『62話 古城』
『62話 古城』
「大変だあああああああああああああああああああ!」
「なんだ?」
「どうした!」
俺が神通話を終えて、ギルドから去るとした時に、突然に男が入ってきて叫んだのだから、全員が注目する。
注目したのは男は血だらけで、かなり深い傷を負っていたことで、治癒が必要な状態であったので、助けられていた。
服装は防具を付けていて、王国の騎士団と思われる。
騎士団なら魔物が発生でもしたか?
「王国騎士団ですね、私は受付嬢ですが、どうなさったの?」
「た、た、た、大変です受付嬢、ここから南に古城があるのはご存知でしょう。あの古城を強力な魔物が来て城を乗っ取ったのです!」
どうやら魔物らしい。
どんな魔物かはわからないが、この慌てようは普通ではないのは、騎士団がここまで慌てるとなると、かなりの強さなのが予想できるからだ。
「ええっ、魔物が、大変!」
「魔物かよ、俺はアスティだ。それで騎士団さん、どんな魔物なんだよ教えてくれ」
アスティが魔物と聞いて返事をした。
この反応のあり方は冒険者らしい反応で好感が持てた。
「ああ、あんたはアスティさんかい、魔物は大量発生してまして、城と街を整圧しました。スライムサンダー、スキュラ、ヒュドラを確認しました。他にもいるとのこと。それに城にはそれらの魔物を従える魔物がいたと報告があった。街の人は多大な犠牲者が生まれています!」
「ヒュドラはギルド登録ではAランク魔物としてます。非常に危険性が高い。非常事態です!」
受付嬢はヒュドラが直ぐにAランクと教えてくれたのは、全ての魔物のランクが頭に入っていて、ギルド内に緊張が走った。
Aランクなら危険であるので、ギルド内は一気に緊張が走った。
強い魔物であるにはあるが、俺も関係してくるのかは、まだわからない。
「スキュラか。何でスキュラが突然に城を占拠するんだ。聞いたことねえし、ただ犠牲者が出ているのなら、俺たち雷光の団が行くしかないよな、みんないいか!」
「おおおおお!」
「アスティ団長、行こうぜ!」
アスティの掛け声でパーティーメンバーの士気が上がったようで、雷光の団は行くようだ。
イケイケだな。
破滅の団とはパーティーよ雰囲気は違った。
破滅の団はオリオンを筆頭にまとまりはなかった。
個性的と言えば個性的で、パーティーとしての関係が薄く感じられた。
その点、雷光の団は団員の結束力では遥かに上だった。
「王都ギルドに所属する冒険者、並びに冒険者パーティーにお願いします、古城にAランク魔物が出現しました。これは国家の存亡に関わる重大な任務になる。全員参加お願いです!」
「受付嬢、話は受けたぜ、行くぞおおおおお!」
「やるぞおおおお!」
受付嬢からの掛け声であったが、ギルド内にいた冒険者はほとんど手を上げて参加の意思を示す。
雷光の団以外にも、複数のパーティーが参戦しそうで、人数的には100人は超える。
登録している冒険者はもっと多いだろうが、現在いる人数は100人くらいか。
予定していない緊急の戦いになるので、人数を集める余裕もないのだろう。
このメンバーで戦うしかない。
「ロメーロ様、どうしますか?」
「俺も行った方が良さそうだ。相手がかなりの危険種だからな」
「さすがロメーロ様。グールの時みたいにやってください。私もお供します!」
「アスカは残っていいぞ。危険だしケガする」
「いいえ行きます、ロメーロ様と離れるのは嫌です」
「わかった。一緒に行くとしよう」
「はい!」
アスカは置いて行くつもりだったが、俺と行くのを望んでいて、しかし危険があるから、しっかりとアスカも安全にしなてくてはならないな。
「ありがとうございますロメーロ。行ってくれるのですね。ギルドはロメーロが戦うなら心強いです」
「行きますよ、今は一人でも多い方がいいだろう」
ギルドからもお願いされて俺は相手のスキュラなどをどうするかを考えていた。
依頼されるなら俺は断るつもりはなかった。
特別にほかに行くあてもないのもある。
もし魔物が強いとして、俺は古城に行くべきなのか、それとも器用富豪に行くようにさせられているのかを考えてしまう。
森のダンジョンに続いて、何か器用富豪に俺が操られているみたいでもあった。
先ほどの神通話が思い出される。
俺が邪神と魔王と戦う運命にあると言われたことを。
あれはこのことを言っていたのか。
それとも古城の件は無関係なのか。
どちらかは俺には判断できない。
判断できるとしたら、それは古城の行って魔物と戦うしかない。
森のダンジョン並みの化け物がいれば、ガブレラ神の言っていた邪神が影響していると思えるので、俺が行くしかないのだ。
行ってみて大した魔物でない、アスティでも討伐できれば、邪神とは無関係だろう。
直接古城に行ってみないと判断はできないなら、俺が行くほかない。




