『10 儀式をする』
『10 儀式をする』
儀式と言った。
牛に何の儀式をするのかまるで予想もつかない展開。
オーガインが言っている意味が理解できないまま開始しだした。
「魔獣化魔法陣を発動する。牛よ、魔獣となり人族を殲滅せよ!」
「魔法陣だと?」
「あっ、地面に魔法陣があります、私も気づきませんでした!」
「魔法陣で牛を魔法にかけています、ロメーロ離れて、巻き込まれるわ」
「しまったな、油断したな」
リアンに言われて俺は後退する。
オーガインにばかり目がいっていて魔法陣があるのを見過ごした。
俺も巻き込まれるのは危険であるのをリアンが注意してくれて助かる。
牛は魔法陣で姿が変化していった。
ルブランの牛を使って何をする気だ。
彼女の大事な牛なのだから、変なことに利用するのは許せない。
ただ魔法陣が発動していて俺は何もできないのも事実であった。
悔しいが牛が変身してしまった。
「牛が、巨大な魔獣に!」
「合体して5匹の魔獣になりました、ロメーロ、牛の魔獣に」
「魔獣か。しかもルブランの牛だからな、攻撃したら死んでしまうな」
巨大な牛の魔獣となってしまった。
知らない動物が魔獣になるのならいいが、知っているルブランの大事な牛。
とても攻撃は難しいな。
どうするかな。
「あはははははは、見たか魔族の魔法を。牛には俺様が魔獣になるための細工をしていたんだ。牧草地の草を魔草にした。あれを食うと凶暴化して魔獣にできるのさ。そこまで読めなかったなロメーロの負けだ。魔獣化したら攻撃は100倍になる。それが5匹だ。魔王軍に入れば将軍クラスに匹敵する。ククク、ロメーロを殺せ魔獣よ!」
「アスカ、リアンは下がれ、俺がやる。街の人が危険だ」
「私が非難させます」
「リアンと一緒にします」
「頼む」
アスカ、リアンには住民を守る行動にでた。
魔獣が何をするかわからないから、住民を守るのは助かる。
住民は魔獣を見てパニックとなっていた。
それまでは牛を追いかける、ちょっとした祭りのような気分で観戦していた人も多くいたのだ。
それが巨大な魔獣となれば話は別だ。
笑顔で見ていた人には恐怖が襲ってきて、しかも魔獣は近くにいた人に襲いかかる。
「きゃああああああ、牛の魔物だああああ」
「住民には攻撃させません、ウインド!」
アスカの風魔法が間に合うか。
魔獣の手が住民に届く瞬間だった。




