『55 ギルドに9』
『55 ギルドに9』
「受付嬢、アスティは誰なんだい?」
詳しく聞きたい。
「アスティは王都ギルドでも有数の能力の高い冒険者。雷光の団の団長です。しかもAランクパーティーとなっており、カイザール国でも最強クラスのパーティーです」
「なるほど、強そうな仲間もいっぱいいるわけか」
思ったとおりにカイザール国内でも最強クラスのパーティーらしい。
腕には多少の自信はありそうではある。
Aランクパーティーということで、イカットと同等な力を持っていると教えられた。
だとしたら友人なのも理解できる。
カイザール国でもイカットとアスティは最高位に位置していて、お互いに認めあっていたようである。
だったら俺を恨むのも納得かいく。
俺を認めたがらないのも、俺には知らない深い関係があったのだと推察した。
もし俺の言い方が気に入らなかったなら、謝るつもりだ。
俺は話すのが下手なところがあるので、言葉が足りないのは自覚している。
「ロメーロ様を疑うのは止めなさい。私が許しません。カイザール国王に私が提言します。雷光の団がロメーロ様にあらぬ疑いをかけていると」
「誰だこの女は、エルフの冒険者なら黙れ」
「私はエルフ国皇女のアスカよ」
「皇女!」
「皇女がなぜここに!」
アスカが皇女と口にした、雷光の団のメンバーは急に態度を変えたのは、皇女と敵対することは、エルフ国と敵対するのを意味するからだろう。
そんなバカなことをする奴は本当にバカだからなのは、エルフ国は大国だからで、カイザール国よりも大国だろう。
たぶんアスカをどこにでもいるエルフ族だと思っていたらしく、もう文句は言わなければいいが。
「私はエルフ国皇女です。あなた達を詐欺師パーティーとして国家専属のエルフ騎士団を派遣します」
「わかったよ、もうこれ以上はいわないでやるよ」
「そう、それならいいですロメーロ様から離れなさい」
「だがな、イカットのことは忘れないぜロメーロよ!」
「俺は忘れたいがお前など」
アスカが皇女なのを盾にしてくれたおかげで、アスティらは引いてくれそうで、良かった。
面倒ごとは嫌いなのでアスカには感謝したが、俺には敵対心を言ったのは気になった。
まあ、アスティが俺を恨むのをアスカが助けようとしてくれたのであり、ありがたい気持ちだった。
「アスカ、ありがとう」
「いいえ、ロメーロ様に対して侮辱は許しません」
アスカは俺を侮辱してくる連中は、全部敵対するので、わかりやすいが、そこまでしなくていいとも思う。
これでギルドには要件はなくなり終わりだ。
魔石も届けたことだし、ギルドから去るのがいい。
器用貧乏時代は弱かったし、後方での雑用しかできなかったのもあり、ギルドに来るのはあまり好きではなかった。
器用貧乏でも器用富豪でも、なぜかレベルは上がらない素質だった俺はレベル1のままの俺。
レベル1のままだから、ギルドでの評価は最低だった。
それでギルドに来ると、なぜレベル1のままなのか、オリオンのパーティーにいるのにレベルが上がらないのはなぜかと思われた。
今でもレベル1であるが、今になってわかってきて、
レベル以上にスキルの恩恵が上回っていたのだった。
ギルド側は俺の器用富豪の偉大さがまだ理解できていない。
単に強いとしか思っていない感じだ。
器用富豪が俺をどうしたいのか?
グールマスターのところに連れて行ったとして、次は俺をどこに連れていくのかは、俺にもわからない。
人を超えたスキルである器用富豪が、なぜ俺のスキルになったのか。
なぜ存在するのか。
俺に何かさせようとしているのか。
全てはこの後にわかる。
俺の進路は決まってくる。




