『泉』
『泉』
ニンフは俺をじっと見ている。
状況によっては戦闘になるな。
俺達が魔王にとって危険な存在だとわかれば、そこで戦闘になる。
依頼の話を聞いた時はギルドは、この魔族のことは言ってなかった。
もし凶悪な魔族ならギルドは俺に説明するはずだ。
だけど何も言ってなかったのは、危険性は低いのか。
俺以外にも冒険者が来ているはずで、聖なる水は過去にも取っている。
そうだと思って来たから、こんなに悩むとは予想が外れた。
ニンフの行動を持った。どうする気だ。
ニンフの行動次第では直ぐに器用富豪スキルを使う。
「名前は?」
名前は?
俺の名前を聞いてどうするのか。
魔王ブラーゼンから聞いているのか。
ロメーロと答えていいか、ここでも悩んだ。
しかし嘘を言っても仕方ないのもあったし、ロメーロと答えるのがいい。
「ロメーロ。王都から来た」
「ロメーロだな。あなたは嘘を言ってない。正直に答えたと私には思えた。この水が錬金するのに欲しいと。そしてロメーロの仲間の女は聖なる精神を持っている」
「私は聖職者で大神官のリアンと言う。聖なる泉は聞いたことがあります。簡単には水は取れないと聞いたことがある」
「ふふふ、簡単にはね。聖なる精神があれば水は取るのは認める。私は聖なる精神があるかどうかを見ている。どんな強い冒険者でも聖なる精神があるかを見る。キミらは私の試験に通ったのだ」
「ありがとうニンフ。それでは水は取っていいのね」
「取なさい。私は何も危害はしません」
意外な答えだったのは、ニンフはリアンがいて聖なる精神があるので水を取って良いという。 リアンがいなければ難しかったのか。
リアンは聖職者であり、教会から認められた存在。
将来は教会からも期待されている逸材で、リアンがいるから国王も破滅の団を勇者パーティーにしたとも聞いている。
オリオンはリアンが欲しいのは、国王の目もあると思う。
ニンフが許可してくれたので、遠慮なく瓶に水を入れよう。
「入れちゃいましょう、ニンフが良いって言ってるし!」
「入れましょう、さあロメーロも」
「俺も入れるかな」
アスカとリアンは怪しむことなく瓶に水を入れていく。
ニンフを信用していいのかというと、完全に信用はしてはいない。
人族ではないし、魔族だろうし、魔王を崇拝しているのなら、本来は敵だ。
それなのに攻撃してこないとなると、逆に警戒もしてしまう。




