』
古城の前には門があった。
門は閉まっていて、騎士団が大勢の力を使い開けようとしている。
「門を開けるぞ!」
門を強引に開けた。
門が開くと古城の入り口があり、魔物はいなかった。
当然に襲って来るものと思っていたがいないな。
街はうじゃうじゃいたけど、街みたいには多くはないとしたら、戦いやすい。
「ロメーロ様。魔物は居ませんね」
「古城の中にいるのだろうから、気をつけるんだ」
「ロメーロ様に抱きつけば安心ですけど」
「俺が安心じゃないだろ。よし入るぞ」
古城の内部はボロボロに破壊されたあとがあり、おそらくは魔物と貴族の抱えた兵士との戦いがあったのが伝わる。
結局は魔物が勝ち、貴族と兵士は外に出されたと思われ、どこかに潜んでいるのだろう。
しかし何の魔物か、数はまだ不明。
「古城に入った。残りはヒュドラだ。ヒュドラは最大の強敵になる魔物。全員で向えば必ずや討伐できる!」
「ヒュドラを倒せ!」
「ヒュドラなんて強くない。こっちにはロメーロがいる!」
「ロメーロ様の名前が出ました。そしたら大歓声です!」
「古城の内部で大声はだめだろう。魔物に確実に察知されている」
「そうですよね」
アスティの号令で、再び冒険者などは気合が入ったらしく、顔にはやる気に溢れているのは、戦う者として重用だ。
ここで怯えていては、魔物には勝てない。
魔物はヒュドラがいるらしいと聞いていた。
上半身が女のスキュラよりも強いと。
ヒュドラが古城を支配しているなら、叩けばもう古城は取り戻せる。
街での戦いと同じように行けば、きっと取り戻せると思う。
古城の内部は広くて、直進していくと、広間らしき部屋があった。
大部屋らしき部屋は扉も巨大だ。
騎士団が扉を開ける。
部屋の中はとても広い。
貴族が使う大部屋だろうことは、見たら誰でも圧倒される。
とにかく豪華だな。
金のある貴族が住んでいる部屋だった。
全てが金がかかっていた。
まあ、魔物にはこの部屋の価値はわからないだろうが。
城に住んでいた貴族はどうしたか。
逃亡したか、又は逃げれていないかだ。
これだけの大きくて立派な城を持つ貴族だけに、さぞかし権力を持った一族だろうことが伺える。
俺とは無縁な生活だな。
「アスティ殿、部屋に入りましたところ、ヒュドラです、ヒュドラを確認しました!」
「ヒュドラか!」
部屋に入るとヒュドラがいた。
まるで待っていたように。
数は3匹。
スキュラが10匹だったから少ないけど、強さにもよる。
「全員聞け、ヒュドラ発見した。大部屋の奥に3匹発見!」
「アスティ、ヒュドラに速攻します!」
「頼む。我が雷光の団も集まれ、そしてヒュドラに立ち向かうこと。王国騎士団もお願いする!」
「おおおおお!」
「ヒュドラを倒せば終わりだ!」
ヒュドラは奥に3匹いて、こちらを見ているから、すぐにバトルとなるだろう。
街で常時発動したスキルは解除して、再びスキルをする発動する必要がある。
いつでも100倍のステータス強化で戦える状態は大変だから。
そしてアスティ率いる雷光の団が集まり先陣となる。
気合が入っている。
「ロメーロ様、強そうな魔物。頭が何個かあって蛇です!」
「何個も蛇の頭があるのは、どんな気分なんだろうな。あまり考えたくはないが、俺がヒュドラに生まれたなら、最悪だな」
「蛇嫌いです!」
「アスカは蛇が嫌いか。ただ魔物はたいてい変な形をしているから、好き嫌いとか言ってられないのだ。俺も最初は戸惑ったことがある。昆虫類などは特に苦手だ」
「絶対に嫌です!」
アスカは昆虫類などは嫌いらしいのはわかったが、ヒュドラは昆虫類ではないから、大丈夫だろうとした。
ヒュドラのステータスを鑑定する。
どの程度の強さかを知るためだ。
『器用貧乏』のぞき見 Fランク
↓
『器用富豪』神眼鑑定 SSSランク
名前 ヒュドラ
レベル 729
体力 5330
魔力 2235
攻撃力 3780
防御力 3460
素早さ 743
スキル
魔法
ヒュドラのレベルが判明した。
レベル729だった。
ギルドの想定では間違いなくAランクだ。
街にいた上半身女の姿をしたスキュラのレベルは451でBランク相当で10匹だった。
つまりは3匹でもAランク並みのヒュドラの方が危険と考えていい。
こうなると、もう冒険者パーティーと騎士団では歯が立たないのは目に見えている。
古城を守っていた冒険者パーティー、貴族を護衛していた冒険者もいただろうが、厳しいだろう。
城には人がいなくて、いきなりヒュドラが3匹ということは、護衛は死んだか逃げたとみていい。
城にいた貴族も同じだ。
無事かも不明だ。
戦っていればおそらくは死ぬだろうなと思えるヒュドラのレベルだった。
このレベル729は強烈で、ヒュドラと互角に戦える冒険者が国に何人いるのかっていう感じだ。
貴族が金に物を言わせて、有能なAランク級の冒険者の護衛をつけるのも考えられるも、それでも3匹もしるし、死ぬだろうな。
そうなると逃げるしかない。
城に住んでいた貴族はわからないので、先ずは目の前のヒュドラを倒すのに集中する。
先にヒュドラが突進して来て、アスティの雷光の団と激突した。
雷光の団は確かAランクパーティーであったな。
「だれだお前らは?」
ヒュドラが話す。
魔物の中には人の言葉を話すのがいる。
強い魔物ほど、その傾向がある。
オークキングやグールマスターも言葉を話せたのがいい例だ。
ヒュドラも話せるとアスティが返事をする。
「古城を守りにきた。古城にいた人はどうした」
「死にました。残りは逃げましたので、この城には人族はいません。お分かりですかおこの意味が。あなた方も逃げないと死ぬってことです」
「たった3匹で偉そうに言うな。俺は雷光の団だ。ヒュドラを討伐する!」
「たった3匹とは、舐められたものです。1匹でもあなた方を全滅できますのに」
「ヒュドラを潰せえええええ!」
ヒュドラは警告したものの、アスティは突っ込んでいった。
ヒュドラのレベル729に対抗できるのか。
聞いているのはアスティはAランクパーティーの団長だ。
決して無理な戦いではない。
ヒュドラのランクの魔物と過去にも戦った経験があるのと思えた。
じゃないと怖くて戦えないだろう。
「雷光の団20人とヒュドラ3匹が激突した!」
「凄え戦いになるぜ!」
見ていた冒険者が言った。
ぶつかりあうと、ヒュドラと互角に戦いを見せた雷光の団。
もともと雷光の団は強いのは強いが、俺の器用富豪スキルが発動中ではなく、発動を解除していたので、これは評価していい。
解除した理由は、複数のスキルを発動するのは体に負担がかかるためで、まして器用富豪スキルはSランク以上のスキルであるから、極めて負担が大きいのだ。
そのため、戦いがいったん終わりと同時に解除してあったのであり、今の雷光の団は器用富豪スキルはしていない。
まわりは雷光の団に任せているのは、3匹だし、20人もいるので、任せたのだと思われた。




