『64話 古城3』
『64話 古城3』
カイザール国王の南部にある個室が占拠されたため、国家のために集られた精鋭部隊。
戦いの準備は整い、後は王都から離れた南部に向かうだけとなり、南部の古城は距離がある、馬車が大量に集められた。
王国騎士団は元々、騎馬隊を所有しており、馬で移動するのを確保しているので、500人のうち、半数は騎馬隊、残りは歩兵部隊だった。
残りの歩兵部隊は馬車での移動だろう。
そして俺たちの冒険者パーティー達は、ほとんどが騎馬隊はいないと思えた。
そうなるので、これまた大量の馬車が用意されるので、王都の一部に馬が集まる光景となって、国民は不安に見ている。
当然なのは、王国騎士団がこれだけ大量に出陣するとなると、大きな戦いになるのは、誰の目でもわかるからだ。
「よし、みんな南部の古城に出発する。必ずや城と街を魔物から取り戻すのだ!」
「取り戻すぞおおおおお!」
騎馬隊と馬車では馬の速度は違うのは当然で、騎馬隊は一人の騎士に馬が一匹で走るので速いが、馬車は複数人を乗せて走るので、その分は遅くなる。
すでに魔物が悪さをしている現状で、馬車で移動して、間に合うのかと疑問に思う俺は、
「アスティ、出発は止めるんだ。今すぐに止めるんだ」
「なんだ、ロメーロ。出発しなかったら古城には行けないだろ、バカか?」
バカ呼ばわりしてきた。
「出発する必要はない。出発したら時間がかかるだろ。南部まで時間がかかるのは俺からしたら無駄だ」
「何を言ってるのか、わからないぞ」
「俺は器用富豪スキルが使える。俺のスキルなら古城まで出発せずに行ける、全員行ける」
この説明でアスティが理解してくれたのか不安だが、器用富豪スキルで問題なく行けるのは確実である。
富豪スキルで移動した方が速く移動するが、アスティが理解してくれるかだ。
理解できる域を超えたのが器用富豪なので、説得するのに苦労してしまうこともあり得る。
「どうやって行くのか説明しろよ」
「瞬間移動スキルを使う。俺のスキルなら冒険者と王国騎士団の全員を移動できる。古城にだ。構わないだろ」
「瞬間移動スキルだ、お前は頭が狂っているのか?」
やはり理解しようともしない。
さあ、どうやって説得するかだな。
俺からしたら古城の魔物を討伐するよりも、アスティを説得する方が難しいかもだ。
俺をはなから信用していない人を、瞬間移動すると言えば、余計に信用されないし、頭が狂っているかと思われている。
しかし時間がないのであり、馬車では遅すぎるのだ。
「狂っていない。試せばわかる。アスティが俺を信じればの話だが、俺を信じるかい」
「誰がお前を信じるかよ、イカットをだまして頃した奴を。ふふふ、しかし本当に瞬間移動できるならやってみろよ、できるのならな、もし失敗した時は、ロメーロがイカットを殺したと認めろよ!」
アスティは俺を信じる代わりに、失敗した時は犯罪者となるのを認めろと言ってきた。
俺は何も困ることはなくて、イカットを殺してもいないし、瞬間移動は楽に行けるから受諾する。
困るのはアスティの方と確定した。
アスティが瞬間移動で移動なら、もう結果は俺の勝ちだ。
ここではアスカしか知らないし器用富豪。
その力を発揮したときは、この場にいる全員が衝撃を受ける。
たとえどんなランクだろうと、Aランク冒険者だろうと器用富豪の前にはFランクでしかない。
アスティも同じだ。
なぜならガブレラ神から得た力だからな。
「認めるよ、もちろん失敗したらなの話だが。失敗することはない」
「よし、試してみろ、世界を探しても瞬間移動スキルなんて超レアスキルを使える奴を見たことないのだからな、あははははは、やってみろ!」
「ロメーロ様、大丈夫ですか、冒険者100人、王国騎士団が500人もいるのですよ!」
「ああ、心配ない、俺のスキルは器用富豪だ。貧乏とは違うスキルをみせてやろう。アスカは不安なら俺に掴まれ」
「はい」
掴まれと言ったが、こんなに接近しなくてもいいが。
掴まるというよりも抱きついてきた感じだった。
まあ、一瞬の時間だし、構わないか。
俺でも認識できない程の一瞬であるから。
「スキル、瞬間移動」




