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『74話 古城13 古城に向かう』

『74話 古城13 古城に向かう』



 残りのスライムサンダーとの激闘は、それまでのスキュラ戦よりは楽に行けていた。

 全てがスライムは落ちるからだ。


「残りのスライムサンダーはあと少しだ!」


「みんな、ロメーロはスライムサンダーにも恐れずに行けと言った。みんな行けるぞ!」


「倒せるぞ!」


 残ったスライムサンダーを一掃するのは、さして難しい仕事ではなくて、スキュラよりも楽である。

 スライムサンダーは一匹、一匹と確実に切られたり、魔法でしとめられた。


 俺は一度も手を出さずに、冒険者らだけで全滅させるのに成功した。

 スキルを人類でもできない多重使用しているから、俺が戦うのは難しいのもあるが。

 彼らに任せるのは、とても貴重な経験になればいい。


 そしてガブレラ神が言っていた魔王、邪神との戦いに備えて欲しい。

 俺だけで邪神を倒せるかわからないしな。


「ロメーロ、ロメーロ、ロメーロ、全滅させた!」


「よくやった。これで街は取り戻せた。ただまだ魔物がいるのだろ。街の人は安全にさせたい。きっと疲れているからだ」


「はい。人々は安全なところにいてもらいます」


「アスティ、アスティ、みろよ、俺たちの力で倒したのだ。ロメーロが力を貸してくれたのだぞ!」


「凄えぞロメーロは、神のようだ。神としか思えない!」


 冒険者パーティーがアスティを呼びよせ、報告した。

 中には俺を神と呼ぶ者も現れたのは驚きだった。

 確かにこの状況を見た冒険者は、俺を神のように思うのはあり得た。

 超常現象とも呼べる効果が発揮されたのは、街の人も目撃していた。


 街の人、冒険者、騎士団、それにアスカも含めて、俺が神の力を授かったと思ったかもしれない。

 それくらい衝撃的な戦況の変化だった。

 劣勢を一気に変えれた。

 その影響に俺が大嫌いなアスティは、


「どうやってスキュラとスライムを全滅させたのだ。俺が指揮官の時はあれだけ苦戦していた。それがロメーロが加わった途端に圧勝した。なぜだ!」


「ロメーロのスキルだよ。ロメーロは天才だし神の子だ。神童だ!」


「バカな! 神の子などあるかよ、どう見ても人族だろう。初代勇者のオネストじゃあるまいし。初代勇者オネストは、まるで神としか思えないスキルで世界を救った伝説の人物だ。ロメーロが初代勇者オネストと比較されるのは認めないぞ。伝説の英雄と比較はしない。だからロメーロを神と関連するのは禁止だ」


「バカじゃない。アスティよりも才能があるぜ。ロメーロがいなかったら確実に俺たちが負けていたからな。ロメーロに感謝する」


「いや俺はみんなが戦えば勝てるように援護しただけだ。アスティに言われてだ。アスティの成果でもある」


 冒険者があまりにも俺を絶賛して逆にアスティをけなしてしまうから、これは悪い流れになるため、アスティの成果にもしたのだ。

 このままだとアスティは何もできない無能な指揮官だったと噂になってしまう。


 俺はそこまでして有名になりたいと思わないし、アスティの成果でいい。

 アスティが活躍したことでいいのだ。

 だが冒険者パーティーの間では俺の考えとは逆にアスティは使えないみたいになっていた。


 人の心情をコントロールするのは難しい。

 俺はアスティと一緒に成果をだしたつもりだったのに、結果は違ってアスティは文句を言われる。

 たとえ器用富豪スキル神の力とはいえ、人の心情を制御はできないとなった。


 いや、単に俺が人の心情をわかっていないだけなのかもな。


「アスティは何もしてない。本当に活躍したのはロメーロだ」


「むむむむ、ロメーロ。お前が何をしたかはよくわからないが、スキュラを倒したのは認める。それだけのスキルを持ちながらなぜ勇者オリオンのパーティーを追放されたか教えろ」


「さぁな、俺が役に立たないからだと言って追放した。俺は勇者パーティーのために全力を出したのにも関わらずにだ。酷い話だろと思わないか?」


「勇者の気持ちなど知らない。とにかくまだ魔物がいるし。最大の修羅場は古城だ。古城が魔物に乗っ取られている以上は、兵は引けない。みんな次は古城に向かうぞ!」


「古城だあああああ!」


 街を平定したので、次は古城だった。

 古城は街と接しており、近い場所にあったが、すでに魔物に乗っ取られてたらしい。


 古城には貴族が生活していたらしいが、魔物の襲来におびえて、直ぐに城を手放し、出ていったと聞いた。

 それなら古城には人はいないかもだ。

 いない方が戦いやすいのはある。

 助けながら戦うのは、戦力が分散されるからだ。


 第一線で戦う戦力と、救出する部隊とに別れるのは戦力を二分してしまう。

 俺がまた後方支援にまわるのもありだな。

 

「ロメーロ様、ロメーロ様!」


「アスカか、どうだった街の人の誘導は」


 非難誘導をお願いしていたアスカが戻ってきた。


「安全な地帯があったので、そこに避難させました。それよりロメーロ様が器用富豪スキルを使い、街を救ったと聞いてますよ、さすがロメーロ様!」


「もう俺の噂が広まっているのか」


 早いな、俺のことはいいのだが。


「はい、助けられた人もロメーロ、ロメーロと呼んでいますよ」


「ただこれからが本番だ。敵の本丸は古城にいるらしいからな。アスカも来るか古城に」


「もちろん行きます。ロメーロ様とご一緒します!」


 街を守りぬいて古城にの前に来た時は、冒険者と王国騎士団の人数は減っている。

 スライムとスキュラとの戦いで疲労したらしいが、思ったよりも減っていないのは、基礎体力があるからだ。


 よほど厳しい訓練をしてきているのだろう。

 あれだけの戦闘をしても、戦う士気は落ちてない感じだった。

 王都の騎士団は最も強い騎士団である。

 その一端を見れた。


 心配だったアスティに関しては、ようやく認めてくれた感じはあった。

 それも仕方なくではあるが。

 古城に入れば強敵がいるだろうから、アスティとは連携していきたい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 冒険者も騎士達もみんなロメーロばかり褒めたたえて、頑張っていたアスティが少し可哀想な気がする。後でアスティの不満が爆発してとんでもない事にならないか心配
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