『牛が暴走する』
『牛が暴走する』
エピック国王都。
俺はナミュール王女と2人で買い物をしていた。
ナミュール王女は料理はできるので、食材を一緒に買いにいき荷物持ちをする。
荷物は神の袋があるから楽ではある。
野菜と肉も購入した。
「けっこう買うんだな」
「だって宿には4人もいる。これくらいは直ぐに食べてしまう。足らないくらいです」
「ナミュール王女がいると楽でいい。外食しなくて済むから」
ナミュール王女が居ないときは外食がほとんだだった。
料理をしてくれるようになり外食の数は減ったのは確かだ。
「今日は牛の肉です。焼いてみます」
「楽しみだな」
「あれ、牛が走っている!」
「ええっ牛? いやここは王都の街の中、牛が走ることはないよ、見間違いだな。犬じゃないかな」
牛が走っているというので訂正した。
街中で牛が走ったら大騒ぎだ。
買い物どころではなくなり、牛を捕まえないとケガ人もでてしまう。
ナミュール王女が他の動物と間違いをしたと思う。
「いいえ、あれを見てください!」
「いやいや牛が走っているわけない、あれ!! 牛だな!」
「だから言ったでしょ牛よ。それも数が多いです」
疑っているとよく見ると本当に牛だったので驚いた。
なぜ牛が暴走するのか。
逃げ出したとも考えられるけど、ここは早く捕まえるのが必要だな。
牛にはゆったりとしているのもいるが、この牛は走る牛だ。
人が走るのと同じくらいの速度で走っているので、捕まえるのも大変だろう。
勢いにのった牛は前からでは怖いし危ない。
それに力も人よりもあるから、何人かで押さえる必要があるよな。
しかも一匹ではなくて何頭もいるようだ。
「どこからか牛が逃げたのかもな、危ないのでナミュール王女は俺の後ろに居てくれ」
「後ろに隠れます」
俺の背中にすっと隠れる。
万が一のことを考えて非難させて、牛がやけに多いという点が気になる。
最初は一匹、数匹と増えていき、今では30匹は走っているのが確認できる。
どうなっているんだろう。
こんなことは今までに一度も見たことはないし、街の人も慌てて逃げている。
街の人に聞いてみると、
「あの牛は?」
「牧草地から逃げてきたらしいぜ。飼育されている牛だろうから、牧畜の人は何をしてんだか、これじゃあ町は牛だらけになってしまうぜ」
「牧草地ですか、ありがとう」
どうやら王都付近の牧草地から逃げてきた牛だったとか。




