『69話 古城8』
『69話 古城8』
街に住んでいるスライムに制圧されていた人々は、外傷の治癒と空腹感をなくすのを施したら、少しは生きていて良かったと思ってくれたらいい。
それこそ器用富豪のスキルの豊富さが活きた形だった。
器用貧乏時代からスキルの数は多かったから、幅広く応用できるのだ。
「ロメーロ様に言わせてください。空腹感があるのなら、水分も欲しいでしょう」
「水分もか」
空腹感はなくても体は水分を補給しないと生きていけない仕組みであり、どれくらい水分補給をしてないかは想像できる。
おそらくは脱水症状に近い人も多くいると思われるので、給水が必要だな。
アスカの意見で俺は気づいたのであった。
「水分補給もしないと」
「アスカは俺よりも冒険者に向いているかもな。今何が必要なのかを知っているから。スキル、水分無補給」
潤い『器用貧乏』Fランク
↓
水分無補給『器用富豪』SSSランク
水分を長時間に渡り無補給を維持するスキルで、オリオンとの冒険にも常時発動していたものだ。
森や草原などは水分である川があるが、砂漠地帯では水分は全く補給が困難になるわけで、この無補給スキルを試用していたのをオリオンはわかってくれていたのかというと、たぶんわかっていなかった。
砂漠だからさすがに喉が渇くはずで、渇きが起きない時点で変だなと気づいて欲しいものだあるが、今となってはどちらでもいいか。
水分もない今は、人々には我慢してもらうのがいいし、もう少しで街がスライムサンダーから開放できるので、開放されたら水分も食事も取れるだろう。
「あ、ありがとうございます冒険者さん、あなたが来たら急に傷は治すし、空腹もなくなり、さらに水分も大丈夫そうなのです。聞いたらあなたが、何かしらのスキルか魔法を使っていたと聞きました。お名前は?」
「俺はロメーロ。応援に来ただけで、少しでも役に立てて光栄です。みんなを魔物から避難させます。今のところは魔物に優勢ですから」
「ロメーロ、子供が空腹で空腹で死にそうでした、ありがとう!」
「ロメーロ、死ぬほど水が欲しかったのが、平気になったのです!」
街の男が俺にお礼をした。
すると多くの人が俺を囲んできて、お礼をして来たので、ちょっと戸惑った。
普段からこんなに人から感謝経験がないので、慣れていないのもある。
器用富豪のスキルにはこんなに人々から喜ばれるスキルがあったのだと気づかされた。
ガブレラ神が俺に渡したこのスキルで、世界の人々と国を守る話をした。
これでいいのですよねガブレラ神。
どこかで見ているだろう神に俺はつぶやいた。
神から救うように委託された仕事でもあるので、俺はこの仕事を頑張るのだった。
神様と通話できる時点で俺は人なのかと考えてしまう。
人を超えてしまっているよな。
人を超えるとどうなるのか。
神にでもなるのか。
「凄い人気ですロメーロ様。来て直ぐに街の人から好かれています。さすがです!」
「いつもなら勇者オリオンが人気で次に賢者ボーデンと大神官リアンだった。俺が注目を集めるなんてなかったからか、慣れていないのだ。だからアスカが代わりにみんなに挨拶をしてくれ」
「いえいえ、私は何もしてませんから、ロメーロ様の人気です。でもロメーロ様の人気は私も嬉しくなる」
「器用富豪スキルがここでも活躍して俺も嬉しい」
「実はいきなり魔物のスライムサンダーが大量に現れてきて、街を襲ったのです。あまりにも急に来たし、とても強くて街は占拠されました。多くの街の冒険者も犠牲者になった。王都からこんなに早く応援が来るとは思わなかったよ。助かったよ」
「でもまだ魔物を倒したわけではない。確かにスライムサンダーは数は多いが、スライムサンダーだけで街や城が占拠それるとは変な感じがしているのだが、他にもいるのだろ?」
俺が不審に思った部分は、スライムサンダーはDランク程度であり、数はいても、街のギルド、冒険者でも勝てそうな気がしたのだ。
それに近くにある街のギルドにも応援要請してもいいのに、違和感があったから男に聞いた。
「はいロメーロ、実はスライムサンダーだけではないのです、まだ魔物はいます、スキュラもいます。スキュラはスライムとは違いまして、冒険者を圧倒的に倒したのです。さらにヒュドラまでいたのですから、もはや地獄です。王国騎士団でもヒュドラなどを倒せるのか不安です」




