『勇者パーティー』
『勇者パーティー』
「ふふふ、面白い。魔王に攻め入って来る勇気。その勇気は俺は好きだぞ。そこで聞きたい。俺と戦いをするか、それとも魔王軍の将軍になるかどちらか選べ」
ブラーゼンは勇者パーティーを利用できると思う。
エピック国にも詳しいし、国の地理や王都の弱点だってわかる。
それに最大の利点はロメーロ。
ロメーロに関する知識が欲しかった。
魔王と言えど、一度ロメーロとオネストと戦いをして退散していることから、ロメーロを強敵と思っている。
勇者パーティーから少しでもロメーロについて知りたいし、将軍にしてロメーロと戦わせるのも面白いと思ったのだ。
それを断るならこの場で勇者パーティーを殺してもいい。
役に立たないのは殺すと決める。
どっちを選ぶかはオリオンに任せた。
魔王に協力して将軍になるか、魔王と戦うかの究極の選択を迫られるオリオン。
戦いをして勝てる確率はゼロだろう。
だが協力するのも気が引けるのは、名前は勇者パーティーと名のっているわけで、勇者が魔王に協力するのは聞いたことがない。
それにまた国王に怒られる可能性も考えた。
悩むオリオン。
ボーデンとクランクとハニーとも相談した。
すると賢者ボーデンとクランクは反対した。
仮にも勇者パーティーなので、魔王に協力はあり得ないと。
正当な答えだった。
だがそれでいいのか。
ハニーは逆に戦いを避ける方だった。
魔王軍の将軍になり、エピック国に進軍する。
最初は魔族の魔王軍だとしつつも、どこかで人族の側に寝返ればいいと言う。
オリオンは、
「なるほどな。ハニーに意見で行こう。途中で魔王軍を辞める作戦だ。それまでは魔王軍になりきり魔王に忠誠をしている振りをする。エピック国に帰ったら人族の方に逃げるのだ。後はロメーロと魔王軍を戦いをさせたらいい」
「そうしよう」
「俺も同意する」
ハニーの意見でまとまる。
最初だけ魔王軍を演じていれば、この場を乗り切れるだろうという希望的観測だった。
だがそれしか道はないと思ったのだ。
「魔王ブラーゼン、俺達の破滅の団は魔王ブラーゼンに忠誠を誓う。魔王軍にはいる」
「あはははははは、勇者パーティーが我が魔王軍に入ったらぞ。あはははははは、今日からオリオン達は魔王軍の将軍だ。お祝いの酒を持ってこい。酒を飲むぞ」
「はい魔王様、お酒の準備をします」
部下に命じて酒の盛大な宴会が開始された。
オリオンは魔王ブラーゼンに酒をつがれて飲む。
まさか魔王と一緒に酒を飲む日が来るとは夢にも思わなかった。
酒の味は、全く美味しくなかったのは、緊張して生きている気がしないからである。
魔王の横にいるだけで酒の味などわかるはずもない。
ただこの宴会はずっと続いてしまい、魔王軍のエピック国に進軍する時間が遅れた。
ボーデンとクランクの顔は引きつっていた。
副官ゼノと一緒に酒を飲んだからだ。
僧侶ハニーは吐きそうだった。
魔族と一緒に酒を飲んだら気持ちが強くなったから。
こうして破滅の団は、金が欲しくて森に魔石を稼ぎに来たのに、最悪の魔王と宴会となっていた。




