『牛が集まる』
『牛が集まる』
牛が集まる場所は街の広場のような広い場所。
人が本来なら通る通りだ。
こんな所にいたのか。
教えてもらい助かる。
後はスキルをすれば終わりだろう。
残りは数匹くらいだしな。
悪いなオリオン、俺が全部捕獲する。
生き込んでいたから、少しはオリオン達に活躍させて人気を取らせて上げたい気持ちがあるけど、魔族が絡むのならいち早く終わらせる。
これが祭りなら、全部オリオンに取らせるけど残念だったな。
「たぶん牛も疲れたのよ。普段は走らないのよね、そしたら疲れる」
「今のうちにロメーロお願いします」
俺は牛に接近して興奮減少のスキルを使う。
その時だった。
急に牛の様子が変だった。
なんだ、何か変だぞこの牛は。
接近するのを止めて、牛から距離を置いた。
理由はわからないけど俺の直感がそうしたのだ。
近づくなと。
「どうしたのよ、スキルをしないの?」
「おかしいんだ、何か感じる」
「ええっ、おかしい?」
「ふふふふふふふふ、さすがロメーロです。気付きましたか」
「誰かいるのか?」
牛の後方から声。
怪しい声だった。
魔力は感じなかったが、押さえていたのか。
「ふふふ、俺はオーガイン。見ての通り魔族だ。牛に接近しなかったのは俺の魔力に気づいたのだろう。ロメーロのことは調べている。魔族の敵である。俺は王都を壊滅させるために潜入した」
「オーガイン、魔族か。それで牛に何かしたな、牛は返せ、大事な牛だ。飼育している人がいる」
魔族だった。
オーガインという魔族で、男の姿をしている。
身長は俺と同じくらい。
牛をどうするか気になる。
何かしらの考えがあるのだろうが、今のところ全く読めない。
魔王軍が昨日来たばかりなのに、もう魔族が来るのかよ。
魔王もあきらめの悪い奴だな。
それとも魔王軍の多くを失い、怒ったのかもな。
ゼノが失敗したのは確かだし、オリオンに魔王軍の将軍をさせて、結果は失敗。
今度は魔王軍の大軍ではなくて、一人の魔族を送り込んで来たわけか。
魔王が失敗して悔しい思いをしていても俺は負けられないのは、牧畜師ルブランがいるからだ。
彼女は何も悪いことはしていないのであり、ただ牛を飼育しているのだ。
それを利用して王都を占領しようとしてもお全力で阻止する。
「牛は返せない。なぜならこれから儀式をするからな。魔族流の儀式を」
「儀式?」




