『23 魔王ブラーゼン』
『23 魔王ブラーゼン』
「ふふふ、ロメーロの方こそ魔族をわかっていないな。魔族の頂点にいる魔王の力を甘く見たな」
「いやいやもう体力も魔力も残っていないだろう」
「魔王の秘奥義を受けろ。これでロメーロは終了だ。なぜなら最初からこれをする予定だったのだ。つまりはここまでの戦いは、この魔法を詠唱するための準備時間だったのだ。闇のデゼスボワールだああああああ!!」
闇のデゼスボワール?
魔法を放ってきた魔王。
闇のデゼスボワールを詠唱していたらしいが、詠唱時間がかかるので、ずっと時間稼ぎをしていたということだ。
これだけの詠唱時間を俺にわからないでしていたとはな。
俺もその隠れて詠唱をしていたのは見過ごしていたけど、どんな魔法なのかが問題だ。
魔法は魔王獄炎破のような炎の魔法ではない。
闇と言うくらいなので闇属性だろうが、効果がわからない。
なんだ、闇の魔法の正体は?
俺には何も変化はないが。
「何をした!!」
「ふふふ、闇のデゼスボワールは闇属性魔法。効果は即死、つまりは相手の体力や防御力など無効。全て即死する。ロメーロよよくぞ魔王の俺をここまで追い込んだのは褒めてやろう。ロメーロ終わりだ」
即死魔法だったのか。
確かに即死魔法は防御力や魔法耐性なども無視して、相手の命を奪う恐ろしい魔法。
使える者はわずかしかいない最上級魔法の一つだ。
俺は死ぬのかよ?
と思っていたけど俺の生きているし、特に何も変化はないのは間違いない。
考えてみると多重スキルを使った時に、即死魔法無効をしていたからだったと気付く。
魔王の闇のデゼスボワールの効果よりも、器用富豪スキルの即死魔法無効が上だった。
それで俺は何も変化はなくて生きているわけだ。
「俺は生きてますけど」
「えええ!!」
「即死魔法って言ってるけど、何のこと?」
「嘘だろ、闇のデゼスボワールは闇魔法でも最上級魔法だぞ。効果がないわけない!」
あせる魔王。
俺が全く無事で生きているのが信じられない様子。
最上級魔法すら超えるのが器用富豪スキルだったのだ。
「効いてない。俺には即死魔法は効かない。噓だと思うならもう一度やってみろよ」
「うううううう、闇のデゼスボワールは絶対だああああああ!」
再び闇のデゼスボワールを放ってくるも、俺は何もしないで立っているだけ。
思ったとおりに効いていない。
闇魔法は魔族が使える魔法であるが強力な魔法が多く、人族の冒険者から恐れられていた。
「だから言っただろう。全然効いてないんで」
「そ、そんな、魔王の最強にして秘魔法を防げるはずないのだ!」
「これが最後の切り札だったのだな。切り札は俺には通じなかった。今度は俺の聖剣レーヴァテインの番だな」
ザクっ、ザクっ、ザクっ!
魔王の腕、腹、胸を順に切り裂いた。




