『53 ギルドに8』
『53 ギルドに8』
「誰だ」
「俺の名前は、アスティだ。イカットの友人でもある。お前がイカットが死んだと話していたのを聞いた。本当にか、違うなら許さないぞ」
どうやら友人らしい。
友人に話すのは、話しにくい現実ではあるけども、正直に話すことにする。
「残念ながら死んだ。俺の前に森のダンジョンに行ったのだ。助けられなかった」
オークキングにやられたのが原因で、助けようがなかった。
いくら万能であり最強の能力である器用富豪といえど、すでに死んでいる者はどうすることも出来なかった。
生き帰らせる魔法があるのだろうが、それは最上級の魔法である。
「嘘を言うのはやめろよ、ロメーロとか言ったな」
「なぜ俺が嘘を言う。言う必要がないと思うが」
アスティと言う冒険者と仲間だろうか、20人はいる。
見たところ冒険者パーティーであり、アスティが団長なのとわかるが、イカットの友人らしく、怒っている。
イカットの強さを信じていて、死んだのが嘘だと決めつけてきた。
もちろん俺は嘘は言っていないが、冒険者なら死ぬこともあるし、たとえイカットが有能の冒険者であろうと死ぬこともあるのだと認めるべきだろう。
それがイカットと同じ冒険者なら、なおさら認めなければならないのが冒険者として必須だった。
つまりは友人のアスティは冒険者としては未熟である。
俺は言いたくはないが、現実を認めるのも有能な冒険者の資質であるからだ。
「イカットは簡単に殺られる奴じゃない。この王都ギルドでも最強クラスの冒険者だったのは俺が保証する。そうだな、俺の言いたいことは何かというとだな、ロメーロが横取りしたと言ってるのだ」
「意味がわからないので俺にわかるよう詳しく説明してくれ」
全く意味がわからないのは、横取りと言うことだ。
なぜ俺が横取りできるのかと、ダンジョンで見た時には、すでに死んでいたのたが。
言いたいことは、俺がイカットが討伐したオークジェネラルやグールマスターの魔石をイカットから奪い、ギルドに持ち込んだとでも言うのか。
もしそう言いたいなら、とんでもない論理である。
イカットの能力では、オークキングですら倒せるレベルには足りていなかったのだと知る必要がある。
敵の能力と友人の能力とを比較対照し、分析してから言うべきだ。
イカットは即死するしかなかったのだと。
俺が奪い去るもなにもないと知るべきだ。
アスティは分析能力はあるのかもしれないなが、友人ということで、動揺して冷静な判断ができないのかもな。
「ようするに、本当はイカットがグールマスターを倒した。イカットなら十分に倒せたさ。イカットが倒したとする、しかしグールマスターは強くて疲労していて、そこをロメーロが襲ったのだ。疲れているイカットを襲ったのなら、さすがのイカットも防げない。イカットを殺しておき、まるでオークジェネラルやグールマスターに殺されたように偽装した。全部ロメーロがと討伐したと見せかけた、そうだろっ!」




