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『23 草を刈る』

『23 草を刈る』


 刈った後は何もない更地。

 牛が食べる草はないからルブランは困るのも当然だ。

 そうなると思って刈り取った後のことも考えてある。

 ダンとピチュを連れて来たのはその為だ。

 ピチュならこの課題を解決してくれると思う。

 俺はピチュを見る。


「牧草地は更地だ。ピチュに協力して欲しい」


「いいわよ、私が来たのは牧草を生やすためですから」


「そうかピチュなら草を生やすのも可能なのね。農地で見せた奇跡の農業ね」


「奇跡の農業??」


 ルブランは説明をされて意味が理解できないけど、リアンはピチュのスキルを見ている。

 俺も見たがとんでもないスキルだ。

 今のダンの農地開拓スキルとは違うが、農業用のスキルがある。


「ピチュには俺のスキルを付与してある。そして準備もしてある」


「私に任せて」


 ピチュが更地に入るとさっそく作業に入る。

 作業は準備してあるのは、こうなるのを想定してのこと。

 草を新たに植えるので、草の根を持ってきていたのを神の袋から取り出しておく。

 俺がするのはここまで。

 後は農民ピチュに任せる。


「種まき速度1000倍スキルをします」


 ピチュは開始すると更地になった土に草の根を植える。

 単に植えるだけだが、違うのは異常な速度。

 ダンも速かったが、匹敵する程に速い。


「速ああああああああい」


「ピチュの動が速すぎる!!!!」


 驚くしかない速度で根っこを植えていく。

 速すぎて目視できない速度は器用富豪スキルならではだな。

 広大な牧草地なのに、どんどんと植えていくのは農業と同じで応用ができたのは大きい。

 応用できるのもピチュの持っている農業の経験によるもの。

 疲れないかと不思議だよな。

 広い敷地に植えていくと、作業は終わった。

 なんとも速かったな。

 ただ今の状態は根っこであるから草は土の中で見えない。


「終わったよ」


「ご苦労様です」


「さすがピチュ。王都一の農民だわ」


「俺からもお礼をする」


「ピチュには感謝しますが、残念ですがこの状態では牛は食べることはできません。土に根を植えただけですし、何週間とかそれ以上の期間を待つようです」


 ルブランはピチュにお礼をするも、残念がる。

 これでは牛は食べられないのは明白だったから。

 ただここまでは種まきスキルの本領発揮。

 前回もそうだったけど、ヤバいな。

 そしてルブランが残念がるのを消すためのっスキルもある。

 それをこれから開始する。

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