『43話 勇者オリオン』
『43話 勇者オリオン』
ロメーロはオリオンの言うことを聞いたらしいと。
オリオンがロメーロはFランクのスキルしかない器用貧乏なのだから、とにかくスキルを使えと言った。
確かにオリオンは言った覚えはあるが、まさかそれがSランクスキルだとは知らないし、そのスキルの性質のおかげで成長しなかった。
そんなのあるかよ、それじゃ今までなんの為に冒険者してきたか、わからないだろと怒りに駆られるオリオン。
Sランクの冒険者になったし、パーティーも破滅の団はSランクパーティーにまでなったのは、ロメーロがいて全てロメーロがいたからSランクだったとなる。
彼をオリオンは追放した。
追放した結果、オリオンは元の弱い冒険者に戻ったのと意味だった。
その意味はオリオンは元々は弱いけども、ロメーロの神にも匹敵するスキルのおかげで強くなったと勘違いしてきたとなる。
信じられないが、確かに大神官リアンの説明には説得力があった。
リアンが言うのは当たっている部分が多かった。
むしろ正論に聞こえた。
それがオリオンは許せなかったのだった。
バカにして役に立たないからと追放したロメーロが、実は最強の力を持ってパーティーを支えてくれていたという事実を。
「うわああああああああああ!」
「落ち着けオリオン!」
「声を出さないでオリオン。ここはギルドだし、みんな見てるし!」
「これが黙ってられるかよ、そうだろ、みんなも怒れよ、怒っていいだろ、なんで怒らない!」
「私もムカついているよ!」
「俺もだ。ロメーロを追放した時にそのことを伝えるべきだろ!」
「あっ、それならロメーロは何か言いたそうな感じはしたな」
オリオンは思い出す。
ロメーロを自分の手で追放した瞬間を。
気持ち良かった瞬間だった。
役に立たない人間を追放するのは、オリオンがマウントを取って、最下流の人間を見下したことだった。
それはオリオンにとって快感だった。
自分が勇者で、後の才能のない人間を聞く出すのが好きだったのだ。
ロメーロが勇者パーティーから追放されて、精神的に追い込まれて、周りからかわいそうと思われるのを見るのが楽しかった。
才能がない人間を罵倒するのが楽しいと知った。
「そうですロメーロは、オリオン達がわかっているのかと心配していたのでしょう。それで聞いたのです、本当に追放するのかと。追放したらどうなるか、元の弱い冒険者に戻るてことを。だから私も追放されます」
今のリアンの言葉は聞こえたが、意味をつかめない。
追放されます?
追放するわけないがリアンを。
「リアン、きみを追放はしない。追放するわけないだろ。ロメーロの時とは違うからだ。ロメーロは働いていないと思ったから追放したのだ。大神官のリアンはとても重要だし、必要だから破滅の団にいてもらう」
当然だ。
大神官は超レアな存在だし、破滅の団にいてもらうべきだ。
彼女がいるからこそ、国はオリオンを優遇したのだったを知っている。
だがリアンは追放されるという。
「そうよ、リアンは大神官でしょ、あなたがいるからSランクパーティーにも認められたのもあるのよ。ギルドは大神官を凄く評価している。残っていいから、そんなロメーロみたいになるとか考えなくていいのよ」
僧侶も必死に説得するのは、大神官がとても貴重な人物であり、将来に国に影響力のある人物になると確信していた。
だから説得した。
僧侶でありながら、実は計算していた。
将来は大神官に媚びを売り、自分も教会の地位を得ようとしていたのだった。
「そうだよ、ロメーロと君は違うから」
大賢者のボーデンも説得する。
彼もまた大神官に近づき、国王に近い地位が欲しかったので、リアンとは接したかった。
みんなからリアンを止める話があった。
ロメーロみたいに出ていけとはならないのがリアンだ。
根本的に違う。
「違うのはあなた達です。私が追放されますて言うのは、追放されたいからではなくて、もうこのパーティーを追放されるしかないという意味。追放しかないのです」
「なんだと、追放しないぜ!」
「いいえ、もう遅いです。みんなはロメーロを追放した。それは、ある意味ありえる話でした。みんな有頂天になったし、Sランクパーティーになったなら、自分を天才だと思い、ロメーロを下に見たいと思うのもわかります。しかしそれがあっても、後からやはりロメーロを連れ戻そうとか、ロメーロが必要だとか、ロメーロに謝ろうとかない。それらをいっさいしなかった。もうロメーロを戻す気はないのがわかりました。私はロメーロのところに行きます!」
「待てよ!」




