『7 カイザール国』
『7 カイザール国』
こうして俺は冒険者ギルドを邪魔者扱いされつつ去った。
もう二度と勇者パーティー破滅の団には関わることはないのだな。
俺がオリオンのパーティーに入ったのは、理由があった。
俺のスキルであるユニークスキルは『器用富豪』だ。
それはオリオン達も知っているし、何も隠していなかった。
違うか、『器用貧乏』は知っていたが、俺は『器用富豪』に進化し、それもオリオン達はと冒険中に進化した。
『器用貧乏』スキルを得たのは15才の時で、突然にユニークスキルが発動した。
それまでは俺はスキルもなく、魔力も体力もなく、全てが冒険者向きとは言えなかった。
そのことは自分でと自覚していて、突然のユニークスキルに驚いたものだ。
ユニークスキルもあることだし、どこかのパーティーに入るべきと考える。
俺も無名であるし、有望そうなパーティーに入れたらと考えて、その際にオリオンの破滅の団が募集しており、上手く入団となった。
器用貧乏スキルを使い、貢献したいという気持ちでいっぱいな頃だ。
入団してからはオリオンやボーデンの為に、俺の器用貧乏スキルを発動させ貢献した。
器用貧乏スキルはステータス事態は下級のスキルであるが、たくさんのスキルが使えるのだった。
これは器用貧乏時代のスキルだが、
『器用貧乏』マップ Fランク
『器用貧乏』初級アイテムボックス Fランク
『器用貧乏』初級鑑定 Fランク
ダンジョンでマップを記したり、アイテムボックス使いアイテムを出し入れ、初級鑑定でアイテムなどを鑑定したりもした。
小さなことも冒険する上で大切だからだ。
それが器用貧乏であり、オリオンらに一生懸命になって貢献したかった時代の話で、懐かしい気もする。
俺が冒険者としてスタートした頃の話だ。
しかしオリオン達と冒険中に突然に『器用貧乏』から『器用富豪』に上位進化した。
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『器用貧乏』メモ Fランク
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『器用富豪』マップ作成1000倍 SSSランク
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『器用貧乏』初級アイテムボックス Fランク
↓
『器用富豪』神の袋 SSSランク
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『器用貧乏』のぞき見 Fランク
↓
『器用富豪』神眼鑑定 SSSランク
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この様に最上位に進化した。
最初は何が起きたかと思ったら、今まで使っていたスキルが、上位のスキルに、それもただの上位互換ではなくて、最上位進化されていたのだ。
意味がわからなかったが、この力は世界を救うべく与えられた力だと思えた。
そうして上位スキルを大量に使える俺はオリオン達とダンジョンに潜った時は、魔物が近寄りにくくするスキルを発動していたが、『器用富豪』になってからは強い魔物ですら近寄れなくするスキルに進化して、ほとんどのAランク魔物を遠ざけていたのだ。
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『器用貧乏』魔物避け Fランク
↓
『器用富豪』魔物回避1000倍上昇 SSSランク
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『器用富豪』スキルは強力なスキルだと知った俺は、魔物を動けなくするスキルを使用し、オリオン達に貢献してBランク魔物の討伐に尽くした。
この時に世界を救うスキルだと確信した。
そしてSランクパーティーにまで上がったのにも関わらず、俺を追放したのは、俺の努力も無駄になったわけだ。
世界を救う為の努力が。
冒険者ギルドも追放となった。
冒険者ギルドとは、国家の運営する冒険者に仕事を依頼する機関だ。
職員は国に雇用された人となる。
仕事の依頼は冒険者ランクによって振り分けられ、F、Eランクはまだ駆け出しの初級冒険者。
D、Cランクはある程度魔物を倒せるレベルに達した冒険者で、中級の魔法も使えるようにもなる。
ダンジョンの依頼もされるようになり、報酬もEランクよりも上がる。
武器や防具も購入できるくらいになり、生活も少し安定する。
B、Aランクには国家の最高クラスの冒険者しか認定されない狭き門。
特にAランクは国家で数える程度しかいないとされる。
そのためAランクには国から直接に依頼が来るのも特徴で、難易度はその分高い。
Sランクになると、国家でも数人しか存在しない、貴重な人材になる。
国家の戦力をも上回り、魔王との戦いには絶対に必要とされる。
その冒険者ギルドからも追放された俺は行くあてもないわけで、基本的にギルドは国の機関であるからで、この街のギルドを追放されたら、どの街のギルドにも追放を意味する。
よって俺は冒険者を辞めるか、国を出るかだなと決まる。
まったく面倒なことをしてくれるよなと思うも、二択しかない俺には別の国に行くのもいいだろうと考える。
そうすればオリオンにも会うことはないし、この国に未練もない。
バカな冒険者ギルドと顔を合わせる必要はないし、無駄な努力もしたくない。
せっかくこの国、エピック国の為に尽くしてきたのは、全て無駄になるものの、エピック国は俺を追放して後悔しないかと心配にもなる。
大丈夫かなエピック国はと、考えてしまうあたりは、俺の性格が影響している。
なぜか俺は追放してきた国なのに、心配までしてしまうおせっかいな性格であった。
普通なら追放してきた国ならば、潔く忘れるのがいいだろうが、俺はそれがうまく出来ない性格らしくて、このエピック国が俺なしで機能していけるかと心配していた。
まあ過ぎたことなので、今さら考えても仕方ないとして、この町と国とも、おさらばする。
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目的地は街を離れてエピック国も出る方向だ。
エピック国の隣国に、カイザール国があったのを思い出した俺は目的地と決めた。
じゃあさよなら、エピック国。
俺は去るよ。
カイザール国は、エピック国よりも強大で、国土も広い。
人口もその分多くおり、工業が発達していたな。
よし決めた、俺はカイザール国で今後の人生を過ごそう。
エピック国とオリオン達は、俺は関係ないし、どうでもよいとして生きていく。
街を去り、カイザール国の王都を目指すとした。
普通の冒険者や冒険者パーティーだったら、街から街に、または街からダンジョンに移動するには、徒歩か馬車を選ぶだろう。
いや、それしか選択肢がないというべきか。
それが常識であり、近い距離なら数時間、長いと数日、または一ヶ月てこともあり得るし、実際にオリオンのパーティーにいた時にも、一ヶ月移動したのは経験した。
それは街から遠くのダンジョンに移動した時だった。
馬車が使用できない険しい道もあるからだ。
移動は冒険者にとっては日常であって、移動が仕事とも言えるから、移動で不満を言うものはなかった。
当たり前だし、数日かけて歩くのもザラであるし、逆にそれが嫌な者は冒険者に不適格なのとされる。
移動が嫌で冒険者をあきらめる者だっているくらいだ。
しかし俺のユニークスキルである、『器用富豪』スキルを使用したなら、その例外になる。
例外とはつまり常識に当てはまらないという意味だ。
およそ人が考える常識という枠を完全に超えたのが器用富豪であり、俺も最初は戸惑ったものだ。
人は常識のなかでしか考えることができない生き物だと痛感したし、いかに人が常識にとらわれているかと思った。
通常ならこの街からカイザール国の王都まで数カ月は馬車でもかかるところを、俺は馬車は使用しないで移動する。
どうやって移動するかは、世界を統べる力だとわかる力を使う。
「器用富豪スキル、瞬間移動、カイザール国へ」
俺はスキル『器用富豪』から瞬間移動でカイザール国の王都地点に移動出来る。
スキルを発動した瞬間には、すでにカイザール国の王都に到着していた。
風景はまさに王都だった。
ほんの一瞬だった。
この器用富豪スキルで瞬間移動すきるは一度行ったことのある地点、王都や街、ダンジョンですら、移動可能である。
行ったことがない地点も、方向と距離がわかれば瞬間移動が可能だ。
なぜなら、磁力は同じ磁力はなく、場所の特有の磁力を記憶している限りにおいて、移動出来るのだ。
『器用貧乏』の時はスキルは早歩き。
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『器用貧乏』早歩き Fランク
↓
『器用富豪』瞬間移動 SSSランク
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とスキルを覚えた。
『器用富豪』になり早歩きから、瞬間移動とパージョンアップとなったわけだ。
『器用貧乏』の時とは比べ物にならない進化である。
最初に瞬間移動スキルを使った時は、もはや進化というべきものなのかと、自分を疑ったほどだった。
このスキルはオリオンの前では使用しなかったのは、常に他のスキルを常時発動していたからであった。
例えばダンジョンはFランクからAランクまで魔物が徘徊している。
そのためダンジョンの魔物をスキルで遠ざけていて、襲いかかる魔物には、停止または速度減少を常時発動していたのだ。
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『器用貧乏』遅らせる Fランク
↓
『器用富豪』敵全体速度1000倍減少 SSSランク
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オリオンのパーティー全体に発動していたので、膨大な力を必要としていたのだ。
それでスキルでの瞬間移動はしたことはなくて、瞬間移動スキルは力を使うので、簡単にはできなかった。
常時スキルを発動していたのでダンジョンなどでは強い魔物も近寄らずに澄んでいたわけで、でももうそれからは解放された。
もうオリオン達を保護することもないし、自由になったわけで。
『器用富豪』スキルのおかげでSランクパーティーになれたのを、オリオンや他の仲間は気づかなかったのだ。
気づかずに俺を追放したのは、失敗だと思うが、知ってて追放したのなら、俺は構わないのだ。
どちらなのかは、もうどうでもいいこと。
今の俺は新しい国で再出発するのだから。
今はカイザール王都である。
一瞬で移動するため、移動の瞬間を目撃した人は、今何が起きたのかと不思議がるという。
まあ俺は完全に把握しているわけではないので、問題になっているかは見ないようにしている。
ただ『器用貧乏』から『器用富豪』にスキルが凄すぎて、自分でもこんなスキルありかと戸惑うこともある。
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