『46話 ギルドに』
『46話 ギルドに』
アスカが予想よりも驚いているので、少し落ち着けといい、落ち着かせたのはいいが、まだ信じられない様子が丸出しだ。
大丈夫か、取り乱しているけど。
カイザール国王都に来たのは、グールマスターとオークキングらの魔石があるからだ。
魔石は魔物の魔力の元だ。
すべての魔物の魔石は違い、魔物の種類だけ魔石の種類もある。
魔石は冒険者ギルドに持って行くことで報酬として変えられるので、これから持って行けば、かなりの大金になる。
俺は勇者パーティーを追放された身であるから、金がないので、魔石を出せばいい金になり生活費に充てられる。
俺だけでなくアスカもいるので、ある程度の資金は用意する。
宿屋での宿泊費や飲食費用もかかるからだ。
冒険者をするには金がかかるのは、オリオンのパーティーを経験して知った。
オリオンも俺がいなくて、そのうち資金に困るだろうに。
「ロメーロ様、王都に着き、いかがなされますか?」
「まずは冒険者ギルドに向かいたい。魔石があるだろ、これを報酬に変える。アスカのエルフ国にも冒険者ギルド制度はあるだろ」
「あります。エルフ族には攻撃適正がある者、魔法適正が高い者、逆に適正が低くて弱い者を分けていきます。冒険者ギルドのランクなども、人族の国とほぼ同じです」
「エルフ国にもいずれは行くだろうからな」
「まぁロメーロ様。それは私の父に婚姻を申し出ると?」
なぜだ、俺は婚姻する予定はないが、アスカには婚姻する気配が感じられた。
「違う。婚姻ではないアスカ勘違いが過ぎるな」
「申し訳ないです」
「ギルドがあった、あそこだな」
アスカと中身のない話をしている間に冒険者ギルドに到着。
俺は破滅の団に所属していたのであるが、追放されたのが伝わっているのかを知りたかった。
追放されたのはエピック国であって、隣のカイザール国の王都にいるわけで、もう伝わっているなら情報が早い。
いずれは情報は伝わるから、俺がオリオンから追放されたのは、この国でも知られるのは時間の問題だが。
冒険者ギルドに入るのは、いつもオリオンと一緒だったので、必ず注目を集めたもので、でも今の俺はパーティーから追放された身であるから、注目はないだろう。
まあ俺はオリオンと違い注目を浴びたいとは思わないが。
ギルド内はエピック国のギルドと変わらぬ雰囲気で、冒険者がわんさかいる。
近くに超絶強力なダンジョンがあったのをまだ知らない。
のん気なものだな。
俺がダンジョンでオークキングとグールマスターを討伐してなかったら、災害級の事態だったのだ。
それもこの器用富豪があれば乗り越えられたわけで、この力を与えられたのと、ダンジョンに行ったのが運命とも思える。
「ロメーロ様、冒険者がいっぱいいますが、私を助ける依頼もあるのかな。まだロメーロ様が助けてくれたのを知らないでしょ?」
「そうだな。知るはずないので、依頼が出ているだろうな。しかし俺以外は無理だったろう。並の冒険者パーティーなら即死だったからな」
Aランク冒険者で即死だから、たぶんここにいる全員が揃ってダンジョンに行っても、全員が即死だ。
「ロメーロ様で良かったと思う。運命の人て感じします」
「なんだそれ?」
運命の人て俺は助けただけだし、そもそもアスカが捕まっていること事態知らなかったのだが、アスカが俺を変な目で見てくるので困る。
それも運命なら、俺は運命を受け入れるか。
偉大なる力を持った俺はこれからも、こいった不測の事態に巻き込まれることもあり得るのだ。
それが俺の運命なら、俺はやるだけだ。
アスカも俺の運命と関連しているなら、こうして一緒なのも不思議はない。
とにかくギルドに来たので、受付けをする。
多くのギルドでは、受付けがいて、冒険者の依頼を受け付けたり、依頼の鑑定をしたり、報酬を支払う。
たいていは女性が担当していることが多いけども、この王都ギルドでも女性だった。
「受付があります」
受付嬢がいた。
王都冒険者ギルドは受付嬢がいた。
初めて来た人や冒険者になりたい人は、とりあえず受付嬢に話しかけるのが一番だ。
依頼で獲得した魔石の相談も、受付嬢に持ち込めば、喜んで対応してくれる。
あまりにも多いと驚かれるが、グールマスターのなので、多少は驚くかもだが、その時は説明すればいい。
受付嬢の多くは礼儀も良く、丁寧な対応をするし、美人な女性が多いと思うのは俺だけか。
「こんにちは。初めての方ですね、見かけない顔なので?」
「ああ、初めてだ。ちょっと魔石の持ち込みだ」
「魔石ですか、どうぞ提出お願いします」
アイテムはアイテムの収納スキルを使う。
これも『器用富豪』スキルであり、
初級アイテムボックス『器用貧乏』Fランク
↓
神の袋『器用富豪』SSSランク
初級アイテムボックスから派生し、超上級スキルの神の袋から魔石を取り出す。




