『ゼノと戦う』
『ゼノと戦う』
「ありがとうゼノ。俺の代わりに殺してくれて助かった」
「ぬううううううう、よくも大事な魔王様の魔王軍を殺してくれたな。許せん!」
「いやいや俺じゃないから、ゼノの魔法だってば。そろそろ勝負を決めるぞ。王都が破壊される前に」
複数の場所で戦闘は起きている。
俺とゼノのいる場所以外でもおきているので、早く勝負を決めたかった。
剣で一気にゼノをしとめる。
一刻の猶予もなくなった。
聖剣レーヴァテインでゼノを切った。
「ぎゅああああああああああ」
「部下もそれくらい痛かっただろう。痛みをしれよな」
「ぎゃあぎゃあああああああ」
剣を数回振る。
腕、足、耳、腹を切った。
全部に当たり流血が出る。
ゼノは痛がると後退していく。
「ううううう、ロメーロよ、よくも切ってくれたな。こうなったら最後の手段だ。魔族どもよよく聞け!」
「何をする気だ?」
最後の手段と言う。
まだ奥の手があったのか。
副官ともなると、次の一手を隠しておくもの。
俺が考えつかない手を隠している。
魔族はゼノの方に振り返る。
集中してゼノの言葉に耳を向けた。
「撤退する!! 魔王軍全部隊は撤退する、森に引けええええええ」
「おおおおおおお!!」
「さすが副官です。判断が早いです」
なんと撤退するのかよ。
どこが奥の手なんだよ。
深読みした俺がバカみたいだ。
しかも部下は褒めてもいる。
どんな関係なんだよ。
ゼノが撤退すると宣言したことで、魔族は急激に攻撃を中止して撤退する。
王都から外に向かって行った。
「まあ撤退するなら、ありがたい。どう考えても騎士団の方が押されていたような気もするが」
押していたようにも思えたが、それを考えることなく撤退したのがゼノの戦術だった。
これではオリオン将軍と比較しても大差ないな。
魔王軍が撤退する光景に騎士団は歓喜を上げる。
「やったああああああ、魔王軍が撤退するぞ」
「ロメーロが撤退させたんだ、ロメーロが魔王軍を撤退させたぞ!」
騎士団は俺の事をみて拍手をする。
俺はただデーモンクラッシャーを受けてそのまま魔族にはね返していただけだけどな。
ゼノと魔族がバカ過ぎたのが俺への絶賛となった。
「ロメーロ様さすがです。アスカも見ていて凄いと思いましたよおおおお!」
「苦しいぞアスカ」
アスカは嬉しさで俺に抱き着いてくる。
苦しいですよアスカ。




