『オリオンは闘技場に来る』
『オリオンは闘技場に来る』
「ロメーロの闘技場だってえええええ! 嘘だろ」
「本当に立札があるぞ。ロメーロの闘技場だ。いつの間に闘技場なんて作ったのだ。なんの目的で作ったのかも疑問だな」
「トマトの件がある。あいつには痛い目にあわされた。その間にこんな闘技場を作りやがってふざけた野郎だぜ」
オリオンは闘技場に腹を立てる。
こっぴどく騎士団支部で怒られたのを思い出す。
余計に腹が立つ。
ロメーロの闘技場に対して憎悪が起きる。
なぜロメーロばかり評価されて、オリオンの評価が下落するのか。
ロメーロは町では英雄扱いだが、破滅の団は誰も言わない。
もう忘れられたパーティーになりつつある。
誰もオリオンに期待していなくなった。
それをオリオンは感じていて、苛立ち我慢してきた。
しかし闘技場を見て我慢の限界になった。
「中は何もないな。土しかない」
「よくもこんな広い敷地の土地を買ったな。あの野郎は金を相当に持っているに違いない」
「壊しちまおうぜ」
オリオンが言った。
するとクランクも、
「そうだな、かまわねえよ。壊すのに俺は賛成だぜ。この壁を壊す」
「俺も壊す。壁は邪魔だ。後でロメーロは泣きを見るさ、あははははは」
賢者ボーデンも壊すのに賛成して、笑いが出てしまう。
壊した時にロメーロがどんな悲しい顔をするかと想像したからだ。
ハニーは破壊するのを見学するとした。
壁なんて簡単に壊れると思った。
オリオン達も同じで、壁の建材はそこらの石で作ったと思う。
殴れば簡単に破壊出来ると。
しかしオリオン達は知らない。
この壁はドワーフ族のブルレスカから分けてもらったアダマンタイトで出来ていることを。
そうとも知らずに破壊すると決まった。
「さあ、殴るぞ。3人同時に殴る。壊れても闘技場だから戦って壊れたと言えばいいさ」
「そうだな、よし行くぞ」
「殴れえええええええええ!」
オリオンとクランクとボーデンは3人同時に壁を思いっきり殴った。
ロメーロへの憎しみを最大にして。
全ての怒りを拳に込める。
壁に3人の拳が当たった。
普通の石ならば壊すのは難しくはないだろう。
ただしこの壁はアダマンタイト製である。
3人の拳が勝てるわけはなかった。
拳が敗北すると痛みが3人を襲った。
絶叫する。
「痛いいいいいいいいいいいいいいい!!」




