『71話 古城10』
『71話 古城10 スキュラの強さ』
アスティの後方からスキュラとの戦いぶりを観戦していたら、俺の予想していた感じになりつつあって、スキュラが押し返すとなった。
それだけスキュラが強かった。
勢いのあった騎士団の500人は10匹のスキュラに負けていき、援軍要請する始末だった。
当然にアスティはイラついていて、冒険者や騎士団を追加で、送り込むものの、直ぐに足りなくなるのであった。
こちらの騎士団の人は500人はいたが、相手の魔物の数か多過ぎる。
スライムとは違い、スキュラの戦力は騎士団の軍隊を押していて、勝てないと思える。
これは俺の見ての予想ではあるが、王国騎士団は集団の能力は高いが、ひとりひとりの力は冒険者の方が上だろう。
そこで騎士団が数で戦いをしても、もともとスキュラ程の強さない騎士団が戦況を悪化させているのだ。
統率力はあっても、能力ではスキュラが上なのは、俺の判断として、いつまでスキュラの攻勢に耐えられるかだ。
はっきり言ってもたないというのが、俺の予想だ。
雷光の団はAランクパーティーであるからスキュラと戦闘しても戦えるようだった。
団員はアスティ意外も強く経験がありそうだった。
Aランクパーティーを名のっているだけはあった。
ただ互角に戦えるのは雷光の団だけで、他の冒険者パーティーはスキュラには苦戦だった。
スライムサンダーの大軍と上半身女のスキュラにやられていった。
「うわあああああああああ!」
「だめだあああああああああ、スキュラとスライムサンダーもいるぞ!」
「スキュラにスライムも来たら耐えられないぞおおおお!」
街の中での戦いは余裕の戦いから、急にスキュラが現れて厳しくなった。
Bランク相当なるスキュラが一匹ならともかく、10匹となると苦戦は起こる。
つまりはこのままだと負ける。
俺の予想は当たるからな。
勇者オリオンにも色々とアドバイスをしていたのに、あいつは聞く耳を持たなかったのは、俺に指図するな、俺に命令するなと言い出すからだ。
オリオンのようにかたくなに、自分が一番で、誰の指示もうけない奴と一緒に行動してきた俺には、アスティはオリオンと似ていて扱いはできる。
オリオンほどに、ワガママではないからだと俺は思う。
オリオンのワガママぶりはハンパなかったし、俺もしばし困ったものだった。
アスティがオリオンよりも柔軟性があるなら、この戦いは勝てるし、オリオン並みに頭がかたいなら、戦いは厳しくなるな。
最初はアスティと距離を取って戦うと考えていたが、もうそんな余裕はなくなった。
現状は厳しくなるだけだし、けが人が増えて、体力を消耗するだけだ。
そこで俺はアスティに再び話しかけるのは、この状況では俺の力を使うべしだと、伝えることだった。
ただアスティが俺の話を聞くかは微妙だろうな。
「アスティ、話がある」
「手っ取り早く言え、今は厳しい戦いの最中だぞ」
「わかった。アスティだけでは負ける。俺の力が必要だろ。まずはそれを認めろ」
「なに、なぜイカットをだましてグールの魔石を持っていたロメーロを認めるのだ!」
「疑うのはわかるが、まずはスキュラとスライムを倒してからにしろ。早くしないと冒険者にも重症者が増えるぞ」
「むむむ」
俺の意見を飲むのは苦しい顔をした。
よほど俺が嫌いなのがわかる。
「スキュラの攻撃が押しています、早く手を打たないとマズいです!」
「アスティさん、ヤバいヤバい!」
「アスティさんも戦うしかないぜ!」
俺と議論しているときにも、状況は悪化していき、アスティの戦力が苦しくなっていたので、アスティに対する不満が噴出した。
俺の予想とおりにアスティは苦しくなってきているので、後はアスティがどう思うかだ。
俺が力を貸せば状況は変わるが、俺が戦うのを拒むようだと、状況は厳しい。
「おいロメーロ、今は厳しくなってきたので、一人でも必要だ。騎士団や冒険者を援護しろ。しかし本当は怖いなら、逃げてもいいぞ!」
「いい判断だ。俺が必要だと思うのは」
アスティがやっと俺の前線への参加を認めてくれたから、前に行けそうではある。
たとえスキュラがBランクで10匹だろうが神がくれた器用富豪の前ではFランクであるのを魔族に知らせるべきだな。 さあ、見ておけ魔王よ、邪神よ、俺が古城に来たからには、好きにはさせない。




